Ⅸ この章のおわりに                    
 

 この30年の間に、教育現場の抱える問題は、「いじめ」から「キレル子ども」そして「学級崩壊」へと大きく変化してきました。


 しかし、どの問題をとっても、その根子は共通しているようです。


 これまで、いじめに関する考察をすすめるなかで見えてきたことは、心の働き、動きの問題と教師と子どもの人間関係、子どもどうしの人間関係、子どもと親の人間関係等々、人間関係が複雑に絡み合っているということです。


 アドラー心理学では、「すべての悩みは、人間関係にある」と、唱えています。


 振り返ってみれば、これまでは教師より子どもの方が、上手に人間関係を作っていたような気がします。さっき大きな声で叱った子どもが、次の放課には、「先生。~。」と話し掛けてくるのです。へそまがりな見方をすれば、さっき叱られたことがぜんぜんこたえていないのか、とも見られますが、それはむしろ子どもの上手な人間関係づくりの方法の一つなのではないかと思うのです。


 ですから、ある意味で教師の方が人間関係づくりが下手だったとも言えますし、それをカバーしてくれていたのが子どもたちだったのです。

 

 ところが、教師は人間関係づくりがへたなままで、子どもたちも人間関係づくりに悩んでいるととらえれば、学級での人間関係が成り立たなくなるということもうなずけるのではないでしょうか。


 私は、この考察をすすめながら、これからの時代は、教師の技術の向上の前に、人間としての自分自身を向上させていかなければならないということを痛感しました。
 

(「いじめに関する考察 第1章 完)