先日、いつも資料でお世話になっている元ブリジストンのW部さんから、フロント変速機をいただいた。

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このF変速機は一見、サンツアーの「VX」のようだが、
このF変速機はBSが70年代後半に出していた「シンクロメモリーMAX」のF用変速機だという。


サンツアーVX(左)とブリジストンVX(右)を比較してみる。

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オリジナルのVXはパンタアームとガイドはニッケルメッキで光沢はないが、
ブリジストンVXはピカピカのクロムメッキで、アウター受けがスプリングになっている点が違う。


これはW部さんからお借りしているブリジストンのシンクロメモリーMAX 機構説明用の変速機で
シンクロメモリーMAXのRDとFD、そして変速レバーのセットになっている。

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シンクロメモリーMAXはBSオリジナル位置決め機構の変速機だった。

シンクロメモリーMAXはワイヤーの引く量を変速レバーで制御し、一段分のクリックをつけている。
その変速レバーのカバーを外して内部を見てみよう。

トップ側

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ロー側

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レバー内部には、ワイヤーを引くアームが設けられ、ワイヤーを引き上げる凝った機構になっている。
そして小さい子レバーでFD側の変速を行う。


もう一つシンクロメモリーMAXの特徴としてRDは自転車が停車中に変速操作しても、
一時的にワイヤー巻き取りドラムでワイヤーの引きを吸収し、
走り出した時にすぐに変速できるような設計になっている。

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ケージはガイドプーリーとテンションプーリーが独自に動く凝った構造。

BSオリジナルの変速機なのでサンツアー独自機構である「スラントパンタ」機構は採用してない。


それにしてもBSでは専用変速機を設計し、サンツアーで製造を行い、自社の自転車に付けていたのだ。
70年代の自転車メーカーは独自性があった時代だった。


ワタシもシンクロメモリーのR変速機は持っていたが、このF変速機は持ってなかった。
この変速機は日本の変速機を特集する時に写真を撮って載せたい。

W部さん、ありがとうございます。

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変速機つながりでもう一つお話を。

サイクルスポーツ誌の最新号である6月号から「変速機を愛した男たち」という特集が始まった。

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今までは自転車の発祥に関する話を物語風に書いていたが、やっと変速機の特集になった。

昨年秋にサイスポ編集部の松さんから伺った特集がやっと始まった。

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さっそく新連載を読んでみたが、19世紀に変速機が誕生した時代の話が載っていて興味深い。

ここら辺の話は自分でも知らない話で、日本の雑誌ではこのような歴史の話が出たことはなかった。
やはり最大手のサイクルスポーツ誌が月刊誌の中で特集を組むというのは大きな意義があると思う。


これから12回に分けて変速機の進化を取り上げていくそうだが、毎月2Pの特集では少なすぎる。
これからどこまで変速機の歴史を掘り下げられるのか分からないが、
評判がいいのなら延長するかもしれないと伺ったので、是非とも応援したい。

個人的に期待している特集なので、アンケートで期待を表明しよう。