先日からカンパニョーロ・コルサレコード/Cレコのリアディレイラー/RDを調べている。
事の始まりは、先日、完覇!超記録‼︎さんの家を伺った時、謎のCレコを見せて頂いた。
アウタープーリーケージに半円形の穴が空いており、後から加工されたように見える。
当初このCレコはプーリーケージに穴あけ加工した改造モデルかと思ったが、細部を見ると今までと違う点が見えてきた。
それは以下の通り。
・アウターケージに穴が2箇所開いている(上の写真参照)
・パンタアームを固定するピンが逆から打っている(逆ピン)
左が完覇!超記録‼︎さんから預かった個体で、右がデータブックに1型Aと載せた物。
左はパンタピンの向きが逆で、右が正規品でコレ以後のモデルも全て同じ向き。
・パンタアーム内のリターンスプリングがヌーヴォスーパーレコード/NSRと同じ。
左はパンタアーム内のリターンスプリング径が小さいことが分かる。
・リターンスプリング径が小さいのでインナーパンタアームのスプリング切り込みが小さい。
・アウターケージにテンションスプリング穴が3箇所開いている。
左がスプリング穴3つで、右がスプリング穴2つになり、これ以降はずっと2つ穴。
そしてアウターパンタアーム裏に「84」刻印が入っている。
これはどういう意味なのか?
この個体をカンパニョーロコレクターのS島さんとイチカワさんに見てもらい、意見を伺った。
刻印に関してはS島さんから数字を四角で囲むSquare/スクエアー表記は、生産年度を表すと言う。
しかしS島さんも「84」刻印は初めて見るという。
データブックに載せた手持ちCレコのパンタアーム内の刻印を確認すると、1型A、1型B、1型Cがスクエアー21、2型Aがスクエアー31、2型Bがスクエアー51だった。
スクエアー11は1985年製、スクエアー21は1986年製と伺った。
そしてS島さんの知人が持っている初期型Cレコにも「84」刻印が入っている事が分かった。
この「84」刻印は、おそらく製造年を表すようで、Cレコ発表年度の1984年製と思われる。
データブックのCレコ1型Aはワタシの手持ちで、スクエアー21(1986年製)なので、今回の個体は2年前の型になる。
そして謎だったアウターケージの肉抜き穴は、イチカワさんの友人が同様に加工された個体を持っている情報を頂いた。
ケージの肉抜き穴は、レースで泥詰まり対策としてメカニックによって開けられた穴で、他でも確認されていると言う。
なるほど!
だから後から機械加工で開けたようなプーリー穴だったのか。
今まで見つかった変更点を踏まえて、新たなコルサレコード ディレイラーの変遷を。
1982年9月 ケルンショーでプロトタイプ発表。
ニューサイ82年11月号に白黒写真でエアロの試作品変速機しとして出ている。
1983年~1984年 ロードレースで使われている新型変速機を目撃される
1984年9月 ケルンショーでCレコ発表 パンタアームにカンパニョーロ羽マーク刻印のモデルを1型と呼ぶ
1984年 (左上)1型A 「84」刻印 オープンスプリング仕様 リターンスプリングNSRと同じ パンタピン逆ピン アウターケージにテンションスプリング穴3つ(今回の個体)
1985年前期 スクエアー11刻印 テンションスプリング穴2つに変更
1985年後期 1型B スクエアー11刻印 パンタピン正ピンに変更 リターンスプリングCR用太巻きに変更
1986年前期 (右上)スクエアー21刻印 上と同じ
1986年後期 (左下)1型C スクエアー21刻印 オープンスプリング廃止
1986~7年 (右下)1型D スクエアー21刻印 アウターケージに穴空き
パンタアームにプリント表記のモデルをコルサレコード2型と呼ぶ。
1987〜90年(左)2型A スクエアー31刻印 パンタアーム変更 刻印→プリント ケージ表止め
1990年 (中)スクエアー31刻印 黒プーリー仕様(横型レコードと同じプーリーを使用)
1991年 2型B スクエアー51刻印 インナーパンタアームの変更
1991年 (右)2型B スクエアー51刻印 グレーアルマイト仕上げのセンチュリー仕様
以上が現時点でのCレコの分類と考えている。
これからも新たな変化点が見つかるかも知れない。
今回の個体は、完覇!超記録‼︎さんが発見し疑問を持った事で、お借りして調べる事になった。
そしてカンパニョーロコレクターのS島さんとイチカワさんに意見を伺い、またその友人の皆さんに情報提供をしていただいた。
出来るだけ多くの有識者に見てもらう事で、新たな変化点が分かり、多くの情報が集まる事を実感出来た。
ホント大感謝でございます!
他にも謎が残っている。
まだスクエアー41刻印の個体は見つかってないが、もし見つかったら形状に変化があるのだろうか。
また小物パーツの変化もある事が分かった。
カンパニョーロは謎が深く、底が見えない💦












