スピードスケート選手の顎の偏位について | とりす歯科矯正(大人のための矯正歯科専門医のブログ)

スピードスケート選手の顎の偏位について



養殖マグロのヒレが曲がっている理由
養殖「いけす」の大きさは、直径27m、深さ10mです。この「いけす」に400匹のマグロが泳ぎます。マグロは酸素を補給するために眠る時も休まず一生泳ぎ続ける魚なので、大海原を泳ぐ天然マグロと違って、「いけす」で暮らす養殖マグロは時計周りに「いけす」の中をグルグルと泳ぎ続けています。泳ぐスピードは100km/hぐらいとも言われます。そのため、養殖マグロのヒレは少し曲がっているのが特徴です。

この記事を読み思い出したのが、スピードスケート選手である清水選手、加藤選手そして女子では岡崎選手、大菅選手などを思い出します。スピードスケートは反時計回りにスピードを競う競技です。

鮪同様すごいスピードでいつも同じ方向で回る訳です。そしてやはり彼等一流の選手達は、当然成長発育時期からすでにこの競技を始めていて、その競技を続けながら成長発育の過程を終了していて、いわゆるスピードスケートに一番適応した体型が作られたと言えます。

その特徴が最も顕著に現れているのが、下顎の偏位です。反時計回りに回ることでそのGは右側へ強く加わります。成長発育中に絶えずこのようなGが加わることで、下顎は右へ偏位し、顔貌は非対称となります。

スピードスケートとは逆に鮪は時計回りに回っているのなら、そのヒレはおそらく左に曲がっているはずだと思います。

成長発育期を習慣的な動作や運動を行うことで、身体的な特徴として現れるのは良く知られています。特に人間は顔貌にもその特徴が良く現れます。例えば持久力が大事なスポーツ例えば、陸上特に長距離選手、サッカー選手、ラグビー選手などは副鼻腔の発達が大きくより多くの酸素を補給し易い形態になっていきます。その副鼻腔でも外からも判断できるのが前頭洞という眉間の上に位置する額の部分ですが、これらスタミナが必要なスポーツ選手は、この部が非常に発達して額が盛り上がっているのが非常に特徴的です。そしてもう一つ顔貌で中顔面(目の下から口元の上まで)が長いのも特徴です。これはやはり副鼻腔の中の一つである上顎洞の発達による結果です。

このように顔貌にも成長発育期に習慣や運動は色々な特徴を残すもので、その人の歴史を語っているとも言えます。そして口の中も顔貌に負けないだけのその人の過去を物語る情報の宝庫でもあります。

口の中と顔貌を、そして身体的な特徴を観察すれば、その人の過去はかなり読めることができるのも矯正専門医の能力の一つでもあります。