Ⅷ いじめに発展するパターン
 

 子どもの生活の中で、注意深く観察していると、いじめやケンカに発展していく、決まったパターンのようなものがあることに気付きます。これまで述べてきた理論に加えて、具体的に、どのような現象について、私たちが注意を払った方がいいのかを、紹介したいと思います。


 1 女の子3人組 

                     
 高学年女子で多いパターンは、仲良し3人組です。
 よく子どもから相談を受けることがあります。「先生、私、無視されてる」というわけです。「二人とも私と話をしてくれないの」と。
 3人でいる場合、たいていそのうちの2人が話をします。そうすると、もう一人は、聞き役になります。ところが、子どもの場合、自分も話したいし、自分の話題で話したいわけです。
 しかし、2人が話に夢中になっていると、自然、一人が宙に浮いた状態になってしまいます。そうすると単純に「私は無視されている」という結論になってしまうのです。
 したがって、学級経営において、気をつけるべきことは、仲良し3人組の女子がいたらその子どもどうしのかかわり方について見守っていかなければなりません。また、このような人間関係の仕組みや心の動きについて、具体的に話して教えていくことも大切だといえます。そうしないと、いじめのないところにいじめが起きてしまうのです。


 2 内緒話 

                            
 これも女子に多いパターンです。
 「先生、Aさんたちが、にらんでくる。それで何か変なこと言ってくる」
 そんな相談がよくあります。
 そんなときに、Aさんに、「あなた最近誰かににらまれていない」と聞いてみると、必ず、相談にきた子の名前があがります。
 つまり、あの子がにらんでくるということは、裏返せば、私もあの子をにらんでいるということなのです。
 そして、その原因の多くは、内緒話なのです。
 ぼそぼそと内緒話をしていると、何を話しているのか分かりません。
 しかも、まわりの子どもは何を話しているのか気になります。そこで目が合えば、何か私の悪口を言っていると自然に思えてしまいます。
 「悪口って、何を言われるの?」
 「……。」
 「何か言われたんでしょ」
 「うん。」
 「何を言われたの?」
 「わからない」
 結局、内緒話を見て、自分の悪口だと思い込んでしまっているのです。もちろん、このことが発展していけば、本当に悪口を言ったり言われたりということになるのですが、始まりの段階では、ぜんぜん関係ないことが多いのです。
 これを防ぐには、このことを子どもによく理解させ、内緒話をしないことをみんなで確認していくことです。
 それでも、この問題は必ず起きますので、その時のタイミングを外さずに、問題が起きたときにクラスみんなで話し合うことが一番の近道です。


 3 内容の悪い手紙                               

 

 3年生くらいから、子どもたちは、手紙を書き始めます。内容は「今日遊べる?」というくらいのものから始まりますが、しだいに人の噂話や、悪口などに変化していきます。 そして、それが案外、授業中に担任の目を盗んでということがあるのです。
 このことが、学級の雰囲気を少しずつ悪くしていきます。
 とくに、人の悪口などを文字にするという作業は、怒りの感情を確認することとなり、ますます相手を許すことが出来なくなっていきます。文字には人の心を動かす力があるのだということを認識しなくてはなりません。
 例えば、今日自分の机のうえに「す」と書いた紙が置いてあったとします。なんだろうというところでしょうか。次の日「え」という紙が、次の日は「お」、次は「を」とあったとしても、とくに大きく心は動かないでしょう。さらに次の日には「ろ」、次は「ま」次は「こ」と。
 このように文字がばらばらにあるときには、大きな力はありませんが、文字が組み合わさって文になったときには、大きな力となります。
 上の文字を並べかえてみましょう。
 「お・ま・え・を・こ・ろ・す」となります。
 こんな手紙が自分の所にきたとしたら、だれがこんなことをするんだとか、これはいたずらなのかそれとも本気なのか、こんな手紙が来るようなことを自分はやったのだろうか等々、心は激しく動くはずです。
 文字というのはそれほど力を持っているのです。「ペンは剣より強し」とありますが、これも文字の力を表した諺でしょう。
 子どもたちに文字の力を認識させた上で、人に読まれると困るようなことは書かないようにしようということを訴えるべきです。


 4 いいことをして、いじめる  

              
 例えば、先生がクラスの子どもたちを、一人ずつ誉めていったとします。そして、一人だけ誉めなかったとしたらどうでしょうか。
 誉められなかった子は深く傷つきます。しかし、先生は誉めるという、いいことをしているのです。
 子どもの世界では、自分の嫌いな子に対して、自然にこういう態度を取ることがあります。これは子どもたちの人間関係に目を向けながら注意をしていかなければなりません。