今、他の講演で使う資料をまとめています。

ちょうど、卵巣癌のデータを少し使うことになり、過去の学会、論文を読み返してました。

平成25年10月 京都で開催された、第51回癌治療学会学術集会(がん治療を行っているバリバリの全国の先生方が集まる、がん治療の中では最も有名な国内学会の1つです)にて、卵巣がんに対するカテーテル治療の成績を発表させていただきました。


「再発卵巣癌に対するsalvage療法としての血管内治療の有用性の検討」



実は、その1年後に英語の論文にもなっています。著作権の関係から内容をすべて公表出来ませんが、興味のあるかたはここを見てください(英語です)。


Local control and prognostic significance of transarterial treatment for limited recurrence of ovarian cancer as third-line and beyond therapy.

Int J Clin Oncol. 2014 Dec;19(6):1065-73.
doi: 10.1007/s10147-014-0665-7.


癌治療学会に出した抄録はオープンにできますね、そういえば。詳細はまたおいおい書こうと思いますが、ひとまず私の研究結果として挙げておきます。

仕事に戻ります。



再発卵巣癌に対するsalvage療法としての血管内治療の有用性の検討
Transarterial palliative treatment for women with recurrent ovarian carcinoma


【目的】
再発卵巣癌に対するsalvage chemotherapyの成績は一般的に不良であり、毒性を考慮してbest supportive care (BSC)が選択されることも多い。3rd line以降として施行した血管内治療のsalvage療法としての有用性を検討するため、局所効果、有害事象、生存について後視的に評価した。

【方法】
対象は2007年7月から2012年9月までにInformed choiceによって血管内治療を選択した再発卵巣癌連続26例。17例 (65.4%)は婦人科医よりBSCを勧められていた。年齢中央値57歳(41-72)、PS 0/1/2/3:16/4/5/1、TFI (初回治療後無投薬期間)<6M:14、≧6M:12、組織型 (漿液性:15、非漿液性:11)、既往化学療法 平均2.9 line (2-5)。生存ないしQOL規定因子と考えられた1-2病変を標的と設定した。Cisplatin 20-40mg/body, Docetaxel 20-40mg/bodyを栄養血管から動注した。Monthly-bimonthlyで3コース連続施行することをプロトコールとし、標的不応、許容困難な非標的増悪、有害事象にて中止した。奏功例に関しては3コース以降も病状維持を目標に不応不耐状態までon demandに継続した。治療効果をRECISTで、有害事象をCTCAE ver. 4.0で、全生存期間をKaplan-Meier法で評価した。生存寄与因子として年齢、PS、TFI、組織型、診断時病期、CA125、既往化学療法歴、再発部位の限局性、標的局所効果を挙げ、Cox比例ハザードモデルを用いて多変量解析を行った。

【結果】
36病変 (平均1.4病変)を初回標的病変と設定し治療を開始した (肝12、腹腔7、骨盤腔8、リンパ節3、胸腹壁2、他4)。治療回数中央値は3コース (1-13)だった。
標的局所効果はRR: 50.0%, DCR: 73.1%(CR/PR/SD/PD: 3/10/6/7)、非標的病変を含めた総合効果はRR: 30.8%, DCR: 53.9%(CR/PR/SD/PD: 2/6/6/12)だった。G3/4の有害事象は好中球減少1例のみだった。観察期間中央値は30M (6-53M)、全生存期間中央値(MST)は16Mで、1年、2年生存率は各々67%, 29%だった。単変量の因子としてPS:0-1、TFI≧6M、再発部位:限局性、局所効果:奏功が抽出された。さらに多変量解析の結果、局所効果:奏功 (HR;18.69, 95% CI;1.904-183.41, p=0.012) のみが生存に関する独立因子として抽出された。標的奏功群のMSTは37Mであり、非奏功群(10M)と比べて優位に長かった(p<0.0001)。

【結論】
再発卵巣癌に対する血管内治療は低侵襲の局所治療であり、生存ないしQOL規定病変を制御することで予後が延長する可能性が示唆された。








「吹田徳洲会病院 がんカテーテル治療センター」



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