記録達成は、本末転倒、悪魔の誘惑だ。(Jul. 1, 2021) | 微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

八ヶ岳南麓、北杜市長坂町小荒間に在住。ときどき仕事をしながら、読書、音楽鑑賞、カメラ撮影、オートバイツーリングなどの趣味を楽しんでいます。

 薄暗く雨模様の1日。7月の声を聞いたが、夏の暑さはお預けで寒い日が続く。外出時、そういえばもうしばらく富士山を見ていないなあと思う。南アルプスの八ヶ岳も雨雲にほとんど麓まで覆われている。

 毎日、短編などを1作品必ず読むことにしており、その結果をMacのエクセルに相当するNumbersに記録している。記録することでモチベーションを高めているわけである。1年の約半分が経過した昨日6月30日までの記録を見ると、616となっていた。数に入れたのは、短編ばかりでなく、1冊の書物の章も、独立性が高く、1つのまとまった内容であれば、1つの数えて数にいれた。だから長編小説の1章は数に入れてない。1日に数作品、ときには10作品以上読むときもあれば、その日が終わる時間が近づき駆込みでようやく1冊の目標をクリアしたこともある。これが自然な読書かどうか多少疑問な点もないわけではない。もう何の義務も義理もないから(文学講座を主催しているから義務としての読書も少しあった)、誰に遠慮する必要もなく、好きなものを好きな場所で好きな時間に読めばよいわけだが、1作品は必ず読むという目標を掲げると、楽しみのためではなく、その目標達成のために読書することになるからだ。

 以前、オートバイツーリングに夢中になっていたとき、HOG(ハーレーダビッドソン・オーナーズ・グループ)にメンバー登録していると、マイレージサービスがあって、走行距離を重ねると、ご褒美がもらえた。一番高価なご褒美は肩にアメリカ国旗のワッペンのついた革製のジャケットで、少なくとも数万はするのではないかと思った。もちろん、ご褒美目当てでツーリングを楽しんでいたわけではなく、楽しんでいるうちに結果がともなったわけだ。しかし、毎月走行距離を競う企画があり、優勝者の走行距離を見ると、具体的な数値は忘れたけれども、異常な数値だった。少なくとも、普通の勤め人が1ヶ月の休日をすべてツーリングに使ったとしても達成できる走行距離ではなかった。いや、定年で時間がいくらでもある者でも、日常生活を多大に犠牲にしたとしても、達成はむずかしいはずだ。そのとき思ったのは、優勝者や優勝者と競っていた者たちは、ツーリングを楽しんでいるわけではなく、ただただ走行距離を稼ぐために走っている輩だろうということだった。しかも、そのために高速道路ばかり走っているにちがいない。自動車は実用的なものだから、もちろんドライブそのものを楽しんでいる人がいることは承知の上でいうのだけれども、ある用事を果たすために目的地を目指すのだが、一方オートバイは、目的地を設定し目指していても、走ることそのものを楽しむものだ。だから、走行距離を稼ぐのが目的化したら、それは走ることの楽しみを別の目的のためにすり替えることであり、本末転倒だろう。

 記録達成とは悪魔の誘惑かも知れない。昨日で、1年の半分で616作品を読んだ。ということは、この調子で行けば、2021年度は少なくとも1200作品は行けるのではないか。それを達成しようとしたら何か大切なことを忘れかねない。気をつけなければならない。そのためには読んだ作品を記録することをやめるのが一番かも知れない。だが、このブログも毎日欠かさずに書いているが、読書の記録も続けたい。記録の達成ではなく、記録すること自体に意味がある。

 

 午後は原村の自由農園の808(ヤオヤ)へ行き、野菜と草花の苗を買った。

 帰宅後、K子もぼくも仮眠をとる。今日の天候は身体への負荷が大きかった。