先日、地方に行った際、バスの休憩所で30分の時間を市場探索に使った。市場が大好きな私は、どの地方に行っても、気になるのだ。そして、珍しいものや、特産のものを、買ってはプノンペンの自宅に住むクメールの姉妹と分けて、味わう。
とはいえ、この写真は、私がいつも行くプノンペンの市場とそれほど変わりはない。ただいつも、カメラを持ち歩かないので、市場の風景を写真に収めることが少ない。今回、バナナの花(トロヨーン・チェイク)をカメラに収めた。
日本ではバナナはほとんど輸入だと思うので、なかなかバナナの花にはお目にかかれないが、カンボジアでは、バナナの実だけでなく、花も茎もたべるのだ。花は、サラダやスープにする。中が白くて、味はあまりない。この花が裂けて、小さなグローブのようなバナナの子供がのびてきて、やがてあのバナナになっていくのだ。
以前、シェムリアップの木の家に住んでいたときは、窓を開けると、目の前にバナナの木があったので、毎日観察したことがある。ぐんぐん伸びる、南国のバナナ。南国の豊かさを実感したものだった。
まもなく、日本の土地を踏まずに1年になろうとしている。自分の中では、これからこの最高記録の更新になる。だんだん、帰る回数が減っていく。
最近、町の風景のなにもかもが、なんだか、妙になじんでくる。路地の何気ない暮らしの匂いや喧騒に心が安らぐことがある。なにか昔に見たようなそんな風景だと感じることがある。
けだるい暑さも、懐かしい夕方の匂いも、朝の賑わいも。