リンパ節転移 は、がんの患者さまでしばしば経験される病態のひとつです。

リンパ節は「免疫に関与したフィルター」です。
かぜを引くと首のリンパ節が痛く腫れますよね?
のどについたバイキンと、それに伴う炎症が、リンパ管という管を介して多方面に波及しようとしているところを、門番であるリンパ節が食い止めてくれます。免疫の大事な組織で、全身のいろんな部位に存在します。

がんに関しても、がんは自分自身を血管とリンパ管に注入し、これが血液とリンパ液に乗って広がろうとするのですが、リンパ液のほうはリンパ節がキャッチし、ここで一時的に食い止めようとします。その過程でリンパ節にがんが転移し、リンパ節が腫れるわけです。

リンパ節転移を伴っていないかの確認は、今後の治療方針の重要な指標になります。
手術の際に、病変のまわりのリンパ節も一括切除するという考えは、切除されたリンパ節が陰性なら病気の範囲は狭かったと判断して次の抗がん剤治療がなくなったり、軽くなったり、期間が短くにあります。(かなり大雑把な表現です、いろんな病状で対応は異なることをご了承ください)


さて、リンパ節転移が大きくなると、いろんなトラブルが生じます

手や足が浮腫む、顔が腫れ上がる(上大静脈症候群)、腹水がでる
 → 近くを走行する血流やリンパ流を遮断してしまう

痛い
 → リンパ節転移周囲の神経に浸潤

苦しい
 → 気管、気管支といった空気の通り道をリンパ節が押して、狭くなり、空気交換が低下

食べれない
 → 消化管、胆管など、食べ物に関与するルートをリンパ節が閉塞してしまう

・その他

もう、様々な 「がん性症状」をきたします。

リンパ節転移に対しては、通常、「全身に転移したもの」と同格に扱われ、全身抗がん剤治療を検討されます。一部のがんは、切除も考慮されますが、多発している場合は不可能です。

放射線治療も有効でしょう。ただし、放射線でリンパ節転移が完全に消失することは少なく、多少縮小した後にもし何ヶ月後かに再増大した場合は、放射線治療はできません。
「放射線治療は、どんな種類(粒子線や陽子線など最新のものを含めて)でも、1カ所に1回」が原則なのです。

私が現在実施している、ビーズと少量の抗がん剤を用いた「がんカテーテル治療」は、放射線治療ほどのパワーはないものの、「繰り返し可能」「お体の負担が少ない」「3泊くらいの短期入院」「がんの種類によっては半分くらいの患者さんで一定の効果が得られる(相性の良いがんではかなりの率で縮小)」「保険診療」といった特徴があります。

デメリットとしては、「肝臓以外の臓器に関しては全国的にも一部の施設しか実施されていない」「新しい治療法なので実績が不十分」「いわゆる下手くそがやると血管の手術操作なので危ない」「局所の治療なので病気があちこちにとびちっていると、全体として病気を抑え込むことが難しい」などがあげられるでしょう。

我々が開設した「がんカテーテル治療センター」は、国内でも数少ない、「頭頸部以外を除くあらゆる臓器に対してカテーテル治療を行う」センターであり、また「世界的にも多数の実績を学会、論文で報告している医師が、実際の患者さんの治療を行っている」「最新の放射線治療、多くの外科や腫瘍内科のスペシャリストとコラボレーション可能」な、新しいスタイルの がん治療施設 を目指しています。

https://www.suita.tokushukai.or.jp/center/endovascular.php


肝がんの縦隔、肺門リンパ節転移に対して、ビーズ(新規塞栓粒子)と抗がん剤(シスプラチン)を用いた治療を実施した患者様のお写真を1つだけご紹介いたします。

塞栓術は、抗がん剤を併用することでさらに局所効果が高まり、効果のあった部分は腫瘍が死んで、造影CTを実施しても、死んだ部分が黒く描出されます。左が治療前、右が治療後ですが、心臓の後ろの10cm以上の巨大な縦隔リンパ節転移、その両隣の3cmの2つの肺門リンパ節が、中の色が黒くなり、少し小さくなっています。実は、これはカテーテルをやって3週間目の画像なのです!

当院のカテーテル治療は、全身抗がん剤治療よりもメリハリのある治療となります。有効な人だと数日間で、がん性症状が改善するケースがあります(症例の進行度により反応は異なることをご了承ください)


続きはまた・・・・・・・














「吹田徳洲会病院 がんカテーテル治療センター」



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