2015年度日本矯正歯科協会学術大会に参加して | とりす歯科矯正(大人のための矯正歯科専門医のブログ)

2015年度日本矯正歯科協会学術大会に参加して


 昨日の日曜日は、日本矯正歯科協会の学術大会に出席のため、市ヶ谷のアルカディア会館まで出掛けてきました。

9時からでしたので、自宅は7時30分に出ていきました。さすがは日曜日で、渋滞も無く予定より10分程度早く到着致しました。
9時スタートで午後5時45分まで講演そして最後は講演者全員とのシンポジウムとなかなかためになる講演内容でした。

特に医療ジャーナリストの方が日本歯科矯正専門医学会(JSO)メンバーと共に日本各地で矯正歯科に関する市民公開講演を12回開催したアンケート結果から考察を述べられましたが、その結果が本当に残念な事ながら一般市民には、矯正歯科の正しい情報はほとんど伝わっていないことを明らかとなりました。

矯正歯科の看板は矯正歯科専門医以外でも歯科医であれば誰でも出せること、すなわち矯正治療の経験が無くても治療している歯科医が沢山いること、治療時期は早ければ早いほど良いとか治療費も安くて済む、診断する以前に当院では非抜歯でやります。等々間違った情報を信じている市民が殆どと云う結果でした。

しかし、これには日本の教育にも大きな影響を受けているように思います。多数決という考え方です。極端に云えば多数の意見は正しいが少数意見は間違いといった判断基準で物事を見るのが、戦後教育を受けて来た今の日本人の用に思いますね。

考えれば小学校でも意見が割れると多数決を取り、多い方の意見を取り入れるということが民主主義であり、一番皆にとって平等なことと習ってきたように思います。こうした考え方は習慣化し大人になってもあまり違和感なく、自然に物事の判断の基準として用いているように感じます。

しかし本当に少数意見が間違いで多数意見が正しいのか?素晴らしい発見や研究って本当は一握りの少数の人達の努力や結果であり、伸びている会社にしても実際に管理運営しているのはトップの少人数だし、むしろ多数派よりも少数派の方が正しい意見や考え方を持っているのが現実だと思う訳です。

ちなみにネット上で矯正歯科に関する情報のほとんどは、非抜歯治療、夜間のみ装着装置、治療は早ければ早いほど良い、早く始めれば治療費も安くて済む、などの情報は氾濫していますが、逆に日本人の80%以上は抜歯しなければ治りません、歯並びだけでなく口元の調和も非常に重要です、治療開始時期はケースバイケース、診断の資料も無く治療方針や計画は立てる事ができません、等と云った情報は、本当に少数しか存在しません。

ある意味ではこうした情報が入り乱れてネット上に氾濫するのには、もう一つ理由があります。それは本当に臨床試験を受験し臨床レベルを担保された合格者(認定矯正専門医)が全国で400名強しかいないことも、大きな理由です。全国には矯正歯科の看板を掲げる歯科医院は約4万軒ありますが、その中で400軒程度が専門医なのです。

こうした圧倒的な数の違いが、そのままネット上に情報として氾濫しているのが現状です。400名程度の意見は大多数の情報の中で埋もれてしまっているのが当たり前とも云えます。

そんな状況の中で少しでも正しい情報を選択するのは、専門知識が無い一般市民にとっては至難の業かもしれませんね。

当院にもセカンドそしてサードオピニオンとして相談に来院する方は年々増えていますが、ほとんどがこうした、治療したら出っ歯になり口元が閉じれなくなってしまった、いつ終わるのか聞いても答えてくれない、もう5年以上装置を付けっ放しなど基本的には有り得ない治療をされている方がほとんどです。

正直に答えるべきかと一昔前は悩みもしましたが、今は患者さんの方がむしろ積極的に意見を求めてきますので、率直な意見を述べるように努めています。しかし、とはいえ患者さんには確かにショックも大きく、中には、思わず涙する患者さんもいます。

昨日のシンポジュウムで医療ジャーナリストの方も云われていましたが、市民公開講演をしたある地域で、明らかに治療開始時期も方法も間違っている9才と4才の兄弟がいたそうです。矯正専門医の話で理解したこの兄弟のお兄ちゃんが、「僕が5年間も一生懸命頑張ってきたことは何もならなかったのですか?まだ小さい弟も頑張っていたのに…」と涙を流しながら質問していた姿が今でも忘れられないそうです。

憤りを感じますが、氾濫する情報の中から正しい情報を選択する事の難しさは専門外の分野であればあるほどその選択は難しさを増すものです。そうした現状の中で一般市民の方がどうすれば正しい情報を得る事が出来るのかと云う問題に直面しているのが現実だそうです。

そんな中でこの医療ジャーナリストの方は、非常に参考になることを云われました。品格や品性のあるドクターを選びが重要だと云われました。きっと長年に渡り医療に携わる仕事を通じて、また色々な医療関係者との交流も通じ得た経験からくる真実かもしれませんね。

品格があるドクターは自分の専門外の分野は必ず他の専門の医師を紹介するのが当然だそうで、まず患者にとって何がベストかを選択するのが当たり前ということになるそうです。またこうしたドクターは他の分野の信頼できる専門医も知っているのが当然だそうです。

是非参考にして頂きたいものです。