アンパンさんは言いました。
「なにがきみのしあわせ?
なにをしてよろこぶ?
わからないままおわる
のかもしれないけれど、
だけどだけど、ぼくは
きみをわすれないよ。」
◆
横浜で誰かがあばれたから埼玉で電車が遅れた。
そんな中で駅にいた僕は、東京を人の体のように思いながら、
ヘモグロビンのように酸素分子と結合することなく、
その肺や心臓よりも下の方へ向かっていく。
血液のように流れる電車や人の、そのいずれにも番号や名前が与えられていて
乗り込んだ列車の向こう側で一瞬目を合わせたおばあさんのそれらを知ることもないまま僕は
スーパーで買ったバナナ味のポテトチップスと塩味のポッキーを片手に数十分、
妹の家まで山手線に揺られていた。子犬を抱えてwiiのマリオで遊んだ。
指をかりかり噛まれた。
価値とは…!みたいな事をたまに卓上でムシャムシャ考えてしまうけど
ただそこに流れの中にあるだけだったりもするなあ。
◆
最近ちらほら昔からの友達が連絡をくれて
相変わらずだったりくたびれていたり、どうあれ久しぶりの答え合わせのような話は楽しくて
高校生ぐらいまで僕は本当に言葉をあまり発しない奴だったので
大人になってからの方が人付き合いは面白くなってきたのだけど
そこまで運んでくれたのは人が苦手な僕をほおっておかなかった彼らだなと
うるさい花のような人達を浮かべる。
これまでの人達とこれからの話が出来るのは楽しい。
時々小さい頃の自分に、大丈夫だぞって言いたい気持ちになる。
「おまえに素晴らしい景色を見せてやるからな」という気持ちになる。