ずっと昔、虎がタバコを吸っていた頃の話です。
山奥の人里離れた家にお母さんと兄妹が住んでいました。
ある日お母さんが山向こうの村に仕事を手伝いに行き、
子供たちが好きな餅を一カゴ貰って家に帰るところでした。
最初の峠をちょうど越えようとする時突然怖い虎がいきなり現われました。
「ガオ!餅を一つくれたら捕まえて食べない。」
お母さんは急いでカゴの餅を一つさっと投げてやり一目散に突っ走りました。
2番目の峠を越えるときさっきの虎が又現われました。
「ガオ!餅を一つくれたら捕まえて食べない。」
お母さんは素早くまた餅を一つ投げてやりました。
峠を越えるたびに現われた虎にお母さんは餅を全部奪われてしまいました。
「ガオ!腕を一つくれたら捕まえて食べない。」
新たに2つの峠を越える間に又現われた虎にお母さんは2本の腕を奪われてしまいました。
両腕をなくしてしまったお母さんは目が抜けるほど待っている子供が心配になり道を急ぎました。
ついにお母さんが最後の峠に達した時又その虎が現われてお母さんを捕まえて食べてしまいました。
そしてお母さんが来ていた服に着替えて頭に手ぬぐいまで巻いて兄妹の家に走っていきました。
「母さんだ。早くドアを開けなさい。」
「うちの母さんの声はもっときれいだよ。」
「ゴホンゴホン母さんは風邪を引いたからそうなの。」
兄妹はどうしても信じられず又言いました。
「じゃあ手を見せて。」
虎は素早くかまどにあった白い小麦粉を手に一杯つけて差し出しました。
しかし、虎だと気づいた兄妹はだまされず裏門からさっと抜け出て
井戸端にある柿の木に素早く登っていきました。
虎もすぐ追いかけて来ました。
「おい!その高い木の上にはどうやって登ったんだ?」
「そりゃ手にごま油を塗って登ったんだよ。」
虎も素早く台所に行ってごま油をたっぷり塗って木の上に登ろうとしましたがツルツル滑るばかりでた。
「本当にバカだ。僕らは斧で木を突き刺しながら登ってきたんだよ。」
その言葉を聞いた虎はすぐ斧を掴み木を突き刺しながら登り始めました。
兄妹はビックリして神様に祈りました、
「神様、神様僕達を助けて下さるなら新しい太い綱を下ろしてくださり殺してしまおうと思うなら古い太い綱を下ろしてください。」
すると天から丈夫な新しい太い綱が降りてきました。
兄妹はその太い綱を掴んで天の国に昇りました。
「神様、神様私を助けて下さるなら古い太い綱を」
追いかけてきた虎も兄妹の真似をしましたが間違えて反対に言葉を言ってしまったではありませんか。
虎がぶら下がるや否や太い綱はすぐにぷつんと切れ虎はきび畑に落ちて死んでしまいました。
いまのトウモロコシ畑が赤いのは虎の血に染まったためだそうです。
一方天の国に昇って行った妹は夜が怖くてお日様になり
兄はお月様になり今も天の国で幸せに暮しています。
一生懸命勉強したRIEさんの記事をタダでもらってきました。