《若き日の記録・13》

 

文字の力

 

 授業中に手紙を書いていた子どもがいたので、次のように話した。

 5年生くらいになると、手紙をやりとりしたり、交換日記をしたりすることがあると思います。

 さてある日学校にくると、自分の机に、「ね」と書かれた紙が置いてあったとします。 どうおもうでしょう?

 なんだろう、くらいでしょう。

 しばらくして、また机のうえに、こんどは、「し」と書かれた紙が置いてあったとします。

 やっぱり、なんだろう、くらいでしょう。

 ところが、「しね」と書かれた紙だったらどうでしょうか。

 きっと、それを見た瞬間に「誰が書いたんだろう」だとか「むかつくな」という気持ちに変わるでしょう。

 それを見るまでは楽しい気持ちだったとしても、見た瞬間に、不安、怒り、といった気持ちに変化するのです。

 つまり、これが文字の力です。

 文字は使い方によっては、人の気持ちを大きく変える力を持っているのです。

 ですから、文字を使うときは、よくよく注意しなくてはいけません。いい使い方をしなくてはいけないのです。

 そこで、はじめの手紙と交換日記の話に戻りますが、いろいろ文字を使うときに気をつけなくてはいけないことは、他人の悪口を書いたりしてはいけないということです。

 文字はいつまでも残ります。その時だけで、なくなってしまうものではありません。ですから、これから手紙をやりとりしたり、交換日記をしたりするときには、そのことを絶対に気をつけてやるようにしてください。

 

内緒話

 

 内緒話をしている子がいたときに。

 「あっ、いま先生の悪口を言っていたね」

 「言ってないよ」

 「だって、いま二人で先生の悪口を言っていたじゃない」

 「違うよ。遊びの話だよ」

 「誰かその遊びの話を聞いた人?」

 「いないじゃない。やっぱり先生の悪口なんだ。……と思い込まれた原因は何でしょうか?それは、内緒話です。二人だけにしか聞こえない声で、ぼそぼそとやるから、何を話しているのか誰にもわかりません。悪口を言っていると思われても仕方ないでしょう。一番よくあるパターンは、内緒話をしているときにほかの人と目があったときに、相手は自分の悪口をいわれていると必ず感じることです。たとえ、遊びの話だったとしても、悪口のように聞こえてしまうのです。そういう誤解を招かないためには、内緒話をしないことです。周りの人みんなに聞こえる声で話をすることです。そうすれば、そういう誤解は防げます。ですから、内緒話は禁止にします。」