イギリス海岸と同心屋敷へ行く前に、駅前のベーグル屋さんへ立ち寄ったほうが良いと思った理由
引き続き、JR花巻駅で電車を降りて市内を歩いてみましょう♪
前回は、花巻城と鳥屋崎神社、そしてマルカンデパート大食堂をご紹介いたしましたが・・・
※旧マルカンデパート大食堂→現「マルカンビル大食堂」
今回の記事は、歴史散歩をもう少し市街地の周辺まで足を伸ばしてみたい人向けに記事を書いてみました。
イギリス海岸
先ず最初に向かったのは、花巻駅から東へ約2kmの場所にある宮沢賢治が命名した「イギリス海岸」です。
※岩手県花巻市上小舟渡
※【写真】本ブログ管理者自ら現地へ出向き2008.4.23および2023.7.22撮影
このあたりの北上川の河原には、渇水期にイギリスのドーバー海峡のような白亜の海岸を連想させる泥岩層が露出することにちなみ、賢治がイギリス海岸と名付けました。
賢治の作品「イギリス海岸」の中でも、
全くもうイギリスあたりの白亜の海岸を歩いてゐるやうな気がするのでした。
と記されているとおり、賢治にとっての憧れからこの名を付けたといわれています。
日本を代表する詩人童話作家として知られる宮沢賢治は、明治29(1896)年8月27日に花巻で生まれ、昭和8(1933)年9月21日に37歳のとき花巻で没しましたが・・・
大正10(1921)年12月(25歳)~大正15(1926)年3月(29歳)までの4年3ヶ月間、稗貫郡立稗貫農学校(大正12年4月1日、郡制廃止に伴い岩手県立花巻農学校)の教員を勤めていました。
文学作品「イギリス海岸」は、稗貫(花巻)農学校の夏休みの農場実習の合間に、宮沢賢治が生徒たちを引率して、当時は町の人たちの水浴場となっていた「イギリス海岸」を訪れ・・・
校長先生と一緒に北上川で泳いだり、動物の足跡や炭化した胡桃の化石を発見した際における生徒たちや町民や自然との心の交流の経験を基に書かれたといわれていますね。
現在は北上川水系のダム整備による河川管理が進み、普段は水位が下がらなくなったため残念ながら泥岩層を見ることが難しくなっています。
しかしながら、賢治の命日である毎年9月21日には、関係各所の協力により上流にある5つのダムや猿ケ石発電所にて水量を調整して川の水位を下げる試みを行っています。
花巻市出身の童話作家・宮沢賢治は「石っこ賢さん」と呼ばれるほどの鉱物好きの少年でした。
花巻市内を流れる北上川と猿ヶ石川の合流点の西岸にイギリスの海岸に見られる、第三紀末・鮮新世の凝灰岩質泥岩が露出。
白亜紀層を想起させることから賢治は、これを「イギリス海岸」と名付けました。
また賢治は花巻農学校の教員時代、この場所によく生徒を連れて地質学の実習をし、散策・思索の場としても親しんでいました。
現在は、上述の通り北上川水系のダム整備による河川管理が進みましたので、北上川の水位が特に下がった時期だけ泥岩層が露出します。
「イギリス海岸」など岩手県内の多様な風景は、地形・地質に詳しい宮沢賢治の観察眼を通じて科学的に捉えられ・・・
創作活動の重要な基となって独特の自然観・世界観の醸成に大きな意味を持ちます。
やがて、このような世界観は宮沢賢治の心の中における理想の大地としての日本および岩手県を表す言葉「イーハトーブ」へとつながっていきました。
宮沢賢治の作風の源泉となったそれらの風景地を保護するため、
平成17年3月2日に文化財保護法による国指定名勝「イーハトーブの風景地」が六か所一群で指定され、
平成18年7月28日には「イギリス海岸」が追加指定されて七か所一群となりました。
鞍掛山 | : 岩手郡滝沢村 |
七つ森 | : 岩手郡雫石町 |
狼森 | : 岩手郡雫石町 |
釜淵の滝 | : 花巻市 (旧・花巻市内) |
イギリス海岸 | : 花巻市 (旧・花巻市内) |
五輪峠 | : 花巻市 (旧・和賀郡東和町) |
種山ヶ原 | : 奥州市江刺区、 気仙郡住田町 |
「くるみの森」からの眺望
イギリス海岸の近くにある民家を活用した無料休憩所です。
※岩手県花巻市上小舟渡465
地元の方々がボランティアで運営しており、お茶をいただいたり、宮沢賢治関連の資料を展示していましたが、主宰者の和尚様が突然お亡くなりになり、この時は休業中。
同心屋敷
続いて廻ったのは、こちらもJR花巻駅からは南東へ約2.5km(イギリス海岸からは南へ2.5km)離れた場所にある花巻市指定有形文化財「同心家屋(屋敷)」へ。
※岩手県花巻市桜町4-83-5
旧奥州街道沿いには、延宝8(1680)年「向御組同心(後に向小路同心)」と呼ばれた街道を挟んで両側に15戸ずつ、花巻城より移り住み計30戸の同心屋敷が建ち並んでいたそうですよ。
向小路同心の主な任務は、花巻城の勤番・仙台(伊達)藩との藩境警備、豊沢川の渡渉監視や
街道筋における治安維持だったそうです。
同心屋敷は現在の「花巻桜郵便局」の場所(岩手県花巻市桜町2丁目61)を中心に、南北100間の区間(約180m)に存在したとの事。
まぁ、一言で説明すると・・・
「1980年にこちらへ保存移築された、江戸時代後期に建てられ花巻同心組が居住していた曲がり家様式の武家屋敷」
という訳で武家門の中に2棟ありますが、もちろん元々は先述の通り街道沿いに1軒ずつ建っていました。
※冬季間(12月~3月)は敷地内に立ち入りできません
元々、花巻同心組は秀吉による1591年の奥州仕置時における浅野長政配下の一隊で、南部氏にその後仕えることとなったようですね。
入館料は無料ですが、学術的に詳しく内部を見学したい場合は、花巻市の観光課にいちど問い合わせしたほうが良いですよ。
本屋棟に煙出し破風を設けた屋根形状の旧今川家(上面向かって右側の家)は、慶応2(1866)年の改築によって現在の正方形に近い平面形状になったものと考えられています。
欲しいモノは、それじゃない
特に専門的な解説を行う案内係の人は、残念ながら常駐していないようですが・・・
5~9月の土曜・日曜・祝日、夏休み期間は同心屋敷の縁側で湯茶サービスを実施。
この時は真夏だったので、接待ボランティア(地元婦人会)の方々から冷茶を頂きました。
「おもてなし」は重要で有難いのですが、もう少し見学者の求めるモノに合致したサービス提供を頂けたら良いのになぁ・・・と個人的には思います。
※見学者が欲しいのは、茶飲み話の相手ではなく「趣味的・専門的知識」ではないでしょうか?
花巻市街地の外周をぐるっと回って、7kmくらい歩いたでしょうか・・・
貸自転車あったの?
花巻駅を背にして駅前広場のすぐ左手・・・以前は確かお土産屋さんがあった場所だと思いますが、ベーグルカフェ「Lit work place」さんの店頭にレンタサイクルが置いてありました。
※岩手県花巻市大通り1-7-40
お店自体は朝7:00~23:00まで営業、貸自転車も8:00~18:00までなので、歩きたくない人やタイパ重視の人は、駅降りたら最初にこの店へ立ち寄ったほうが良いかもしれませんね。
せっかくですので、ベーグルとアイスミルクを頂いて帰りましょう。
本来はトッピングを加えてバーガーみたいにして食べるのですが、今回は「パン素材そのまま」の味を楽しむために、あえて塩バターベーグルを単品でオーダーしてみました♪
モチっとした生地を伸ばしながら噛むと、バターがじわじわと溶け出してきて美味しかったです。
店内はフリーWi-Fiも使えましたよ!
いかがでしたでしょうか?
今回の記事は、歴史散歩をもう少し花巻市街地の周辺まで足を伸ばしてみたい人向けに記事を書いてみました。
■デザインされた街☆彡・・・岩手県花巻市「なはん通り」編(1)
■デザインされた街☆彡・・・岩手県花巻市「なはん通り」編(2)
■デザインされた街☆彡・・・岩手県花巻市「なはん通り」編(3)
■「銀河タウン舘坂」を見て、高齢者住宅補助について考える・・・・・・
■花巻城・鳥谷崎神社・マルカンデパート大食堂のソフトクリーム
花巻は当方のブログでも何度かご紹介しているので、併せてご覧いただけたら幸いです。