舌癒着症と育児
このところ色々と忙しくてブログのアップが出来ずにいました。水曜日は診療後に、大学の同窓会の学術講演会へ出席し、矯正専門医としてまた新たな発見と驚きがありました。実はこの講演内容は2度目なのですが、正直1回目は、半信半疑という感じで、すべてがメリットでデメリットが全く無いといったニュアンスの講演内容には、心のどこかでそんなことはあり得ないという心理が働きました。
治療って確かにメリットがある反面デメリットもあるのが普通だと常日頃から思っていましたので、余計にメリットばかりを強調しデメリットが無いという講演内容にはどこか腑に落ちないものを感じたわけです。
しかし、今回の講演で、デメリットもある事が判りましたし、しかし、そのデメリットの何倍もメリットが大きいことも理解出来ました。
舌癒着症という病名で、いびきや、無呼吸など呼吸系に問題を生じさせる疾病の話で、いわゆる酸素を取り込む機能が不十分なためにいびきや無呼吸そして過換気が生じているという考え方です。普通ならこの酸素を楽に取り込めるはずなのですが、舌が癒着しているためにその機能を充分に発揮出来ないという人が大勢いるということです。
成人であれば毎日の生活で大きく障害を自覚するということはありませんが、除々にその症状は慢性化していくということです。しかし、これが新生児になると、大きな問題を伴います。
育児において、原因が判らず泣き止まない、目を合わさない、顔色や肌色が悪い、肌も荒れているなどなど、大変苦労してしまうケースが目立つようです。挙げ句には最近ニュース報道でよく聞く虐待にまで発展するケースが多いということです。
すなわち育児疲れで、両親も睡眠不足で疲労困憊して、どうして良いか判らなくなり虐待にまで走ることはよくあるということでした。実際に一回目の講演での演者自身がお子さんの育児で大変苦労され、奥さんと二人で途方に暮れた過去が有り、人伝えにこの舌癒着症に関して知ったそうで、藁にもすがる思いで手術を受けさせたそうです。
その結果、みるみる色々な症状が改善し、訳の判らない泣き方はぴたりと収まり、笑顔でしっかりアイコンタクトもするし、顔色や肌色もピンク色の綺麗な健康色になっていたそうです。それからは育児も楽で、むしろその成長ぶりを見ながら楽しくなったそうです。
今日本の社会問題として乳児虐待の問題がよく報道されていますが、これはほとんどが舌癒着症の赤ちゃんを抱え、若い夫婦が都会に出て来て周りに子供を見てもらえるような近親縁者もいない環境の中で、夫婦二人だけで頑張っているが、ともに育児に疲れ果ての末の悲惨な出来事というのが真実のようです。
もしそんな若い夫婦がこの病気のことを知っていて手術を受ければ、全く違った人生を送れたのにと思うと、残念ですね。
ところで私もいびきをかきます。特に深酒をした日は酷いそうで家内が物凄く嫌がっていますので、この手術を受けよかと考えているところです。