今回からプリムスの2263・ビヨンというガスストーブから考察を始めたいと思います。
スウェーデンのプリムスを語る時、いつの時代から話そうかと悩むのですが、日本で本格的に販売が開始された1985年頃からが妥当かと思いますので、それ以前については別の機会といたします。
当時のガス燃焼器具はEPIの一択で、プリムスの2243が登場しても携帯性の良さではEPIのBPに敵いませんでした。
そのような状況で90年代初頭に、携帯性を重視した2263・ビヨンというモデルが発売されました。ビヨンというペットネームが何を意味しているのかわかりませんが調べてみたところ北欧の男の子に多い名前であるようです。
【90年代前期型】
この2263・ビヨンはBPより軽く携帯性が良いことから登山者の需要が多かったモデルですが、後年このモデルのデメリットをよく聞くことになりました。
それはガス缶とのバルブ基部の素材がアルミ製であり、よくねじ切りが摩耗してガス缶に接続出来なくなるということです。
しかしビヨンの発売はこの後にもかかわらず、携帯性と重量を優先するモデルとして、カタログ落ちするまでバルブ基部はアルミ製だったモデルです。
ねじ切りが摩耗する理由については後年知ることになったのですが、雑にガス缶と接続することで柔らかいアルミのネジ切りがつぶれた・・・・と言うことの他に、他社製のガスカートリッジを接続することでメーカーごとにガス缶のねじ山間隔の微妙な違いがネジ切りを潰す原因の一つだったこともわかりました。現在より当時はメーカーごとのガス缶のネジ山の誤差が大きかったようです。
私が知る限りのマイナーチェンジは、1995~1996年頃、バルブつまみが変更されたり、風防のパワーブスター用の穴の開け方が変更されたりしたようです。
また収納ケースも90年代初めと中期以降では変更がありましたので写真で違いをご覧ください。(尚初期型の風防は紛失してしまいました:泣)
【90年代後期型】
2263本体はスウェーデン製ですが、点火装置は日本製です。面白いことに点火装置の作りが製造年代で違いがあります。
JIAの認証が左から、96年3月、93年10月、89年12月、右2台は風防を紛失しています。また右2台の点火装置にはiwatani-primusと刻印がありますが、左の製品には刻印がありません。
バルブ基部は初期の2243と共通の部品のようですが、2263はワイヤー五徳を差し込む為の溝と穴が掘られています。
左が96年製に右が89年製に付属していたケース
現在では軽さ、携帯性において2263を上回る製品もあるのですが、すべてにおいてシンプルな構造は見ても使っても飽きがこず、バルブ基部のみ改良して再販してほしい製品です。