「黒い紙に色を塗るススメ」 | スギモト ダイキノ ブログ

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背景





世界が真っ黒になったら

ずっとずっと隠れてた白を塗ろう。


おいもさんたち 
 






スギモトダイキ 1982.11.14

簡略プロフィール

2006.東京レコードより音源配信開始(2011年末にレーベル解散)

2007.ポケットスペース絵本賞受賞

2008.フジテレビ系ザベストハウス123にて紹介

2009.デザインフェスタvol.30展示。

2010.アルファポリス絵本部門賞4位、アート部門最終選考進出。

デザインフェスタvol.32展示

2011.大人も読みたい絵本アワード 入選

2012.マンガ作品海外の情報サイトで紹介される。


こんな感じで、描いたり書いたり弾いたりして

絵本・漫画・小説・音楽など作ってきました。

わりかし絵が好評で

「これどうやって描いてるんですか」ってたまに聞かれるので

ざっくりと説明します。



さかなのよこがお



色鉛筆で黒い画用紙に描いています。

色鉛筆のカリスマカラー(サンフォード社)というメーカーを僕は好んで使っています。

元々はベロール社のイーグルカラーという名前だったようですが

プリズマカラーという名に代わり、その後カリスマカラーになりました。

描き具合に大きな変化はないようです。

鉛筆自体が非常に軽く、色が紙に乗りやすいのでしつこく描き込めるのが特徴です。

色鉛筆は大きく分けて二種類、

ロウが含まれて光沢のある油性と

水に溶かして混色出来る水性とがあるのですが

こちらは油性です。

色々あるので試してみるのも良いかと思います。

色鉛筆で色を乗せる際に使用する紙は、なるべく凹凸のあるものがよいので

キメのこまかいケント紙などよりも、一般的な画用紙のほうがむいています。

※枠組みや紙面からはみ出る事を避けたい場合はマスキングテープなど利用。


タイムカプセル泥棒





黒い画用紙に描く場合、通常の白画用紙と違うのは

黒に色鉛筆の着色が負けてしまう場合があるため

筆圧や塗り重ねの工夫が必要になる事です。

淡い色調ですが結構力強く描いています。

白い紙に描く感触とはやはり違います。



つきふーせん 


色鉛筆という画材がそもそも、

こまかい技法以上に筆圧のコントロールを重要とする物だと思います。

塗り直しの難しいジャンルですが、

その分重ねて塗ることで印象を変化させる事が出来る繊細な分野です。

色鉛筆の基本的な線描法は、ハッチング・クロスハッチング・スティップリングの三つで

ハッチングは方向性を持つ線を描き陰影を出していく方法で、

クロスハッチングはその線を角度をつけて重ねて塗る方法です。

スティップリングは点を打つように描くことで質感を出す方法。芯先の具合次第で味わいが変わります。

ただ単に一色を塗っていくような時でも、

その線と他の線との流れや空気感を気にしながら描くかどうかでまるで違う仕上がりになります。

思ったとおりの線の流れにならなかった場合でも、それを活かすように描く事が大切です。


ぱんだとこぶた 





芯の状態によって色の乗り方や線の伸び方が変わります。

尖った形でひけばシャープに色が反映されますし、

丸い芯の状態で描けばもやっとした印象を作り出せます。

あえて寝かせて塗ればざらっと色を広げる事が出来ます。

微調整がしやすいので自分で鉛筆をカッターなどで削ることをおすすめします。

削ってる時間は案外気分転換になりますよ。

そういうの大事。


ぶたのさんぽ 



黒の上に色を塗ることの良さのひとつ、それは

色を加える時に光ってるように見えること。

真っ暗な闇の中に黒以外の明度のある色を足す事で

灯りが一個ずつ足されていくようで

星や月を描くと特に特徴的な感覚を覚えます。

光を作ってみてください。

白い紙に描く時は、

影となる部分に気を配って色を重ねていく事が多いと思いますが

黒画用紙は黒が基準になってくるので影ではなく光の部分に

白や灰色や黄色を重ねていくと効果的です。


つみあげる 


黒い紙に描く時に少し気をつけるべきなのは

色鉛筆の色の名前そのとおりの色が出るとは限らないということ。

種類にもよりますが、黄色をそのまま塗っても緑っぽい印象の発色を示すことがあります。

普段どおり紫を塗っても、やけに黒っぽく見えることもあります。

そういう場合の工夫として、下地を作ります。

始めに白を下地として塗っておけばほぼ色名通りの見え方になります。

あるいは白が下地だと発色が良すぎると感じる場合は、

実験的に黄色や青を置いてみたり

いずれにせよ「この色はこう出る」という元のイメージにとらわれない事が肝心です。


ぶたふたり 





色の印象は周りとの対比や差によって感じ方が変化するので

黒に囲まれてそれぞれの色がくっきりします。

一面の光の中で明るいものが大きくあるよりも

暗闇の中でぽつりと火が灯る景色の方が

時には暖かく表現出来ます。




やさいさん 


黒画用紙に描く場合、

普段黒の鉛筆やペンを使うのと同じ要領で白色を多用するようになります。

雲やため息や雪など白い紙では表現しにくかったものが描けます。

白にも色々あるので、様々なメーカーを試すのも楽しいです。

そして描き終えたら

最後にフキサチーフなどスプレー式の定着剤をかけるといいでしょう。

水分によって多少薄まるかもしれないので注意。


くまりんご 




パソコンにスキャナで取り込んだり写真におさめたりすると

実際より色の具合が鮮明でないことがあります。

そういう時は多少補正を加えます。

コントラストや明度が決め手になるでしょう。

好み次第ですが彩度をあえて下げるとノスタルジックな雰囲気が出て効果的です。

写真で撮る場合は日陰設定にするとあたたかいニュアンスになります。




みんないなくなった




という訳で

黒い紙に色鉛筆で色を塗る方法を書いてみました。

今回は特徴と方法を連ねました。

興味を持った方は、ぜひやってみてください。ぜひアナタの描き方で。





たいようがすきなゆきだるま




What is your color?

アンタ何色?






にゃあと鳴かないカラス