好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(チャーグ・ストラウス症候群、アレルギー性肉芽腫性血管炎)という病気については、罹患例が少ないことや原因が不明なことなどから、実態を把握することが難しいのが実情だと思う。症状の出方も人それぞれで、私のように消化器に強い症状が表われることもあれば、肺や心臓、脳にその症状が表われることもあるそうだ。しかし共通して言えるのは足や手などの末梢神経に麻痺やしびれの症状が出ることだと思う。なにしろ血管が損傷することによる神経麻痺だから、体のどこに出てもおかしくないのだ。
退院の前に精密検査の結果を見せてもらったが、正常な血管と発症している血管の比較画像は実に解りやすかった。正常な血管では血管壁がくっきりと形を保ち周囲の細胞も整然と並んでいるのが、発症している血管は形状も不鮮明でばらけたような状態になっている。血管周囲の細胞も同様にバラバラで、見た目にも「破壊されている」という印象を受けた。好酸球の攻撃によって先ず血管が破壊され、次に血管周囲の神経が破壊されて麻痺を起こすという病気のメカニズムが良く解る写真だった。破壊されたのが末梢神経なら手足に麻痺があらわれ、内臓細胞ならば内臓の機能に異常が表われる。
担当してくれた神経内科の医師によれば、破壊されたのが筋肉ならば周囲の筋肉が働きを保管することで徐々に改善されるということだ。しかし神経が破壊された場合は修復されないことが多く、しびれや麻痺が残ることも覚悟してくださいと説明を受けた。私の場合は足首から先に麻痺としびれが出ているが、これはおそらく治らないのだろうと見切りをつけている。腿の付近にも皮膚や筋肉に無感覚な麻痺症状が出ているが、これは歩行にはさほど重要でないようだ。
入浴の際に浴槽内で足指の屈伸運動などしているが、左右の足ではかなり違いがある。私はもともと痛風持ちで左足に繰り返し発作が出ていたから、左の足指は一部分が変形してしまっている。しかしその左足でジャンケンのパーをやると、見事に五指が開く。逆にグーでは完全に曲がり切らない。右足は全く反対でグーならできるが、パーは全く開かない。特に第一指と第五指(親指と小指)以外の3本の指はきつく寄り添ったようになって、互いに食い込みそうなくらいだ。前は小指も開かなかったが最近は開くようになってきたので、練習も多少は効果があるということだろう。
毎日の訓練・・・と言うほどの訓練ではなく、できるだけ出歩くようにしているだけだが・・によって筋肉が付いてきているから、最近は歩くのにさほど苦労しなくなってきた。階段も「うんしょ、うんしょ」と頑張れば、杖を付かずに登れるようになってきたほどだ。杖を使っても1段も登れなかった頃と比べれば、雲泥の差だ。しかし歩行のときに最も手を焼いているのは、実は筋力ではない。靴を履いて歩き始めると、必ず足裏に違和感を覚える。簡単に言えば靴下にしわが寄っているような感じだ。実際に最初の頃は何度も靴を脱いでは靴下を確認したり、靴の隙間に指を入れて靴下を引っ張ったりしてみた。しかしそれは靴下のしわではなく、足裏の感覚異常によるものだということが後に解った。これが歩行のときに厄介なもので、少し歩くと足の裏が痛くなる。プレドニンの影響かも知れないが足裏の皮膚が薄くなっているので、例えば電気のコードなどを踏むと非常に痛い。靴下にしわが寄ったような感じで歩行することは、これを踏み続けているようなものだから「痛い」より先に感覚的な「嫌」が沸き起こる。こういうものは慣らすしかないと解っているものの、ちょっと気が弱くなると出不精にもなりかねない。