先週はみなとみらいの放射線学会総会に参加してました。
自分の発表は、動注の即効性の効果について、です。
癌性症状の緩和を実感する時間がカテ後翌日が最も多く、
僕の101例の臨床経験では、やはり動注は即効性だった
が結論でした。
が、まあ、放射線科の学会は画像が中心なので、
臨床や抗がん剤のこういった話はあまり受けが悪くて、
5月のIVR学会ではもう少しウケてほしい。
でも、関東の親友先輩先生が、
やっぱり関の治療は面白くて臨床効果も高いな、
俺も真似してみようかなあと言ってくれたのはちょい嬉しかったです(いろんな制限があるんで無理だと思いますが)
さて、本日のセカンドオピニオンの患者さん、ご家族さんを通じて、そういえば書いておいたほうがいいなと思ったのが緩和について。
皆さんの緩和のイメージは、寝たきり、疼痛、呼吸苦、でしょう。でも実際には、多くの元気な緩和と言われた患者さんがいます。その理由を書きます。
緩和といわれている患者さんは、日本では大雑把に2つに分けられます。
1)本当に緩和治療が必要な患者さん
今までの長い闘病生活で痩せ細り、全ての抗がん剤が効かなくなった、もしくは体力的にこれ以上抗がん剤ができない、全身状態の悪い患者さんたちです。
これは純粋に緩和診療のサポートが必要で、入院、在宅での手厚い心身への緩和治療によって、生存期間が延長する可能性があります。緩和治療なんて、と馬鹿にしてはいけません、こんな崇高な癌治療はありませんよ。僕もかじった程度ですが緩和治療をしてきて、緩和の専門の先生に教わって、積極的治療と同等、いやそれ以上に緩和治療って大切なんだと痛感していますから。
2)積極的治療が枯渇した患者さん
皆さんは、新しい治療を受けるとき、その治療が自分に必ず効く、ことを前提に治療を受けておられます。でも実際後半戦の癌治療でがんが小さくなる確率は数割、最終ラインに関しては1ヶ月余命が延びるエビデンスがあるものがほとんどです。
僕らはそれを知って後半戦の治療を提案していますが、患者さんの「新しい治療」という先入観は激しく、ここで大きなギャップが生じます。これが受けいられないと、患者さんやご家族に待っているのは絶望でしょう。
実際、後半戦の治療は、維持することがメインとなります。
悪くならなければ勝ち、だって共存できているから。
そう思えたら、あなたはご立派です。心身ともに良好な緩和の時期を経過できると思います。
緩和と言われたからといって、皆さんが衰弱しているわけじゃない。元気な人も多い。ようは、今の医学ではもう手の施しようがない患者さんも、1)にまとめられて、緩和患者と呼ばれていることです。実際は全く症状のない元気な方も多いので、これを一括りにすることには実臨床をしている自分としてはギャップを感じます。ただ、これ以上お勧めできる治療がないことも事実。皆さんは携帯、パソコンで一日中、自分やご家族のために新しい治療を調べるでしょうが、良い治療があれば、ちゃんとした施設なら医療側から勧めています。むしろ、ないものねだりで貴重な残された時間を迷走することはダメだよ、って患者さんにはよく諭しています。
一般的に当院のような中規模の総合病院は、2)の状態になっても主治医がそのまま患者さんの診療を継続します。診療内容は症状や状態変化に対する対症療法が中心で、積極的な治療はしませんが、緩和治療に移行するまでの経過はスムーズでしょう。
一方、大学病院やがんセンターで最初から治療を受けてきた患者さんの中には、この積極的と真の緩和の中間点がうまくいかないことがあります。大規模施設は、自施設で治療できない場合はソーシャルワーカー通じて緩和の施設を紹介するのが普通です。たとえ、本人が元気でも。本人や家族は戸惑うでしょう。むしろ全身状態が悪かったら納得できるかもしれません。
この、いきなり緩和パターンは絶望する患者さんが多く、僕は後半戦の治療は中規模の総合病院でされることを勧めています。結構最期まで面倒見がいいはずです。がんセンターや大学病院はドライですが、それも施設の立ち位置を考えればしょうがないと思います。
今日は、2)の患者さんがこられて、どうすればいいか多くの質問を受けましたが、そのためにソーシャルワーカーがいて、あとはご自身たちで相談して道を切り開くしかないのが実情です。
何もしないでベルトコンベアアーにのってれば最良の終末期までいけることはなく、やはりご自身の意思を専門職に伝えて、つなげてもらうしかないように思えます。
本日は、外来もやや多く、初回入院前の患者さんもいて、バタバタしていてこれ以上時間を費やせなくてすいませんでした。
日本の癌治療の現状の中で、皆さんが問題視されるひとつの現象と思い今日は書いてみました。