子どものための教育学

 

実践編(☆:著者 T:教師 C:子ども P:親)

 

14 初めの一人と真似する愚か者

 

⑤   授業中、絵を描いている子

C「授業中に絵を描いてちゃダメなんだよ!」

 注意する声が聞こえた。

 

T「今注意する声が聞こえましたが、どうしましたか?」

C「はい。Fさんが授業中に絵を描いているので注意しました。」

 

T「そうですか。どうして絵を描いちゃあダメなんですか?」

C「勉強がわからなくなるからです。」

 

T「なるほど、Fさんが授業中に絵を描くとあなたの頭が悪くなるのですね。」

C「違います。私ではなくてFさんです。」

 

T「それなら、Fさんが絵を描くことは、あなたには関係ありませんね。」

C「でも、今までの先生も、授業中に絵を描いてる子を叱っていました。」

 

T「先生が叱っていたんですね。あなたは、先生ですか?」

C「違います。」

 

T「それでは、Fさんが絵を描いていても関係ありませんね。」

C「それなら、授業中に絵を描いてもいいんですか?」

 

T「どう思います?」

C「いけないと思います。」

 

T「先生もあなたと同じ考えです。」

C「なんだかよくわかりません。」

 

T「先生は、あなたが学習することとFさんが絵を描くこととは関係ありませんという

 話をしているだけなんですが。」

 

C「でも、勉強がわからなくなったらFさんがかわいそうだと思います。」

 

T「本当にそう思いますか?先生が見ていて、あなたが心配しているようにはみえない

 のですが。それに、心配だったら、『授業中に絵を描いてちゃダメなんだよ!』とい 

 うより、『Fさん一緒に勉強しようよ』のほうが、Fさんもやる気になるんじゃないか

 な?」

 

C「・・・・・・。」

 

T「注意するんではなくて、心配なら教えてあげようよ」