矯正歯科に於ける専門医と認定医の違い | とりす歯科矯正(大人のための矯正歯科専門医のブログ)

矯正歯科に於ける専門医と認定医の違い

 当院を訪れる患者さんのほとんどの方は、矯正歯科専門医と認定医の違いが判らないし、知らないと云うのが実情です。特に歯科の中でも、矯正歯科はこれら制度が他科に比べ認定医制度と専門医制度の二つが存在していることが、より混乱を引き起こしていると思われます。

 

普通どの科もこのような制度は1つしか存在しないのが当たり前なのですが、何故だか矯正歯科だけは、二つ存在し、患者さんだけでなく、他科の歯科医までもその制度の違いを理解していないというのが現状なのです。

 

矯正歯科で先に出来たのが認定医制度ですが、その診査基準に大きな問題があり、大量に認定医を誕生させる結果となりました。この認定医制度は当時書類審査のみで、臨床能力を診査するものではないために、臨床能力に問題のある矯正医が大量に輩出されることになってしまいました。

 

そのために、患者さんとのトラブルも頻発する結果となりました。そういった事情を改善するべく、今迄の書類審査のみの認定医制度を廃止して新たに臨床試験を設けた専門医制度を立ち上げることを、一部の矯正専門医の開業医が学会に訴えたのですが、受け入れられず、認定医制度はそのまま書類審査のみという形で続けられてきました。

 

そのため、矯正専門で開業している矯正医が2002年に新たに日本矯正歯科協会という組織を立ち上げ、2004年には日本歯科矯正専門医認定機構を創設し、その臨床試験に合格した臨床能力を担保された専門医が毎年輩出され、現在全国で約70名の専門医が合格をしています。

 

それを受け日本矯正歯科学会も数年前に認定医制度はそのままに、専門医制度を新たにやっと立ち上げ、現在こちらは約400名の合格者を輩出しています。

 

両組織ともこの専門医制度の審査法や基準は異なりますが、いずれも実際に臨床試験を行い、合格した矯正医の臨床能力が担保された内容と云えます。そしてこれに合格した矯正医を矯正専門医と言います。両組織合わせても全国で現在約500名弱しか矯正専門医はいません。

 

しかし、認定医はこの専門医制度を受験できる申請資格を有するだけで、臨床能力を担保された矯正医とは言えません。つまり、認定医は専門医になるために研修している矯正医のことですが、全国の一般歯科医院に月に数回アルバイトをしているほとんどが、実は大学に在籍しているこの認定医なのです。そしてこの認定医の数は全国で3000名以上にもなります。

 

当然私の開業している地域でも100軒近く矯正歯科を標榜している一般歯科医院がありますが、そのほとんどが、大学に在籍しているこの認定医のアルバイト先となっているのが現状です。

 

『専門医制度の合格を証明する認定証と楯』