5月の後半に、熊本でIVR学会があって参加、発表してきます。

僕は基本的には、自分が発表する学会しか参加しないので、毎年、日本放射線学会総会(4月)、日本IVR学会総会(5月)、癌治療学会総会(10月)の3つの学会だけはこの20年くらい連続して発表し、結果参加しています。
どの学会も規模が大きいので、大きな会場がある場所しか開催できず、結果、みなとみらい、京都国際会議場、神戸ポーアイ、たまに福岡国際会議場、こんな感じで同じ場所が選ばれることがほとんどで、わずかにあった学会に対する(笑)観光気分も、今では慣れと飽きでワクワクしなくなってきました。

で、IVR学会は、一応僕としては昔、救急医療など万能のIVR医だったころは一番好きな学会でした。今でも知り合いや友人が一番多くて飲み会も一番派手にやるのがこの学会。それが今回、なんと熊本開催なので、非常に楽しみです。
初熊本ですわ。まあ、くまモンよりポケモンですけど。

本日、連休明けでちょっと時間に余裕があったので、学会のHPでプログラム見ていましたが、かなり驚きました。

僕のように、癌治療に特化した発表は原発性肝がんだけで、それも数はさほど多くなく、やはり技術系の学会なのでしょうが、大動脈瘤や穿刺系の演題が多い印象を受けました。また原発性肝がん以外のがんに対するカテーテル治療を扱った演題は5つ?くらいと非常に少なく、いかにIVRが癌治療の主戦場で出番が少なくなっているか、感じました。


僕は腫瘍内科を名乗っていますが、専門医は放射線科です。
腫瘍内科の知識と経験は全て独学と親しい先生からのアドバイスで身につけました。

僕の立ち位置は、3つの診療科から浮いています。

その3つが、放射線科、腫瘍内科、緩和医療科、です。

自分の仕事が、いろんな癌腫を扱い抗がん剤に対して意見し実施する腫瘍内科でありながら、その抗がん剤をカテーテルを用いて、放射線科の解剖と画像の知識を使って行う、そんなイレギュラーな立場なので、いつも学会発表の時に、発表するセッションが変なところに入ります。

まず、放射線科。
一般的に、放射線科で全身管理し患者さんと密接に接することを好む医者はごくわずかです。IVR医は立場上、患者さんの診察をしますが、それでもIVR前後の一時期だけであり、最期まで診ることはありません。基本、放射線科は、診察業務が嫌いです。僕は患者さんと話すことが大大大好きなんですけど、今でもなぜ最初に放射線科に入ってしまったのか、もっとメジャーな内科とか行けばよかったかなと思うこともあります。とにかく、腫瘍内科を名乗る放射線科は、全国でも僕以外いるのかな?

つぎ、腫瘍内科。
ご存知のように、エビデンスに基づき多くの癌腫に対して薬物治療をする科です。僕も立場上、腫瘍内科を名乗っています。
ただ、エビデンス重視なので、がんカテのようにエビデンスに到達できていない治療のことは大嫌いなのが腫瘍内科でもあります。自分がこの施設に来る前に働いていた時は、カテーテル治療をさもすごい治療のように宣伝し患者を集客していたクリニックの存在のせいで、多くの腫瘍内科医から、カテーテル治療はパチモンだ、とすごく嫌われていました。僕や友人達もそこのクリニックのことを実は同じくパチモンだと知っているのですが、大人の事情でそれ以上言わず、でもホンちゃんの腫瘍内科医からは忌み嫌われた時期が長く、今の施設でセンターを立ち上げても最初は患者の出し入れが難しかったですね。紹介状を書いてくれない先生も多かったと思います。今では、自分の腫瘍内科医としての知識が格段とあがりましたし、あくまで腫瘍内科医の立場を重視しながらがんカテをしているので、一部の腫瘍内科医の先生から時々患者さんを直接紹介してくれるように、垣根がだいぶ低くなっています。患者さんの受診に関してトラブルになることはまずなくなりましたね。

最後、緩和治療科。
自分は、近隣の患者さんに最後の治療としてがんカテを導入した場合、これが効かなくなって、本当の緩和になっても、自分で最期まで患者さんの治療を続けています。患者さんとの人間関係が構築されており、患者さんも別の緩和医よりも僕に最期までみてくれることを望む人が多いです。9年間一緒に働いた緩和医療科の先生にも、麻薬などの薬物治療について、また緩和期の様々な肉体的精神的緩和の基本について、たくさん教わりました。自分のがんカテの目標が、1)命に関わる臓器の救済、とともに、2)がん性症状の緩和、と謳っているのも、実際に麻薬などを用いて一般的な緩和治療をしてきたからこそ、それでとれない症状をカテで緩和しようとしているわけです。がんからの出血、麻薬で取りきれない疼痛、倦怠感、食欲低下、リンパ浮腫、癌性皮膚潰瘍など様々な症状に対して動注、TACEが有効な場合があることをいろんな学会で発表してきました。癌治療学会でも発表しています。しかし、たった一つだけ、僕のこの演題をrejectしたと学会があります。それが。。。緩和医療学会です!
ちゃんと緩和科の先生にもみてもらって、いい演題ですねといってもらえたのに・・・。人生で初めてのreject演題でした。
後日談で、緩和学会の偉い先生が、上記のクリニックでのカテーテル治療のことをすごく嫌っていて(嫌いになるのはごもっともだが)、僕の演題も同じように捉えてrejectしたらしい、と緩和科の先生に伺いましたが、えらいとばっちりでした。
でも、おかげで緩和治療は好きだけど、学会は嫌いになって、すぐに脱会しましたけどね(笑)
癌治療学会でもオーラル発表しているような演題を拒否する学会なんて入っていてもしょうがないし、学会に入っていても患者さんに直接貢献できるわけでもないし。この時は、ちょっと、いやかなり悔しかったなあ。研修医の時から含めて、たった一回、rejectされたのがこれだから。あー、思い出したら原辰徳です笑


さて、どこの立場にも素直に受け入れてもらえない、腫瘍内科を名乗って緩和治療までするカテーテル治療放射線医。

よく僕が忙しそうに働いていいると、弟子はいるのかと患者さんに聞かれますが、いません。こんなめんどくさい立場の医者は世の中に少数派だと思います(本当にちょっと知り合いの先生で同じような先生いるの知ってますけど、総合病院でこうやってSNS発信までしてるのは僕だけでしょう)


こんな変態ですけど、また最近初診で訪れてくる患者さんが増えてきて、65歳まではがんばろうと、思うわけです。

なんかだらだら長文になりましたが、僕のような人間が増産されない理由をわかってもらえたら幸いです。


では。