CFフレーム元年と言えるのが1986年で、グレッグ・レモンが「LOOK KG85ケブラー2000」に乗りツール・ド・フランスを優勝した。

これによりCFフレームが認知され、大きく躍進する。

 

1986年

東レ:引っ張り強さ6400MPaのCF糸T1000(弾性率29.4t)を開発。

 

ベルナール・イノーやグレッグ・レモンを擁するラヴィクレールがLOOKのCFフレームでレモンがTdFで総合優勝する。

 

 

今まで軽量だが剛性がないと言われたCFフレームがやっと世界最高の舞台で成績を出した。

 

LOOK「KG85 KEVLER 2000」はTVTで製造が行われ、40tCFを30%、30tCFを50%、ケブラー繊維を20%使いRTM工法でパイプを造りアルミラグに接着されている。

 

ちなみにアメリカではLOOKブランドではなく「ECLIPSE/エクリプス Carbon7」で販売され、TVTブランドではCarbon92として販売された。

 

CFフォークとビチュー製アルミフォークのバリエーションがあるが、初期のCFフォークは接着が十分ではなくコラムが抜ける事象が発生した。


アメリカCCI社(サイクル・コンポジット・インクリーズ)のブレット・トリンブルがデザインと製造方法をプロデュースし、CFモノコック構造のケストレル4000がデビューした。

 

 

トライアスロンのトップ選手に使われたことから人気が出た。

 

イタリアのコルナゴは1986年からフェラーリの指導の下、CFバイクの研究を始めた。

アメリカ・TREK社から「2500」3本CFフレーム発売。

 

日本国内の動き

FUJIからCFをアルミパイプにラップしたフレームがフジオリンピックカーボンとして発売された。

これが日本の大手メーカーでは初めてのCFバイクになるが、アルミとカーボンのハイブリッドパイプになる。

 

東京サイクルショー:エルバ・アライ・バラモンなど小規模工房製モノコック風TTフレームを展示。

 

 

1987年

この年のジロ・ディ・イタリアのTTでビアンキから CFモノコックフレームのTTマシンが登場している。

 

 

このTTフレームはビアンキと関係が深いC4(チ・クワトロ)で製作された。

 

TVTから独立したローラン・カッタンによってTIME社が設立され、新型ビンディングペダルを発表した。

TIME社がCFフレームの製造販売を始めるのは1993年の「HELIX」からである。

 

コルナゴはコンセプト・フェラーリをミラノショーで発表。

 

 

BB部に内装式変速装置を入れている。

 

アメリカCCI社から独立したブレント・トリンブルはトリンブル社を立ち上げ、CFパネルフレーム発表した。

 

 

トライアスロンで使われ、同じようなパネルフレームも現れた。

 

日本国内の動き

東京サイクルショーにBSレイダックカーボン、ミヤタカーボン、DURA-ALLカーボン、パナソニックなど各社が相次いでCFフレームを発表した。

 

 BSレイダック・カーボンはアルミパイプにCFをラップしたリヤバックまでCFの7本CFモデルを発表。1988年に発売。

 

 

またケストレル4000モノコックカーボンをRADAC CCIとして OEM発売した。

 

 

アマンダ:東レ40t×30tでCFフレーム作成。

フォークコラムまで一体構造のフルCFフォークを試作。

おそらくコラムまでCF製のフォークとしては世界で最初のオールカーボンフォークである(重量340g)。

 

 

1988年

ペトロ・デルガドがピナレロブランドのTVT92HMでTdf優勝。

 

LOOK 「KG-96 ケブラーセラミック」発売。

 

 

他にもKG-76(CF&ケブラー)、KG-66(CF&グラスファイバー)がある。

 

コルナゴはミラノショーでC35(モノコックCF)を発表した。

 

 

TREK 5000 CFモノコックフレームで年末に発売。

 

  

まだOCLV工法ではない。

                  

リヤバックまでCFのセンチュリオンCFフレームが発売され、日本のZUNOWでもOEMフレームで販売した。

 

日本国内の動き

日本の大手メーカーのパナソニックからPCC2000モデルはアルミパイプにCFをラップした3本CFモデル。

 

ミヤタからCFパイプにアモルファス合金で補強しバックまでカーボンのCARBON TECH5000が販売された。

下位グレードにカーボンテック3000と1000がある。

 

アラヤから4月にCF&ケブラーのエクセラカーボン発売。

 

 

アルミのインナーラグ方式である。

 

丸石からビチュー・CFフレームをOEMでエンペラーロードとして完成車で発売。

 

アマンダ:市川選手に40t×30tCFフレームを供給を続ける。

 

 

アマンダディスクホイールがツール・ド・フランスで使用される。

 

 

1989年

東レ:引っ張り強さ4900MPaの炭素繊維糸T700S(弾性率25t)を開発。

 

Gレモンは1986年にTdFを優勝した後、事故に遭ったが1989年に復活し、TVT92HMのCFフレームで2度目のTdF優勝をしている。

 


 

TVT92HMはピナレロブランドでペトロ・デルガドやインデュラインが乗りツールで優勝している。

 

コルナゴは2本のCFダウンチューブを持つカルビチューボを発表したが、製作はアルミ接着フレームで有名なアラン製である。

 

ケストレル200CS、EMSカーボンフォーク付きで発表。

台湾のGIANTは1988年にアメリカに進出し、1989年に「CADEX990」CFフレームを発表した。

カルフィーデザインがCFラグとCFチューブのフレームを発表。

 

 

日本国内の動き

ラティードCF発表。

デュラオールも3年近い時間を費やしてCFフレームを発売した。

 

モーターバイクのボディを造るトガシエンジニアリングからTOGASHIカーボンモノコックのフレームが発売された。

 

 

アマンダではTdF2位で山岳賞を取ったスティーブン・ロークスからの依頼で、東レ製の50×30tCFパイプを使い、ヒルクライムTT用に軽量CFフレームを製作している。

 

 

前三角50×30tCFで、リヤバックはスチールだが、フレーム単体で1.26kgとサイズが大きいのにかなり軽量。

 

三菱レーヨンオートクレーブCFモノコックで片持ちTTバイク製作。

 

 

1990年

東レ:60tCFパイプ発売。

 

ケストレル500EMS発売。

トリンブル 十字構造のCFモノコックMTBフレーム発売。

 

 

日本国内の動き

宮田MTBリッジランナーカーボン SRTM形成CFフレーム開発発売。

 

 

80年代の中盤以降になり、やっとCFバイクが実用段階になった。

90年代以降はCFバイクが主流になり、生産拠点が変わりつつも競技用バイクのメインストリームになっている。

 

 

3年ほど前にCFバイクについて70年代からの進化をブログアップしましたが、その続きを書かねばと思っていました。

あれからずいぶん時間が空いてしまったので、今回は3回に纏めてCFバイクの開発と進化を、資料や当時からCFに関わる方に事情を伺いながらブログ記事にしました。

 

記事を書くにあたって、アマンダ千葉さんにはカーボンに関わる数多くのことをご指導いただきました。

この場を借りて厚くお礼申し上げます。

 

今後も新しい事実が分かったら追記をしていく予定なので、CFRPバイクについて文中で取り上げてない事をご存知でしたらご教授頂けれると大変ありがたいです。

よろしくお願いします。