--Ciao ROME--


ガタゴトといつもの貨物列車がホテルのそばの線路を通り過ぎる。

デジタル時計の表示を見れば5:17。ぼやっとしながら夜明けを待つ。

長かったようで短かったイタリア旅行も終わりだ。

日本から6000マイル離れたこの地でオレは芸術に出会い、食べ、歩き、そしてひたすら迷った。

そんな旅ももう終わりをむかえようとしている。


夜が明けると荷物をかばんに詰め込み、いつものように熱いシャワーを浴びホテルを後にした。

今ではすっかり通り慣れたホテルの前の通りを荷物引きづり駅へと向かう。


あの時 は真っ暗だったtuscolana駅。今は燦燦と照りつける太陽でまぶしいくらいに明るい。


いろいろあったな。いろいろと・・・

イタリアで暮らしたいたかと言われれば、正直今は日本が恋しい。

それでも、イタリアとの別れが寂しいのも事実だ。


「電車よ、もうしばらく来るな」そんな気持ちで線路を見つめる。


しかし、電車はすぐに来てしまった。時間は必要なときほど早く流れてしまう。


車窓にはイタリアの大地が広がる。

今度またイタリアに来る事があったのならば、田舎の方にも行ってみよう。

それはきっと美しいに違いないだろう。


40分もすると電車はフィウミチーノ空港へ到着した。


後はチェックインして飛行機に乗り、ビールを呑んで眠ってしまえばそこは日本だ。

"Ciao Italia" 出国手続きを済ましてしまえばそこはもうイタリアであってイタリアではないのだ。


空港の入り口でパスポートを提示する。そして航空券も・・・


ん??無い??まさか、な・・・


日本から来るときよりも少し重くなったカバンに手をいれガサゴソと航空券を探す。


無い・・・


ちょっと待て!?そんなわきゃねーだろー!!!


荷物を全部ひっくり返しバタバタと航空券を探す、探す!探しまくる!!!

無い! 無い!! 無いー!!!


カバンを隅からスミまで探そうとも航空券はどこにも無い!

よーく思い出せ、落ち着くんだたけし。どこかに、どこかにあるはずだ!


「おうちに帰るまでが遠足です」

幼き頃さんざん言われたあのセリフが頭の中をリフレインしていた。

--AL PONTE DELLA RANOCCHIA--


中庭でビールを呑みほろ酔い加減になったオレは一眠りすることにした。

せっかくイタリアに来たってのにもったいないと思う人もいるかも知れないが

旅行なんて結局のところ羽を伸ばしに来るのだ。

時間に迫られ、あちこちを見て周りへとへとになるなんてゴメンだ。

そんなになるくらいならホテルでテレビでも見ながらビールを呑んでた方が100倍マシだ。

そう思いながら靴を履いたままベッドへと倒れこんだ。


一眠りすると時間は18時だった。

酒を呑んで眠って起きたら当然空腹、今日はイタリア最後の晩餐。

今日だけは何を食べるか決めておいたのだ。


「AL PONTE DELLA RANOCCHIA」

この店は観光客もほとんど来ないような場所にあり、しかも泊まっているホテルから程近いところにあるらしい。

日本にいる時にオールアバウトジャパン で調べておいたのだ。

「言葉なんて問題ない、旨いものが食べたいんだー!という気合の入った方におすすめ」

などと書いてあるんだから、こりゃあどんな芸術作品を放置しにしても行かなくては!


5月。イタリアの昼は長い18時なんて夕方にも差し掛かっていない。

ぶらぶらと住所を頼りに店を探す。

ホテルから程近いはずなのだが、案の定店は見つからずぶらりぶらりと迷走を続ける。

これも最後の夜かと思うとなんだか感慨深いものがあるものだ。


そして小一時間歩き。

見つけた!


近寄って店名を確認すれば

「ある・・・ぽんて・・・でら・・らのっきあ!!」

おお!間違い無いここだここだ!!

早速うまいもの食おうじゃねーか!


オレは胃袋にありったけの希望を持たし、張り切って店の扉を開け店の中へ入っていった。


なんだかかわいらしい店内。気取らないところがトラットリアといった感じだ。

日本のイタリアンに比べるとニンニク臭がしない。ニンニクの違いなんだろうか?


さて、何を頼もうかな?胸を高鳴らし、ハラの虫を鳴らしながらメニューを開く。


よ、読めねえ・・・


何書いてあるんだかさっぱりわかんね。

いや待て。仮に読めたとして料理の内容はわかるのか?

仮に「ゼッポリーネ」を読めたとしよう。

「ゼッポリーネてなに?」

という展開は目に見えている。


観光客の来ない店。ただじっとメニューを見つめる日本人。

5分もするとさすがに見かねたのか従業員の姉ちゃんが席に来てくれた。

どうやら料理の説明をしてくれるらしい。しかも、英語で説明してくれると!!!


ぜひぜひ説明してくれたまえ。

君のかわいい声で説明が聞きたかったから今まで注文せずに待っていたのだよ。

そして彼女の説明は始まった。


炭酸水だけは頼めた。


かなりの数があるメニューなのだが彼女は全部丁寧に英語で解説してくれた。

なんと親切なのだ。メニューの説明だけで30分かかるというのに、嫌な顔ひとつせず解説してくれたのだ。

正直途中から解説がウザかったのは今だから言える事だw


そして数あるメニューの中からトマトソースのリングィーネとピスタチオのペンネを選んだ。

前菜はお任せで、デザートはヨーグルトをチョイス。

なぜ、そのチョイスにしたかと言うと


ペンネとリングィーネくらいしか聞き取れなかったのだww


言葉なんか問題ないとはいうけれど、多少はわからんとうまいものにもありつけないのかも知らん。

ワインは適当に料理に合うものをチョイスしてもらい、最後の晩餐は始まった。

アンティパスト なんだったか記憶が曖昧だが結構うまかった気が・・・


リングィーネがやってくる。

日本のそれとは違いやはりニンニクの香りがまろやかだ。

日本のイタリアンに慣れ親しんだオレにはちょっともの足りない気もした。


ペンネは中々。砕いたピスタチオがいいアクセントと絶妙なコクをかもし出す。うまい!

そういえば日本ではナッツを料理に使うってあんまりないなぁ。

ゴマはやたら振り掛けるがナッツを使った料理って何があるだろう?

味噌ピーくらいのもんか?イタリアンとは程遠い・・・がんばれ日本料理!


デザートは強力!チョコが濃厚なのがすごい!カカオ何%だ?

ヨーグルトも日本で慣れしたんだヨーグルトとは完全に別物だ。

酸味が強く、香りも強い。正直コレは苦手な味だ。


しかしながら最後の晩餐にふさわしく全般的に中々うまかった。

これでこの国ともおさらばか。。。


すっかり日の暮れた街をほろ酔いになりながらホテルへ向かって歩いた。

空に星は見えず、街頭も少なく暗い道をぶらりぶらりと歩く。


最後の夜、オレはやっぱり道に迷った・・・

--Piazza Navona--


あても歩くのが楽しいローマだが、パンテオンにたどり着くまで迷いすぎた。

重い足を引きずりながらゾンビのごとき足取りでローマの街を歩く。

「よし、ここは一旦ホテルに戻って休憩しよう」

そう思い地下鉄の駅を探しに歩き始めた。


途中面白そうな小物屋があったので立ち寄り中を覗いてみる事にした。

店内に入り「Buongiorno」と声をかける。すっかり気分はローマっ子だw

オレってば日本人の中でもとりわけ濃い顔してるのにあつかましいにもほどがあるww


「Buongiorno」

店員からもの挨拶も聞こえる。続けて「日本語でおk」とも聞こえた。

見るとそこには明らかに日本人の顔立ちをした店員が

「日本人の方ですよね?」

と、声をかけてくる。


うはwwwwwwwテラハズカシスwwww


なんだか非常に恥ずかしくなったオレは逃げるように店の外へw

再び地下鉄の駅を探して歩き始める。早く地下鉄に乗ってのんびりホテルで休みたい。

しかし・・・


ビクッ. ∧ ∧ ∧ ∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  Σ(゚Д゚;≡;゚д゚) < うおっ、なんかすげえ所に迷い込んじまったぞ、ゴルァ!
     ./ つ つ    \______________________
  ~(_⌒ヽ ドキドキ
     )ノ `Jззз

ここはいったいどこなんだ?


ガイドブックを見ると「ナヴォーナ広場」と書いてある場所だ。

どうやら観光客の中ではスペイン広場についで有名な広場らしい。

スペイン広場より広い広場でば観光客などが楽しく食事をしている。

いやぁ、天気もいいし、楽しそうだ。

そんな事より地下鉄の駅はどこだよ!?

オレはホテルで休みてーんだよ!

みろよオレの足取り。まるでバイオハザード のゾンビだぜ?


ほーゾンビですか?倒れそうなので支えてあげましょう。


そう言ったかどうかは知らないが、手を差し出すこの彫刻はまたもやベルニーニ の作品らしい。

どうにもアートを理解できないオレは、さらにふらふらと地下鉄の駅を探しホテルにたどり着く。


ふう、なんとかたどり着けたホテルの中庭にてビールを呑む。

どんなアートより何より落ち着いて酒が呑めるってのが幸せだ。

明日には日本に帰るってのにアートよりも何よりもビールかよ!


多分オレはイタリアに向いていないw