カナダといえばサーモンが有名ですが、その時期がやってきました。
サーモンラン(Salmon Run)、鮭の遡上です。
この真っ赤な婚姻色に色の変わった鮭はサッカイサーモン、紅鮭。
たくさんいる鮭の種類の中でも一番おいしいといわれています。
名前の通り、その身も他の鮭より赤みが強い。
回転寿司で出てくる、あのオレンジ色したものとは全く色が違います。
ほぼ、赤と呼びたくなるような朱色。
印鑑の朱肉でも赤みの強いものがありますが、まさにそんな感じの赤。
ちなみに、サッカイという言葉は日本語的に発音も表記も難しい単語なので、ネットでも記事を書く人によっていろいろな表記がされています。
サッカイ、ソッカイ、サーカイなど。
どれも同じです。
近所に鮭が遡上してくる様子を見られる施設がところどころにあるのですが、やっぱり食べる事を想像してしまう。(笑)
でも、実はこのように婚姻色になっているサーモンは既に美味しくないんです。
サーモンは、一旦遡上を始めると目的地の産卵場所に着くまでいっさい食べ物を食べません。
まさに絶食状態で川を上っていきます。
そのため、遡上を始める直前まで川の河口で遡上に備えて餌を食べまくって、目的地まで充分にたどり着けるだけのエネルギーをカラダに蓄えます。
はちきれんばかりに丸々太っている時期。
その時のサーモンはたっぷりと脂が乗っていて一番おいしい(笑)
遡上を始めると、それを消費しながら一気に川を上っていきます。
そしてカラダも、それまでの青みがかった銀色から婚姻色と呼ばれる上記のような色に変わっていきます。
ちなみに、婚姻色で真っ赤になるのは紅鮭だけで、他の種類の鮭は別のそれぞれ独特の色になります。
バンクーバーを河口とする大河、フレーザー川を上っていく鮭には Sockeye Salmon(サッカイサーモン、紅鮭)の他に、
Chinook(シノック。チノックやチヌークなどとも書かれる。いわゆるキングサーモン、日本名マスノスケ。一番大きくなり体調1m以上になることも)、
Pink Salmon(ピンクサーモン、カラフトマス)、
Chum Salmon(チャムサーモン、白鮭)、
Coho Salmon(コーホーサーモン、銀鮭)
と5種類います。
そして、このフレーザー川を上る鮭のある種は、世界一長い距離を遡上する鮭として知られています。
カナディアンロッキーのふもと、フレーザー川の源流のひとつであるスイフト川の産卵場所まで、フレーザー川を実に1,280kmもの大遡上をするのが、シノック。
産卵場所まで行くのに数ヶ月かかるようで、たどり着けるのは遡上した鮭全体の1~2パーセントといわれます。
逆に言うと、1,000km以上もの遡上に耐えられるほどの充分なエネルギーを蓄えた遡上直前のフレーザー川の河口にいる鮭が、世界で一番美味しいと言われる所以です。
でも、実際にこういった産卵場所まで、カラダがぼろぼろになりながらもやっとたどり着いた鮭を見ると普段食いしん坊(!)の私でさえ、
「本当によく上ってきたね、お疲れさま」
と言ってあげたくなります。
自然の厳しさと、生命の神秘、畏敬の念を感じる時。
そして、自分が食べるその遡上前の美味しい鮭は、そこにたどり着けず道半ばにして息絶えたもの。
そうやって考えると、やっぱりちゃんと感謝していただかないといけないなぁと実感します。
常日頃から自然に触れるのは、健康云々だけでなくそういう意味でもやはり大事だなと思います。