もう5年前になるのか、しつこい咳が出始めたのも正月休みの頃だった。色々と心労があり気力も落ちていた時期だったから、結核?肺炎?などと思いながら病院を受診もせず、そのままにしてしまった。咳は数ヶ月続いて治まっては再発する繰り返しだった。今にして思えばそれが好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(チャーグ・ストラウス症候群、アレルギー性肉芽腫性血管炎)の始まりで当時は気付くはずもなかったが、仮に受診していたとしても喘息と診断されるだけでそれ以上のことは解らなかっただろうと思う。喘息の症状は悪化するわけでもなくただ延々と続くだけのようだったから、呼吸の仕方を工夫すれば咳き込むこともなく、見逃してしまいやすかったのだ。
アレルギーと思しき症状が出始めたのは、咳からさらに3年ほど経った頃。入院の2年前頃からだ。まず豆乳でハッキリとしたアレルギー症状があらわれた。胸焼けのような・・と言っても胸焼けの経験がない人には解らないだろうが、飲み過ぎた翌朝のひどい胸焼けのように胸から首にかけた辺りが痛苦しくなる。その後、冷ややっこを食べた時にも同じ症状が出たので単に大豆アレルギーなのかなと思っていた。アレルギーを起こす食物は徐々に増えていき、特にフルーツ系では梨やメロン、キウイ、桃など日を追うごとに種類が増え続けて、終いにはフルーツは全種類NGと考えるまでになっていた。歳をとると以前は大丈夫だった食品にアレルギーが出るようになることも珍しくないと生半可な知識があったために、特に異常なこととも思わずそれも見過してしまった。いよいよ異常と認識することになったのは、毎日欠かさず飲んでいたお酒でアレルギー症状が出たことによる。
お酒に対する反応は日に日に強くなり(それでも飲み続けていた)、そのうちに誇張でなく1滴でもお酒が喉を通ると即座に激しい症状が出るようになった。これはいよいよ深刻な事態・・と思ったものの、実のところ酒飲みというのは「どこかやられてるだろうな」という妙な諦観を持っているもので、なかなか病院に行こうとしない。さらに腹痛が出始めて、食後には必ず胃の辺り・・私の場合は胃の少し下の辺りが痛むようになり、ふと気付くと足の筋肉が萎縮して筋力が無くなってきているところまで来て、ようやく青い顔をして病院を受診することになった次第だ。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は何年にもわたって少しずつ進行して行く怖い病気で、喘息などの前駆症状だけでは病気に気付きにくい特徴がある。もちろん何か症状が出たら取り敢えず病院を受診するようにすることが最善なのだが、個々の症状がそれぞれに別のものではなく関連しているかも知れないと認識することは非常に重要だ。しつこい咳が続いたり、アレルギーと思われる症状が増えてきていると思ったら、なるべく早い時期に病院で血液検査をしてもらうと良いかも知れない。好酸球性多発血管炎性肉芽腫症では神経細胞の破壊が起るので、治療は可能な限り早く始めるに越したことはない。特に酒飲みの方へ・・これぐらいどうってことないなんて意気がってる場合じゃないかも知れませんよ。