--Io non posso ritornare--


呆然・・・まさに呆然だった。

もし、オレがイタリア語、もしくは英語の語力が少しでもあったならば

飛行機の振り替えなどが出来たのかもしれない。

もし、オレの財布に金があったのであれば

たどたどしい英語と身振り手振りでなんとか他の飛行機に乗れたのかもしれない。


だが、バカをやってきたオレには両方ともに備わっていなかった。


しかし、このまま呆然としていても時間が過ぎるだけだ。

幸いエアチケットは見つかった。ここはポジティブに行こう。

一日旅行が延びたと思おうではないか。

なんだかすごくラッキーではないか!?

よーし、ボーナスステージだと思って今日一日楽しんじゃうぞー!


まずは空港内探索。今オレに必要なものは間違いなくビールだ!

えっと、バールの位置は・・・

 

しかし、広い

このエレベーターで何度もあがったりさがったりした。


しばらく空港内をうろうろしてててふと気が付いた。

あ!これってあれじゃん!



工エエェェ(´д`)ェェエエ工

って事は何か?オレ半年くらい空港で暮らすの??

そんでなんだか空港の姉ちゃんと恋に落ちたりするの??

それもまぁ良く・・・・ねーよ!!!!!


これはマズイ!!

ビールとか言ってる場合じゃねーぞ、オイ!!まずは日本に連絡だ!

売店でテレフォンカードを購入して日本へ電話。

使い方 まったくわかんね・・・

テレフォンカード入れてもなんの反応もないし・・・

他の電話もみな同様まったく反応しない。


こうなってくるともうビールどころでは無い。

酒があっても寝床がないってんじゃタダの野生のおっさん だ。

「まずはビール」とか言ってる場合じゃない!まずは寝床の確保だ!!


数日前イタリアに来たときと同様

トレニタリアに乗って移動


目指すはtuscolana駅!

もう一度泊まりなれた宿「EXPRESS BY HOLIDAY INN SAN GIOVANNI 」に戻るのだ!

さすがに何度と無く通いなれた道。

初めての夜のように迷うことも無くたどりつけた。


そんでまたここですよorz


飛行機に乗り遅れた事をフロントに伝えると非常に丁寧に対応してくれ部屋を押さえてくれた。

カードがあってよかったホントに。イタリアでもVISAが使えます。


とりあえず寝床は確保だ。これで安心してビールが呑める。

こうなったら一安心。せっかくの延泊。心行くまで残りのイタリアを満喫しようじゃねーか!


だが、オレもバカじゃない無いぜ。

まずは明日の支度をしようじゃねーか。朝にバタバタするから忘れ物するんだよ。

今のうちに支度しときゃ何度でも忘れ物を確認できる。

それで忘れたらホントどうしょうも無いってもんだw


えっと・・・


財布、ある


パスポート、ある


エアチケット、ない


無い?え??なんで?

荷物を全部ベッドにひっくり返してすべてをあさるがどこにもエアチケットは無い!

なんだよ!どうあってもオレを日本に帰さない気かよ!!!!!


オレは涙目になりながらベッドの上に散乱する荷物の中からガイドブックを取り出し

大使館の住所を調べ始めた。


--Affretti! TASSI--


EXPRESS BY HOLIDAY INN SAN GIOVANNI

ホテル名を告げるとタクシーはもの凄い勢いで走り始めた。

急いでいる事を察したのだろうか「何かあったのか?」という様な事を聞いてくる。

片言の英語でがんばって「I have left the airline ticket at the hotel!!」と伝えると

「そいつぁ大変だ!」とばかりに運転手はアクセルを踏み込んだ。

高速道路を右往左往、ビュンビュンと車の間を抜けていく。

メーターを見ると100mile/h!!!!いくらなんでも飛ばしすぎだろ!!


「フライトの時間は何時なんだ?」

「どこから来たんだ?日本人か?」

「オレも日本に行ったことあるんだよ、京都とかいいよな」

「イタリアではどこにいったんだい?」

などとよそ見半分で聞いてくる。


いいから、前見て運転してくれ!わしゃ不安でしょうがないわい!!

つか、あれだ、なんだ、車酔い・・・気持ち悪くなってきた・・・


すっかり静かになるオレ、ほっとくと延々話続ける運転手。

イタリアに来て初めて乗ったタクシー。まさかこんな運転手につかまるとは・・・


しかし

Stati Uniti d'America: "Non parlate al guidatore".
Germania: "E' strettamente proibito parlare al guidatore".
Inghilterra: "Si richiede di astenersi dal parlare al guidatore".
Scozia: "Cosa ci guadagni a parlare al guidatore?"
Italia: "Non rispondete al guidatore".

アメリカ合衆国「運転手に話しかけないでください」
ドイツ「運転手に話しかけることは厳格に禁じられています」
イングランド「運転手に話しかけることは控えるようお願いします」
スコットランド「運転手に話しかけて何の儲けになるというのだ?」
イタリア「運転手に返事しないでください」


こんなジョークがあるくらいだ。

イタリアのタクシーの運転手はおしゃべりなものなのだろう。

ああ、無愛想な日本のタクシーが懐かしい。


すっかり車酔いになりながらどうにかオレはホテルにたどりついた。

よもや、また帰ってくることになろうとは・・・


カウンターで忘れ物をした旨を伝え、部屋に入らせてもらう。


また、この部屋ですよ・・・


お、あった!エアチケットあったーよ!!!

よし、今度こそ日本に帰れる!!!!


待たせておいたタクシーに乗り込み再び空港へ戻る。

「チケットはあったのか?」

「フライトは何時なんだ?」

「残り1時間か・・・ OK間に合わせてやるぜ!」

「ところで日本のどこから来たんだい?」


いいから前見て運転しろ!!!!


30分後タクシーは無事に空港へ到着した。

財布にあるお金をほぼタクシーに支払いすっかり気持ち悪くなりながら

「グラッツェ」とタクシーを降りる。

今、思うとあのタクシーは白タクだったんじゃなかろうか?


とにかくだ、フライトまでは残り30分。そんな事考えてる時間はない。

走れ!とにかく走れ!!チェックインカウンターまで走るのだ!!


重い荷物を担ぎひたすら空港内を駆け抜ける。

そしてチェックインカウンター


誰もいねぇ・・・


これは、本格的にダメかもわからん!!!

いや、まだ間に合うはずだ!つか、間に合わなきゃ困る!!!

とにかく日本語が通じる人を探して何とかしてもらうしかない!

走る、走る、空港内を迷いながら走る。


いた!


日本人ツアーらしき人が円をえがき集まるその中心に日本人女性のツアコンがいた!

この人ならきっと通訳できるはずだ!!!!


ツアー客をかきわけツアコンにワケを話す。

「かくかくしかじかで、急がないと飛行機乗り遅れちゃうんです!」

ツアコンはすぐにその状況を理解してくれ、インフォメーションカウンターに向かってくれた。


ツアコンと一緒になってエアチケットをカウンターに見せて事情を説明する。

助かった。これでなんとか、日本に帰れそうだ・・・

しかし、インフォメーションカウンターのお姉さんは残念そうに「too late....」と首を振った。


ん?なんか言ったか?とにかくオレは帰れればいいんだ。

そう、貨物扱いでもいいから日本に帰れればいいのよ、オレは。

どうなったのよ、親切なツアコンのお姉さん?


「スイマセン、もうチェックインできないそうです」


(゚Д゚≡゚Д゚)エッナニナニ?


「今日はもうフライトが無いので明日のフライトで帰るしかないそうです・・・」


(∩゚д゚)アーアーきこえなーい


「あきらめてください!」


工エエェェ(´д`)ェェエエ工


行っちゃった・・・・


日本から6000マイルも離れたこの地で、オレはこの旅最大の迷走をむかえていた。

--Io sono ritornato--


エアチケットが無い!

イタリアとの別れが寂しかったはずのオレだったが、その瞬間には猛烈な勢いで日本に帰りたくなっていた。

すぐにでもイタリアを旅立ちたい!しかし、そこにはエアチケットは無い。

まさか片道キップでもなかろうに!果たしてどこに!?

冷静に今日起きてからの行動を整理する。


起きる→シャワー→荷物整理→飛行機の中で使うものは荷物の一番上→後回し→机の上→???


これだ!!ホテルの机の上に機内で読む本と一緒に置きっぱなしだ!!!


間違いない!その後カバンに入れた記憶がまったく無い!!!

ならばホテルに急いで戻らなくては!


しかし、待て。

ここからホテルまで片道40分で往復80分。今は出発の2時間前。

間に合うか?



駅から、ホテルまで5分。電車すら時間通りに来ないここはイタリア。

ならば、直接カウンターに行って交渉したほうが早いだろう。

幸いパスポートはあるし、予約はしてあるのだ。なんとかなるだろう。


ひとまずチェックインカウンターへ向った。

カウンターではさらっとパスポートを受け取ってくれ、すぐにでもチェックインできるように手配してくれた。

中々丁寧親切だ。そして、エアチケットの引換券が無いと伝えると。


「は?オマエ、そんなんじゃ乗せらんねーよ!!!」


と、突如態度が豹変した。

ベルトコンベアに流れているオレの荷物を引き戻し、すごい勢いで巻くしたてる。

すまん、何言ってるかわかんねーよ!?もうちょっとゆっくり言ってくれよ?

すると、従業員。紙にさらさらと書きながら説明してくれた。


えっと、何々?

*警察にチケットを無くした事を届けろ

*パスポートの写真をコピーしろ

*ペナルティとして$150払え

*ローマ郊外にあるアエロフロートのオフィスで再発行しろ


さらに言うなら今日のフライトはこの便でお終いだ。

明日また来いよ。Ciao。


ふむ、なるほどね。紙書いて口頭で説明されるとわかりやすいもんだ。


って、ぇええええ!!!!


おま、ちょ待て!!って事は今日帰れねーじゃねーか!!!

オイ!┐(´д`)┌ ヤレヤレみたいなリアクションとってんじゃねーよ!

泊まる場所もねーんだぞ!?どうすんだよ!!!?


どれだけ叫ぼうが受付は┐(´д`)┌ ヤレヤレなリアクションだ。

さあ、どうする?ホテルにエアチケットがあるのはわかってる。

しかし、電車で帰ったところでもうチェックインには間に合わない

これは・・・もうだめかも・・・


lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
llllllllllllllllllllllllll/ ̄ ̄ヽlllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllll /      ヽllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii  永 そ あ .iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii
iiiiiiiiiiiiiiiiiiiii|  住 こ き  |iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|  決 で ら  |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|  定  め  |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;|  だ  .た  |:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;|  よ   ら  |:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
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                  廴ミノ
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                 y':;:;:;:/⌒i!
                ⑪:;:;:;:;};:;:/;},
      ;il||||li'       t`'---‐';:;:;:l
     ,.r'"''、,┘        7;:;:;:;:;:;:;:;「
    ノ4 (⌒i        .}:;:;:;:;:;:;;/
   /..,__彡{, |         `i:;:;:;:;:;}
   (  .ミi!} l、         .」:;:;:丿
  クュ二二`Lっ)        `==='


ヤバスwwwwwwwこのままじゃイタリアンジゴロ確定wwwww

近いうちに胸毛生えてきちゃうよ!!!パスタとかピザも好きだがオレは日本食が好きなんだよ!

ブロンドも好きだけどオレはやっぱり黒髪が好きなんだって!!!!!


llllllllllllllllllllllllllllllllll/  ̄ ̄ 'ヽllllllllllllllllllll
iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiil  帰 日  liiiiiiiiiiiiiiiiii
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l  り 本  l;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;:;;l  た へ   l:;;:;;:;;:;;:;;:;;
;:;:;:;:;:;:;:;:;i;:;:;:;:;:;:;:l  い     l:;:;:;:;:;:;:;:;:;
;::;::;::;::;::;:i;::;::;::;::;:l  で   .l::;::;::;::;::;::;
;.:;.:;.:;.:;.:;fi;.:;.:;.:;.:;l.  す   l.:;.:;.:;.:;.:;.:;
;..;..;..;.. i三i .;..;..;ゝ _____ ノ;..;..;..;..;..;..;
゙ `    ̄    ´ ' - ; : : : : : : : : : : ;
                  ´ ' - ; /
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‐‐illlllli‐r" ~ヽ.‐‐tf;;;;;;;;i. i, ,,i  i" 'f;;;;;;
 .lllllllli lt f  ;. i」i;;;;;i.riii:、il  l!,,,,i;;;;;;;
ニi,r i,i r ュ.-/ニニi;;;;;;rllllllllヾ  i,n,,!,ft
 ,i,i i,i,.i;:;:;:;:/    i;;ii/l/lllllllllヽ ,!i.iii.i `
      .i;:;:;/   `"(lllllllヽ- r‐'  `"

そうだ!オレは日本人!!日本を捨てられるわけが無いのだ!

悩んだ結果、オレはタクシー乗り場へと走った。

金はかかるがタクシーならばひょっとして間に合うかも知れない。

何もやらずにあきらめるわけにはいかん!!!

胸毛にはまだ早い!スマン、パンツェッタ よ!


空港を出ると幸いにもすぐにタクシーは捕まった。

タクシー乗り場に着く前に

「タクシーかい?こっちに乗りなよ」

と、声をかけられたのだ。

タクシー乗り場は長蛇の列。

これは願ったりかなったりだと、迷わず乗り込んだ。


間に合わなければ胸毛・・・

そんな不安を知ってか知らぬかタクシーはホイールスピンをして走り出した。