子どものための教育学

 

実践編(☆:著者 T:教師 C:子ども P:親)

 

15 「えーっ」「いやだー」は言わない言わせない(やる気をそぐ)

 

T1「みんな、よく頑張りました。なので、ご褒美にお楽しみ会をやりたいと思いま

 す。」

C「やったー!」

 

T1「それでは、みんなでドッジボールをやりましょう。」

C「えーっ、いやだー!鬼ごっこがいい」

C「鬼ごっこなんか嫌だー!」

C「かくれんぼがいい!」

C「えーっ、かくれんぼなんか嫌だー!」

T1「それでは、みんな平等に、全部やりましょう。」

C「はーい。」

 

 

 

T2「みんな、よく頑張りました。なので、ご褒美にお楽しみ会をやりたいと思いま

 す。」

C「やったー!」

T2「何がやりたいですか?」

C「ドッジボール!」

C「鬼ごっこ!」

C「かくれんぼ!」

T2「それでは時間を区切って、全部やりましょう!」

C「やったー!」

 

 

 

T3「みんな、よく頑張りました。なので、ご褒美にお楽しみ会をやりたいと思いま

 す。」

C「やったー!」

 

T3「それでは、みんなでドッジボールをやりましょう。」

C「やったー!やろうやろう!」

C「先生。鬼ごっこもやりませんか。」

T3「いいですね。鬼ごっこもやりましょう。」

C「やったー!やろうやろう!」

C「先生。かくれんぼもやりませんか。」

T3「いいですね。かくれんぼもやりましょう。」

C「やったー!やろうやろう!」

 

☆教育現場では、よくある光景ではないでしょうか。

 みんなで何かしようとするとき、当然好き嫌いがあるものです。

 そして自分がやりたいものがあったりするとき、別のことをやることになると

「えーっ!いやだー!」

と声が出てしまいます。これは自然のことでしょう。

 T1、T2、T3と三つの例を紹介しましたが、結果として、3例とも、同じことを子どもたちはすることになります。

 ところが、結果は違ってきます。

 T1の場合、やりたいものとやりたくないものを、意識していますから、やっていても楽しめるのは、自分のやりたいことだけになり、他のことはつまらない気持ちでやります。

 ドッジボールをやりたい子は、ドッジボールを一生懸命やりますが、他の子はつまらないという気持ちでやっていますので、いまいち盛り上がりに欠けます。したがって、ドッジボールをやりたかった子も、結果的に、あまり面白くなく終わることになります。

 そして、そのつまらなさから

「ドッジボールだけにすれば楽しかったのに」

という気持ちになるでしょう。

 

 それに比べ、T2の場合、初めにやりたいことを聞きます。

 そして、全部やることになり、自分が楽しみにしていることもできることから、お楽しみ会が始まる前に「嫌なもの」は意識されません。

 きっと、終わったときには、「あー楽しかった。」となることでしょう。

 

 T3の場合は、やることが決まるたびに、

「やったー!やろうやろう!」

と、やる気が上がっていきます。

 そして、やることが1つ増えるたびに、

「やったー!やろうやろう!」

と、なんだか得した気持ちになります。

 全部終わったときには、

「むちゃくちゃ、楽しかった!」

とみんなが喜んでいるのではないでしょうか。

 教師の持って行き方にもよりますが、まず、「えーっ!いやだー!」を言わないようにすることをクラスのみんなで共有した方がいいでしょう。

 「いやだー!」という声を聞くだけで、意欲が低下するものなのです。

 そして、誰かが何かをしようとするとき、それを応援するクラス作りが大切です。

 日本の教育は、どうしても否定から入る教育です。「できないことをできるようにしよう。」と。

 これは、教員同士でもそうだと思うのですが、何か提案がされるとき、それをよりよくする意見より、否定する意見の方が多いようです。

 「こうすればもっとよくなると思います」ではないのです。

 それはそのまま、クラスにも反映されます。

 誰かが何かやろうとするとき、それを嫌だと思う子どもが「えーっ!いやだー!」と声を上げるのです。

 ですから、誰かが何かをするときに、それを応援し、よりよくしていこうというクラス作りをすることが、楽しいクラス作りにつながるのです。