コロナ後遺症の患者さんの話:著しい不眠を訴える患者さん | 湯たんぽのブログ

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 さまざまな難病治療にいわゆる代替医療を用いて対処している『湯たんぽ』が日頃考えていること、経験していることを書きます。難病のなかでも、線維筋痛症や慢性疲労症候群の病態や治療を中心に書き込みます。

 約1年前にコロナに罹患。その後著しい疲労倦怠感のため、休職を余儀なくされている40歳台の男性の話です。

疲労倦怠感や不眠に効果が高いと聞いたrTMS治療を30回受けましたが、全く効果がなかったそうです。

週に3回も遠くまで移動するのです。

この身体には負担が大き過ぎます。

 

 自覚的に辛いのは不眠です。

寝付けない・寝ても途中で目が覚める・明け方に目が覚めるという、熟睡できないことが最も辛いとおっしゃいます。

疲労倦怠感ももちろんありました。

PSは4-5でした。

 

 診察すると手のひらの中央部と指紋中央部の温度差が大です。

10センチ程度の距離で温度差があるのは身体の末梢まで十分に血液が流れていないことを意味します。

最終的には内臓に流れている血液の量が少ないのであろうと推測できます。

 

おなかは温かいのですが全般にガスが多く、打診では鼓音を呈しております。

後頭部には紅斑があり、うっ血が多いことが推測できます。

後頚部・背中・腰部には筋肉の異常なこりが広範囲にあるのが触診でわかります。かなりこりの程度がひどい状態であるのがわかります。

 

 首の左右に向ける角度を調べてみると、右は45度・左は60度程度しかありません。理想的には90度は向いて欲しいところです。

首のスジに綿花を利用した、まだらめ式間接灸で刺激すると首の回旋角度は改善します。

同時に後頚部・背中・腰の筋肉のこりが軽減します。

後頚部・背中・腰の筋肉だけではありません。

顎関節やこめかみの筋肉のこりが著しいのです。

頭皮は硬くほとんど動きません。

顔面・頭部の筋肉のこりが著しく、脳が外側から締め付けられているような状況です。

脳にうっ血が多い場合には睡眠の質が悪くなることが知られております。この頭部の筋肉のこりが酷いために著しい不眠が改善しないものと推測されました。ちなみにブレインフォグに苦しむ方も同様の筋肉の状態になっております。

 

 ここまで筋肉のこりが著しいと改善するまでは相当の時間がかかるだろうと予想されます。

 

 この患者さんはrTMS治療を30回も受けましたが、全く効果を感じられなかったそうです。

頭部の刺激ではこれだけの筋肉のこりを改善できなかったのです。

全身の筋肉のこりをほぐす方向にいかなければいけないと考えます。

 

 このような治療が自宅でもできるようになれば良くなる可能性が高いと説明しました。何しろ刺激の頻度を高める必要があるのです。

 

 このようにして治療を始めて約2ヶ月が経過しました。

PS 4-5から4まではすぐに改善しましたが、なかなかPS 3には至りませんでしたが、、治療開始から間も無く2ヶ月という時点でPS 3になりました。

不眠はまだあるものの、睡眠導入剤が効くようになってきました。

自覚的には一睡も出来なかったのが、6時間は眠れるようになってきました。

 

 まだまだ疲労倦怠感がありますので治癒までは時間がかかりますが、睡眠の質が良くなれば疲労倦怠感も軽減してくるのはよく経験することです。

もう一踏ん張りです。

 

 青山・まだらめクリニック 自律神経免疫治療研究所