★高齢猫さん★在宅での皮下点滴トラブルシューティング(その1) | 高齢猫とのんびりと・・・ ~ZEROどうぶつクリニック サブブログ~

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あまりガツガツしないで、
高齢猫とゆるーくのんびりと
暮らしてみませんか?

病院に頻繁に連れていらっしゃるのも大変でしょうから、

ご自宅で皮下点滴を頑張ってみませんか?

 

と、自宅での皮下点滴を始めてみたものの、

「え?これであってる?」

「こうなっちゃったけどどうすれば?」

という疑問に、ネットで検索しても、ちょっとよくわからない事があるかと思います。

 

こんな時はこうすればいいよ、というガイドブックを作っておこうかと思います。

(まずは準備編)各部の名称・役割を再チェック

 

乳酸リンゲル液

商品名で、ソルラクトという製品が多く使われています。
ハルトマン液ラクテックハルゼンVという商品名で販売されている乳酸リンゲル液もあります。
 
リンゲル液は血液中の体液に近い液体です。
 
ちなみに、「点滴」と「補液」は、ほぼ同義語として使われていますので、
用語の用法にあまりこだわる必要はありません。
 

~乳酸が混ぜてある理由~

腎臓病を患っている動物は、
体液のpH(酸性←中性→アルカリ性)が酸性になります  (※アシドーシスといいます)
"乳酸"を混ぜる事によって、体液をアルカリ性側にする事ができます。
 
乳酸の代わりに酢酸を混ぜた酢酸リンゲル液というものもあります。
(商品名でソルアセトなど)
 
身体に乳酸が負担になる子の場合(肝臓病を併発しているなど)、
酢酸リンゲルの方が良いと言う意見もあります。
あまり違いはないと言う意見もあります。
 
お酢が混ざっているので、お酢の匂いがします。
皮下点滴の場合、乳酸リンゲルよりも痛がる子が多いと言う意見もあります。
 
 

輸液セット(輸液ライン)

在宅での皮下点滴の場合、
病院スタッフが輸液セットにつないでお渡しすることも多いです。
どうやってつなぐか知っておくと、トラブった時に対処しやすいかなと思います。
(その2)以降で、つなぎ方と、トラブルシューティングを掲載します。
 
輸液セットという名称よりも、「ラインにつなぐ」と言う事が多いです。
 
輸液セットは、ソルラクトと猫さんをつなぐチューブで、
上から下へ重力によって流す・・・という、
仕組み自体は単純なのですが、
製品によって、長さが違ったり、付属の部品がたくさん付いていたりします。
 
飼い主さんがシンプルに使えるラインが良いかなと思います。
 

注射器(シリンジ)

輸液バックから一度シリンジ(注射器)に吸い取ってから、
皮下点滴する方法もあります。
50mlのシリンジで1回に1~2本入れます。
 
廃棄物の処理などのコスト面も含め、
輸液ラインを使う方法で慣れて頂く方が良いかなと思います。
 

注射針・翼状針

猫さんに注射する側の針は、
翼状針を使う場合と、
 
まっすぐな注射針を使う場合があります。
 
針のサイズは、世界共通の表記があります。
18G・21G・23G・25Gなどの数字は、
針の太さの単位です。
 
数字が小さいほど、針は太く、
数字が大きいほど、針は細いです。
 
また、21Gは緑、25Gはオレンジ色と、
色も世界共通で決まっています。
 
サイズの後に続く数字、1 1/2 5/8 などは、
針の長さの表記です。
1インチ=25.4mm。5/8インチ=16mm。
 
翼状針の場合は、13mm、16mm、19mmという表記もあります。
 
針の長さは、短かすぎると点滴中に猫さんが動いて抜けてしまうという事もありますので、
ある程度長さのある5/8インチ以上が良いと思います。
 

目線の高さに吊るしましょう

2人以上お住まいのご家庭でしたら、もう一人の方に目線の位置で持っててもらいましょう。
 
独り暮らしの場合は、自分の目線の高さに吊り下げられるフックなどを、
設置してください。
 
次回(その2)は、点滴液に輸液セット(ライン)をつなぎます。
 
 
~現在、病院HPを改装中です~
 
 

ヒマワリヒマワリ日獣大(日本獣医生命科学大学)の宮川先生が飼い主さん向けに本を出版されました。

日獣大は犬の心臓病、猫の腎臓病のケアに力を入れている大学です~病院

よかったら一度手に取ってみて下さい。