《若き日の記録・10》
7月12日 (金) 晴れ
20分放課、江守、藤原、三木、山中の4人が、昨日の金田の件でくる。
藤原「朝、金田さんがぶつかってきた」
江守「話そうとしても話してくれない」
三木「今日、ハンカチ落としやっているとき、入れてあげようと思ったら、いっちゃった」
3時間目に学級で話す。いきさつを説明し、どう思うかみんなに聞く。
金田「朝、私がちょっとさわっちゃったら、藤原さんににらまれた。おとついも(ハンカチ落としに)入れてもらえなかったので、いやだった」
みんな「なんで入れなかったの?」
江守「人数が多かったから」
港「ぼくも入れてもらえなかったよ」
みんな「そのときは何人だったの」
港「5人か6人」
井下「ぼくは、入れてもらったよ」
みんな「何人ぐらいいたの」
井下「8人くらい」
みんな「それじゃあおかしいじゃん」
矢口「だって、そのときはロビーでやってたもん」
等々。ということで、この出来事が、金田に対する嫌がらせの結果ではなく、人数の関係でそうなったことを確認。
そして、まず、お互いに仲良くしたいと思っていること、江守さんたちは、どうすれば仲良くなれるか相談にきていたんだ、ということを押さえる。
それぞれが心の中ではいろいろ思うんだけど、それを口に出して、相手に伝えていないから気持ちが伝わらないこと。自分がにらまれたと思うとき、実は、相手もにらまれていると感じていることを押さえる。だから、にらまれたと思ったら、自分もにらんでいるんだと思うようにと話す。
次の放課、関係していた子を呼んで話すと、三木は、クラブのとき、金田に「教えて」と言われるのがいやだったとのこと。
江守は、体育のとき、金田が「25mなんて、軽く泳げる」と言っていたことが腹立たしく、(江守は泳げないため)それがひっかかっていた。
金田も決して悪気があっていったわけではなかったが、そんなふうに相手が感じるとは思わなかった、とのこと。
自分の言葉が相手にどう思われるか、これが想像できるようにしていきたい。結局、ここの部分の想像力の欠如がもとで、多くのトラブルが発生している。
☆二日かけて、この問題を解決しています。今なら、1日で解決しているなと思いながら読み返していました。
こういったトラブルは、以外に当事者だけが呼ばれ、聞き取りをされ、当事者間で解決するやり方が、一般的なようです。
しかし、私の場合は、こういったトラブルやケンカこそ、子どもたちが学ぶ最大のチャンスととらえ、クラスみんなで共有するようにしてきました。
当事者同士だけでは見えないことがあるのです。将棋なども、対戦している者には見えないけれど、それを眺めている人には見える手があると聞いたことがあります。
まさに子どものトラブルも、そのことを知っている子どもが、知っている情報を出し合ってそれを集めると、事実が見えてくるのです。
当事者同士では、たいてい自分が正しいという視点からの意見になり、対立することがよくあります。その結果、なかなか解決にたどり着けません。しかも、他の子どもたちは、何かトラブルがあったようだとは思うものの、実際のことはよくわかりませんので、憶測で話が広がり、変な噂に発展することもあります。
そこで、みんなで情報を出し合い、誰もがこの件について知ったほうが、よりよい解決につながるのです。
しかも、友だちの経験がそのまま自分の学びになります。子どもの時にできるだけ多くの解決法を学んだほうが、やがて大人になって、危機的な状況に出会ったときに役に立つとも考えられます。
解決までの流れを見ると、二日かけずとも、初日にこのようにクラスで取り上げても解決できたと考えられます。
トラブルの消費期限は1日です。三日も経つと記憶も薄れ解決自体困難になっていきます。学校で起きた問題については、解決しないで家に持ち帰らないことが大切です。
これは担任の力量にもよることとなりますが、「トラブルの消費期限は1日」を意識するだけで、より平和な学級が作れるのです。
(登場した名前はすべて仮名です。)