Ameba Meister運営局さまよりプレゼントいただいた、12月27日から上映される「男はつらいよ お帰り 寅さん」特別試写会を拝観してきました。
場所は神保町。
映画の舞台のひとつになった、街を、上演前に散策して、沢山の古本たちと戯れました。
上演前に灯りが落とされると、お馴染みのあのメロディが流れます。
寅さんの格好をした桑田佳祐さんが、熱唱する、あの歌。
いやが応にも気持ちは寅さんの映画の中へ。
そして、私は、その映画の中で、今回の主人公、寅さんの甥っ子の満男とともに、懐かしい風景の残像を思い出します。
映画のストーリーと、全然関係のないところで、泣けたのは、はじめての経験でした。
寅さんを見たはじめての記憶は、テレビでした。
幼稚園に上がる前、祖父母の家で、こたつに入りながら、映画の再放送だったのか、祖父母、父母、叔父、みんなで、「寅さん、馬鹿だねぇ」なんて、笑いながら見ているものです。
東京生まれだった祖母、そして、父と叔父たちは、寅さんたちの話す江戸弁と同じ調子の言葉を話します。
「馬鹿だねぇ」は、否定する言葉ではなく、すごく愛情を持った言葉に感じます。
(大阪弁のアホやなぁ、みたいな感じかな?)
映画のストーリーの中では、歴代のマドンナの皆さんが、当時の綺麗な姿のまま、スクリーンに次々と現れます。
日本の名だたる女優さんたち、スターが、本当に手の届かない所で輝いていた時代。そのなんとも言えない美しさ、旬の目の輝きまでもが、映し出されていて、令和、平成を通り越して、昭和の時代特有の、物のない豊かさが溢れているようで、なんとも胸を締め付けたのでした。
「綺麗だねぇ」
おばあちゃんの声が聞こえてきたきがします。
「あはははは」
叔父の笑い声が聞こえてきたきがします。
座椅子にもたれ、静かに見ている祖父の顔が浮かんできます。
あまりに幼く、映画の話の意味もわからないのに、お父さんもお母さんも笑っているのが嬉しくて、私も笑ったような。
もう、二度と戻らない、私の大切な家族の記憶。
なんとも表現しにくいのですが、上演中に私の心や頭に浮かんだのは、遠くしまい込んでいた、記憶たちでした。
満男が、そこにはいるはずのない寅さんの姿を、見つけるように、私も私の子供だった頃の、あたたかな思い出を見ていました。
映画の感想としては、満男や後藤久美子さんと同年代の私には、家族の葛藤を抱えたまま老いていく親に直面し、介護と自分の人生を選択していかなければならないことなど、重なる部分もありましたが。お馴染みのコメディの部分もあり、楽しめました。
けれど、やはり、50周年を迎えるという重みは、観る方それぞれの、自分の人生の歴史と、その都度の寅さんとが重なって見えるという所につきるのではないでしょうか。
ひとつの娯楽、映画やテレビを、家族みんなで愉しむ事ができた、あの頃は、本当は、物がなくても豊かさがあった、夢の中のような時間が流れていたのかもしれないな。と、感じました。
大好きなあの人たちに、会いたいなぁ。
また、この映画をみたら、きっと、大好きな人たちに会えるような、そして、純真無垢で平和な気持ちで過ごしていた、自分に会えるような、そんな感じがいたします。
素敵な時間を、どうもありがとうございました。
寅さんと自撮りに失敗(//∇//)