Uniflame Air Grand Duo |  キャンプ用品・資料倉庫からのつぶやき

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   旅が好きです。旅の手段、目的、楽しみなどに関わる諸々に興味を持ってきました。
   ここではキャンプ道具という枠で投稿するつもりですが、脱線話もお許しください。(^^)
仕事部屋、兼倉庫からのつぶやきです。

唐突ですが、デュオと名が付くテントは、その収容人数で使用目的が想定されているためかまあ、似たような・・・・具体的に言うと軽量でコンパクトになるモデルが多いと思います。

例外としてに真っ先に思い浮かぶのはSnowpeakのランドブリーズ・デュオあたりですが、同じ新潟三条のアウトドアメーカーが、ランブリ越えをしたのではと思うほどのDuoと名のつく重厚なテントを販売していました。

 

UniflameのAir Grand Duo

 

 

後ろ

インナー

△の部分がT/C素材

 

 

 

トーチやヒーターなどの燃焼器具のアウトドアブランドとして出発したUniflameが2000年に本格的にテント市場に参入したのは同社のAir Screenで記事にしていますのでご参照ください。

本来はこの2000年発売のAir Grandを最初に記事にすべきところでしたがAir Screen、そしてこのAir Grand Duoが先になってしまいました。

 

 

 

Air Grand Duoは2003年の発売になります。2002年のAir Screenの翌年でAirシリーズは毎年着実にラインナップを増やしていきました。

このAir Grand Duoの何に重厚感があったのか?・・・・・それはAir Grandシリーズ自体に共通するのですが、ボトム生地のポリエステルオックスフォードにPVCコーティングが施されていることです。(Air Grandは210D、 Duoは150D)

このボトムの耐水圧が2000mmとなっていて、んなわけないだろ!と思って詳しく見てみると生地を縫い合わせてシームテープ加工している部分だそうで、生地自体は10000mmとなっていました。

ん?そうするとコーティングしている生地を縫い合わせしているわけで、縫い合わせてからコーティングしたわけではないということですね。(Air Grand Duoの価格が税抜き¥29800という理由の一つがわかります。)

更にインナーの素材にもう2種類、ナイロンタフタにPU防水加工とT/Cクロス(テトロン65%コットン35%)を使っています。

Air Grandシリーズのコンセプトは「夏は涼しく、冬は暖かく。雨の日でさえ快適な室内空間」という夢のようなテントを目指しています。

果たして本当にそのようなテントを作れるのか、作ったのか疑問ですが、それゆえの重厚なテントなのだと思います。

インナーテントはジュラルミンポールを魚座型に組み、ポリエステルタフタ75DにUV-CUTコーティングとPUコート、さらにシリコン撥水加工を施したフライシートにもう一本ポールを使うことで広い前室を備えるテントに仕上げました。

 

 

フライ・インナーともにメッシュスクリーンを装備

前・後ろともフラップをキャノピーとして使えます。

 

 

このようなスペックを斜め読みしただけでも伝わる重厚感を、実際設営してみるとさらに直に感じることができます。それゆえ先にあげたカタログ価格¥29800に改めて驚いてしまいます。

それだけではないんです。雨の日の撤収では、フライを残してインナーを片付けることができます。(フライでポールを固定させることで可能にしていますが、フライのみを先に設営することはできないようです。)

 

 

現在ではT/C素材がリバイバルしていますが、元々綿製品やT/C素材の幕体は70年代~80年代に使われていました。

しかし、手入れが大変でかびやすく重いというデメリットから80年代から90年代にかけては化繊100%が主流となりました。このUniflameのT/C幕をインナーに使うことは、決して簡単な選択ではなかったと思います。

さらに、Uniflameがテント市場に参入した00年代初めは、90年代のキャンプブームが過ぎ去りどこのブランド・メーカーも売り上げ減が続き生き残りをかけて様々な手段・算段を駆使していた時期です。

結果的にキャンプ人口は10年代まで減り続け90年代のピーク時の半分まで落ち込み、00年代は事業縮小、事業撤退が相次ぎました。それゆえ、ユニフレームの幕体もおよそ苦戦したと見られ、このAir Grand Duoは2年、その後AG Duo2も2年、計4年でこのモデルは消えることになります。

そしてその後、Uniflameの幕体は細々とではありますが、他ブランドとは一線を画したモデルの販売を続けています。

 

アウトドア業界が一番大変な時期に、これほど贅沢な使用のモデルを販売してしまい、相応しい評価が得ることが出来なかったモデルではないか・・・・

それゆえ私はこのモデルについてきちんとデータ資料として残して伝えていきたい・・・・まさにブログ開設となる動機となったモデルの中のひとつです。