過去の写真を整理していると色々なバイクが写真に残っている。

その中で非常に印象に残っているバイクの写真も出てきた。

 

 

ユタ州・モアブのスリックロックを走ったら、持って行ったMTBのフリーが空転しなくなった。

 

 

砂漠の細かい砂がフリーボディの中に入り込んで空転しなくなったらしい。

 

日本の環境とここまで違うと、日本とは違うトラブルが出る。

フリーホイールの交換品はなく、現地でホイールを組み直すことになった。

 

その間はレンタルバイクを借りるしかない。

幾つかのフツーのレンタルMTBの中にショップスタッフが乗っていた「SLING-SHOT」があった。

 

 

スリングショットはダウンチューブが無い代わりに、ヘッドチューブから緩衝用のスプリングを介して1本のワイヤーが張ってある。

 

 

トップチューブの後端にはフレームが稼働しやすいようにグラスファイバープレートが挟んである。

写真では見たことあったが、実物は初めてのバイクだった。

 

 

スリングショットは、デザイナーのマーク・グクロエンダル氏が、ミニオートバイのダウンチューブが破損しても、悪路でもスムーズに走行出来て快適だったことから、BMXとマウンテンバイク用に、ダウンチューブの無いフレーム「スリンクショット」サスペンションシステムを1980年に考案した。

 

 

スタッフは乗っていいよというので、試乗してみると走行中の微振動がかなり減衰される独特の乗り味。

コレは面白い。実際のトレールで乗ってみたい。

 

2日間ほどレンタルさせてもらい、岩盤や砂地やドロップオフが続くトレールを走った。

 

 

スリングショットは乗らないと判らない面白さがある不思議なフレームで、細かい振動を取ってくれるので固い岩盤や岩の上を走っても疲れない。

 

ハンドルを押し込んで曲がると、前輪と後輪が別の動きをして、タイトターンでバイクが捻れるような挙動をする。そしてピョンと戻る。

 

こうなるともっと日本のトレールでも乗ってみたい。

 

 

ということで現地で買っちゃったのがこのフレーム「SLING-SHOT」MT−1である。

 

 

当時、現地でバーゲンにかかっていて7〜8万円で、思ったより安かった記憶。
 

早速、帰国してからバイクを組んでみた。

 

日本の狭いトレールだとバイクがよじれて早く走るのは苦手。

でも木の根が続くトレールやドロップオフではガツンと来ない不思議な乗り味。

レースには向かないが、トレールバイクとしては面白い。

 

 

いろいろなパーツを試したけど、ソフトライドのサスペンションステムを付けた時はステアリング部の剛性がなくなり、バイク全体の芯が無いバイクになった(笑)

 

 

スリングショットはRサスがなく、Fサスが50mmくらいしか動かない時代のMTBだったらメリットはあったが、リヤサス付きのバイクがどんどん出てくるようになって、スリングショットシステムのメリットを感じなくなってしまった。

 

それでもこのフレームは3年ほど乗ったと思う。

 

 

それにしてもあの独特の乗り味は、今も懐かしく思い出す。

今、考えてもスリングショットはワタシが経験したフレームの中で1、2を争う面白い(変態な)フレームだった記憶。

 

当時、スリングショットのMTBフレームにはチタンフレームがあったし、BMXやロード用のフレームもあった。

現在はもう生産してないという。

そうなるとまた乗ってみたい気もする。

 

このフレームは友人に売ってしまったけど、友人は今でも持っているようなので、買い戻そうかな(笑)