本当に自慢の姉だった。
成績優秀で、2年連続学年主席、その上、人当りもよく、当然のごとく生徒会長にまでなった。
そればかりか、俺と並んでもほぼ変わらない身長で、腰まで流れた黒髪は、風が吹くたび後輩の女の子を虜にさせた。
そのせいか、百合的なファンクラブまであった。
当然男にもモテた。
同じ高校に入ったころ、俺に紹介しろと何度も野郎どもどころか女の子たちまでも群がってきた。
さすがに閉口させられたが、これも姉のためと、姉の都合を聞き、
ひとりづつ先着順に、まるでオーディションのごとく時間を決めて紹介していった。
同席するのはさすがに勘弁してもらったが、1週間そんな状態が続いた。
姉は文句も言わずおとなしく紹介された人をすべてに会い、そしてすべて丁寧に断っていった。
断られた連中の大半は納得していたようだった。
しかし中にはなぜだと俺に詰め寄ってくる輩もいたが、当人である姉でない俺がわかるはずもなく、
戸惑っていると、お前のせいだと言い寄る輩もいる始末。
もう一度姉に聞くからと、渋々納得させた。
なんでここまでやらなくちゃいけないんだと思いながらも、いやいやながらも聞いてみた。
たのむから断るのもいいけど、ちゃんと説明してあげてくれ
「付き合う気がないのだからしょうがないじゃない。圭樹が一人前になるまでは付き合う気もないわ」
「だいたい私はそう説明したのよ」
と。なるほど俺のせいなのか。
たのむから姉さん、俺をダシに使わないでくれ
「とは言われてもね。付き合う気はないし…」
じゃあ、好きな人はいないの?
せめて、気になる人がいるとか?
と尋ねたら、なぜか赤い顔をして俯いていた。
ああ、こんな完璧な姉でもやはりお年頃、当然そんな人もいてもおかしくない。
ホッとしたような、少し寂しい気がした。
気にはなるが、姉とはいえプライベートなことではあるし、
姉から自発的に言ってもらわないと、さすがに誰だとは聞けなかった。
とにかく、オーディションを落選した人達にこれ以上誤解されないようにも全員に説明していった。
誰だかわからないが、姉には好きな人がいるから、あきらめてくれ、と。
俺は一人で、懇切丁寧に全員に一人づつ説明していった。
きっとわかってもらえる、きっと納得してもらえる、話せばわかる、なんて…。
当然そんな言葉で納得するわけもなく、まさに火に油、そいつは誰だ、わが校の姫の意中の君は
と返って大騒ぎになる始末。
ファンクラブは騒ぎだし、野郎どもはそいつを血祭りにあげろとまるでお祭り騒ぎ
噂が噂を呼んで収集が付かなくなってしまった。
我ながらバカなことをしたと思ったが、、時すでに遅し
投げた球が、返ってきたと思ったら分裂して四方八方に飛び散っていったようだった。
どうしようもなくなって姉にはこんなことになってゴメンと素直に謝った。
姉本人は、特段気にしたようなそぶりもなく
「ふーん、そうなんだ」
と興味なさげであった。