昨日のブログアクセスデータを見ると8500件を超えていて、今までで最高となった。

普段は1500件前後なので、どうしてこんなにアクセス数が増えたのか理由が分からない。

書いている内容は自転車ネタばっかりで、一般受けする訳が無い。

 

今までたまに2000件超えは年に何回かはあるが、8000件オーバーとは何か訳の分からないカラクリが働いているようだ。

気持ち悪いな(汗;。

 

 

今回はクランク長の話を。

昔はクランクの長さは身長の1/10が目安と言われた時代があった。

コレは身長分布が160~170cm前後の身長なら当てはまる話で、ワタシのような190cmの人間は190mmのクランクを探しても何処にもない。

市販のクランク長さは165mmから175mmまでで、長くても180mmクランクがあるくらい。

 

ワタシも165mmから180mmまでのクランク長さを試した事があるが、現在使っているのは175mmクランクで、もう40年も違和感なく使っている。

 

トライアスロン時代に180mmや177.5mmクランクを使ったが、前乗りで長いクランクを使って重いギヤを踏みスピードアップしたが、無理をした分、ランでダメージが大きく、オールマイティに使えなかった。

 

パワーメーターを付けて計測すると、クランクを長くするより短いクランクでケイデンスを上げた方が高い出力を出せるという。

身長190cm近い背の高いスプリンターであるマリオ・チッポリーニでも170mmクランクを使っていて驚いた事があった。

 

 

ワタシの手元にはキッズ用の130mmクランクと、ワタシがトライアスロン時代に使っていた180mmのクランクがあった。

 

 

半径で5cmも長さが違うと、一周で31.4cmも多く外周を回している事になる。

長いクランクが効率がいいとは限らないのだ。

 

現在はロードでもMTBでもグラベルバイクでも175mmのクランク長で統一しているが、±2.5mmの172.5mmや177.5mmならそれほど違和感なく使える。

 

しかし普段使うクランク長±5mmになると、かなり違和感が出てくる。

やっぱり自分に合ったクランク長さはあると思った。

 

 

クランクの長さに関して何か資料がないかなと探していたら、初代バイシクルクラブ編集長の佐藤晴男さんが残してくれたクランク長さの選び方についての資料があった。

参考になる図もあるので、一緒に載せたいと思う。

 

 

脚の長さと、クランクの長さ。

長いクランクはテコの原理で有利ではあっても、脚の長さ、特に大腿骨の長さに対して無理の無いものでなければなりません。

たとえば、同じペダル踏力でも、170mmクランクはテコの原理で165mmクランクよりもトルクを3%増大させることが出来ます。

 

しかし、プラスのみを生みだせるのは神様だけ。

人間のすることはたかが知れていて、プラスを生むと必ずマイナスが生じ、クランクの延長による関節の屈伸幅の増大は筋肉の運動量の増大をもたらし、とくに主稼動筋肉の大臀筋の負担が大きくなります。

 

そのために、長いクランクを使うTTでは腰を前方に移動して股関節の屈伸幅の増大を抑え、トルク増だけを利用することが行われますが、それには数センチという大幅な前方移動が必要です。

 

2016年ジロの勝者ヴィンチェンツォ・ニバリが最後の最後まで苦戦を強いられたのは、クリス・フルームが175mmのクランクを使っているからと、ニバリがユニオーレスの頃から使い続けてきた172.5mmのクランクを、トレーナーのスロンゴが175mmに変えたところに原因がありました。

この場合サドルを5mm前方移動しましたが、その程度の移動では影響は無いに等しく、第19タッパから172.5mmに戻して辛うじて勝利をつかみました。

 

 

適正クランク長については、大腿骨の長さを基準にしたプルイット博士(表A)やオーシャルテ博士(表B)によるもの、股関節からの脚の長さを基準にしたザーニ博士によるもの(表C)などがあります。

 

 

フランスのオーシャルテ博士は乗車時の大腿骨の前下がり角度によって、クランク長が適正かどうかを判断する方法も発表しています。

 

大腿骨の角度からクランク長の適正/不適正を判定する方法

ペダリング時のクルブシの角度で股関節が最も屈曲する位置にペダルが来たときに大腿骨が12゜~15゜前下がりになるクランク長を適正とする(オーシャルテ)

 

 

クランク1周・4位相での稼動筋肉

 

 

クランク1周での下肢の動き(オーシャルテ)

この図は前項のオーシャルテ博士によるクランク1周の4位相を、稼動筋肉に重ね合わせたもので、Ⅰの踏み込み位相の主役が大腿部を押し下げる大臀筋と、膝関節を伸展させる大腿直筋であることが解ります。

 

 

クランク1周での下肢の動きについては多くのラボで分析されてきましたが、オーシャルテ博士は、関節の屈伸、すなわち筋肉の伸縮を基準にすると、クランク1周は4つの位相から成り立つとしています。

 

位相Ⅰ:約20゜~145゜

股関節は35゜程度、膝関節は65゜程度と、ともに大きく伸展し、股関節の伸展の大部分はこの位相で行われます。いわゆる踏み込み位相に該当し、股関節の伸展には大臀筋、膝関節の伸展には大腿部の前側の大腿直筋が主として働き、両者は同調しています。

 

位相Ⅱ:約145゜~215゜

股関節の角度変化はごく僅かで、膝の動きは水平に近いですが、関節は30゜ほど屈曲して引き足期に入り、フクラハギの腓腹筋、拮抗筋が働きます。

 

位相Ⅲ:約215゜~325゜

股関節の屈曲は約30゜、膝関節の屈曲は約45゜で、両関節は同調し、クルブシに伸展が見られます。大腿部の引き上げには縫工筋、腸腰筋、大腿直筋の上部など、身体の前面の筋肉。膝関節の屈曲には大腿部の後ろの大腿二頭筋が働きます。

 

位相Ⅳ:約435゜~20゜

この位相の特徴は位相Ⅱと似ており、膝関節の伸展が始まっても股関節の伸展が始まっていないことです。大臀筋は働かず、大腿直筋のみが働くために、足を前方に振り出す感じになります。

 

ケイダンスと4位相の関係については、下肢の動きを完全にコントロールできるのは60~70rpmまで。ある程度できるのが100rpmまで。120rpmを超えるとコントロールは殆ど不可能で、位相ⅡとⅣを飛び越えて、位相ⅠとⅢだけのペダリングになります。

それを無理にコントロールしようとすると入力のタイミングが遅れて、最大ペダル踏力の発揮が145゜付近になるために踏力が出力につながらず、効率の悪いペダリングになってしまいます。

 

高ケイダンスでのペダリングの良し悪しは、天性のもののようです。      

 

 

佐藤さんから送っていただいたクランク長さ関係のテキストと図をまとめて載せてみた。

 

 

なぜクランク長の話を出したかというと、みーやのロードバイクは165mmのクランクを付けているが、身長153cmのみーやには165cmのクランクは長すぎるようで、膝の位置が上がり過ぎている。

 

オーシャルテ博士の言う「股関節が最も曲る位置にペダルが来たときに大腿骨角度が12゜~15゜前下がりになるクランク長を適正とする」から大幅に外れて0°くらいまで大腿骨が上がっていた。

 

 

サドルが低いのも要因だけど、みーやには145〜150mmくらいのクランク長が適当だと改めて思った。

他のバイクから短いクランクを外して付けてやらないといけない。

 

ワタシの場合も大腿骨の長さや股下寸法からすると、クランク長175〜177.5mmが適正で、175mmの長さはほぼ適正と思う。

 

 こうやってクランク長を選ぶ基準があるのはありがたい。

今までは経験則と噂レベルの参考値しか無かったのだ。

 

大腿骨長さの表から読むクランク長や、「大腿骨の角度からクランク長の適正/不適正を判定する方法」は一般ライダーがクランク長選びの参考になるのではと思う。

 

秋の夜長にクランク長さについて一考してみるのも面白いかと。