子どものための教育学
第2章 いじめ編
3 『いじめ』感知感度向上
『その日に起きた出来事は、その日のうちに解決すること。』
子どもたちが、いじめた理由にすることで多いことが、遠い過去の出来事です。例えば、2年生の子どもが、友だちをいじめたとします。理由を聞くと、「1年生の時に叩かれたことがある」からなどと、言います。
そこで「やった」、「やっていない」の言い争いになり、解決不能です。
しかし、今日あったことであれば、よっぽど、覚えています。他の子の目撃もあります。
「ごめんね、いいよ、で仲直り」とめでたく解決できます。
これを徹底してやっていくとき、どの子どもも「嫌な気持ち」を翌日に引きずることがありませんので、ケンカ(いじめ)自体も激減していくのです。
ケンカが減れば、それはいじめが減るということになります。
ケンカは、最も解決しやすい『いじめ』なのです。
したがって、「今日起きた問題は、今日解決する。」これを繰り返すことで、いじめ感知の感度が、向上していくのです。
「起きた問題の消費期限は1日」です。
えっ、と思うかもしれませんが、これを読んでいるあなたは、3日前の昼食で何を食べたかすぐに思い出せますか。
学校という場所では、いつどこで誰が何をしたか、言ったかなど、記録されているわけではありません。
日が経ってから問題になったとしても、証明できないことばかりです。
ですから、せめて先生と子どもで協力し合って、今日起きた問題は未解決のまま家に持ち帰らないということを実行していくことです。
これによって、深刻ないじめに発展することを防ぐことができるのです。
実際にこれを実行してきた先生のクラスでは、子どもたちが「1年間でケンカがとても少なくなった」と証言していました。
そこで、先生が気をつけなくてはいけないことは、「ケンカ両成敗」であってはいけないということです。
そもそも「ケンカしてはいけない」という、当たり前の常識を変えていかなくてはいけません。実は「ケンカしてはいけない」はこれまでの日本の非常識なのです。
簡単に考えれば、「ケンカ」は、ボクシングで言うところの、スパーリングです。
本番の試合は、大人社会です。
その時のために練習しておかなくてはいけないのです。
いかにして、ケンカに勝つかではありません。
ケンカしたらどうやって仲直りをするのかの練習です。
ケンカする。仲直りする。またケンカする。また仲直りする。
この繰り返しで、やがてケンカになる前に、ケンカにならないよう行動することもできるようになります。
「ケンカするほど仲が良い」ということわざがありますが、ケンカと仲直りを繰り返すことで、本当の友人関係が築かれていくと考えるとなるほどと思えます。
これまでの日本では、「仲良くしよう、仲良くしよう」「ケンカしてはいけない。ケンカは悪いこと」とやってきています。いざ、社会に出てケンカになっても、仲直りの仕方を練習してきていませんから、うまく解決できない。最悪のケースになることさえあります。
子ども時代のケンカは、先生や親が、適切な仲裁者となれば、子どもの人生にとって、とても大切な学びとなります。
ただ問題は、現在の大人も、「仲直りの練習をしてきていない」人が多いという現実です。
親は、仲直りより、我が子の正当性を訴えます。先生は、中立のようで、中立に仲裁できません。先生自身ケンカしてきませんでしたから、どうしても「ケンカ両成敗」と、ケンカしたもの同士を悪者にしてしまいます。
「ケンカがいけない」のではなく「ケンカをうまく解決しないことがいけない」ということをしっかり心に留めることです。
(次回:4 幸福感の高いクラス作り①)