【1】初見

アスコリピチェーノ中心。


桜花賞での見立て通りNHKマイルCに来てくれたので、ほぼ1着でしょう。

ジャンタルマンタルも参戦して来たので、一騎打ちが基本路線になりそうですが…どちらか1頭を選ぶとなれば躊躇う事なくアスコリピチェーノです。


ジャンタルマンタル評は↓こちらで。


【2】二強の比較

①持ちタイム

アスコリピチェーノ

桜花賞1.32.3

阪神JF1.32.6


ジャンタルマンタル

朝日杯FS1.33.8


朝日杯FSはハイペース判定にしては遅い。

デイリー杯2歳S→朝日杯FSは対戦比較的にも弱い。

これに対してアスコリピチェーノは阪神JFで既に1秒以上速いタイムを出している。桜花賞では更にタイムを縮めており、既に例年のNHKマイルCで勝てるだけのタイムで走り切れている。この差は大きいです。


②ペース別の末脚

アスコリピチェーノ

S33.3

M33.5-33.7

Hナシ


ジャンタルマンタル

S32.6

M34.6-34.7

H34.8-34.9


ジャンタルマンタルはM-Hで安定して34.6-34.9で上がれるタイプとして見て良いでしょう。

朝日杯と皐月賞は前が飛ばしただけという感もあるので、ミドル4戦でここに収まっていると見れば、この数字は相当固いと思われます。


これに対してアスコリピチェーノはM33.5-33.7と1秒速い。この2戦が阪神JF、桜花賞と上級レースでの物なので、こちらも信用出来る数字と言えます。


スローでは逆にジャンタルマンタルが0.7秒速い。しかしお互い1戦ずつの数字で、アスコリピチェーノは新馬戦でのもの。ここは縮まっている可能性を十分残します。


③距離、コース実績

共に東京1600経験無し


アスコリピチェーノ

東京1400 1着

左回り【2-0-0-0】

1600【2-1-0-0】


ジャンタルマンタル

東京1800 2着

左回り【0-1-0-0】

1600【2-0-0-0】


距離、コース実績に関しては数字上は五分で良いかと思います。


①②③を総合すると、アスコリピチェーノは持ちタイム、ペース対応力、コース対応力、それらに伴う末脚と、特に不安要素は見つかりません。例年のNHKマイルCであれば、間違いなく上位争いが可能です。これまでのレースで裏付けが取れています。


対してジャンタルマンタルがアスコリピチェーノに勝つ為には、脚質も考慮して現状「先行してスローの前残りで1.33秒台決着」しかありません。


これに立ちはだかる障壁として、スローは過去30年で2015年(クラリティスカイ/1.33.5)、2005年(ラインクラフト/1.33.6)の2回のみ。という点が挙げられます。


例年通り1.32秒台決着になった場合には

・持ちタイムを1.5秒程度縮めないといけない。

・その場合はミドル以上が確定で、決め手は強調出来る程ではない。

と、2つの障壁が立ちはだかります。

こういうレースになった場合

①先行して吸収される

②中団待機も馬群から抜け出せない

というケースも想定されます。勿論これらを全て克服する可能性もありますが。


繰り返しになりますが、ジャンタルマンタルは1600は弱い相手に勝っただけで、内容的には強調出来る程の物ではありません。

内容が良いのは1800-2000。ただ2000が上限と見極めてのNHKマイルCへの参戦なのは間違いないでしょう。得意距離のバンドが1800-2000と狭い馬なのかもしれません。新種牡馬の産駒で傾向が掴めていないのも要因かもしれません。


以上の理由から、アスコリピチェーノの優位性は揺るがないと結論付けます。


全頭診断は勢力図の整理を兼ねて、前走別に区切って進めて行きます。

【3】全頭診断

【桜花賞】

前崩れ気味の結果だが、2番手エトヴプレが5着に残っているように、強い馬なら対応出来た。アスコリピチェーノを中心視しているくらいなので当然ここが一番ハイレベルの評価。


イフェイオン

0.7秒差11着。圏外感は強いが、フェアリーSから直行で-8kg、当日イレコミと状態面には情状酌量の余地がある。

京都の未勝利戦で既に1.33.3勝っており、桜花賞でも1.32.9ではゴールしている。スムーズに先行出来れば、残れても不思議ではない数字の裏付けはある。

フェアリーSは100点満点の騎乗によるものだったが、改めて見ると納得の勝利だったかもしれない。

立て直して遠征とクリアすべき課題はあるが、

桜花賞組のレベルの高さを信じたい。△~✕


マスクオールウィン

1.3秒差13着。主戦場が1200~1400の馬なので、誤魔化しの効かないタイムでの決着が響いたと見ている。元々力を出し切るタイプで、額面通りの力の可能性は高い。

東京1600で好走は難しそうな要素は揃っているが、フェアリーSの内容が素晴らしく桜花賞では▲打っているので、簡単には見限れない。お気に入り枠で△~✕。


【シンザン記念】

上位3頭は次走重賞で全て連対。直行はゼロだがレベルは高かった可能性が高い。この組の上位から。


【毎日杯】

ノーブルロジャー

重馬場で1800と厳しい条件だったが、2着を死守したのは大きく評価出来る。東京1600に勝鞍もある。持ちタイムに不安は残るが力は出し切るタイプ。△~✕


【NZT】

エコロブルーム

番手から理想的な競馬をして勝利。このレースに関しては対戦比較的にも強調材料は少ない。東京での内容は良い。

東京でも中山でも勝てるのは強い個体なのか、完成度が高いからか。どちらで勝っているかは微妙な所。どにらにしても回避。


ボンドガール

内枠と展開を目一杯利用しての2着。長欠明けで-4kgと、仕上がっていたのもあっただろうが、成長面に関しては疑問が残る。かかっていた分をどれだけ割引くかだが、2着に来てはいるので、力は発揮したと言える。一変ある程ではないのでは。

サウジアラビアRCはアルテミスSと五分程度の評価で、アルテミスS組はライトバックが力を発揮出来なかったレースという評価に。両組とも年明け以降苦戦傾向で過大評価気味。新馬戦もだいぶメッキが剥がれた。牝馬のレベルが高い事に賭け✕。


エンヤラヴフェイス

後方から見せ場なく0.6秒差9着。

デイリー杯2歳S2着以降全く通用しておらず、ジャンタルマンタルの評価に疑問符を付けざるを得ない要因となっている1頭。武器らしい武器が見当たらない。消し。


オーサムストローク

先行して力尽き0.5秒差8着。東京1600のベゴニア賞を勝っているが、タイムが遅すぎる。通用しそうにない。消し。


キャプテンシー

積極的に動いて力尽き1.3秒差13着。ハナが奪えなかった時点で馬場が会わなかった可能性が高い。+6kgと余裕残しも響いたか。

中山1600ジュニアCで1.32.5で逃げ切っているので、軽い東京の馬場なら粘り込めるだけの時計の裏付けはある。状態面の確認は必須だが巻き返し候補。△~✕。


スパークリシャール

後方から見せ場無く0.7秒差10着。

特筆するポイントが見当たらない。消し。


デビットテソーロ

後方から見せ場なく1.2秒差14着。

勝鞍はダートと稍重の中山。東京1600で通用する見通し立たない。消し。


ユキノロイヤル

完璧に展開がはまって0.1秒差3着。速い脚が無く、持ちタイムも平凡。前で粘っても吸収される可能性が高い。消し。


【皐月賞】

ウォーターリヒト

デビューから月1走ペースでコンスタントに出走を続けており、きさらぎ賞ハナ差2着→スプリングS0.9秒差9着→皐月賞2.1秒差16着と、上がり目がないどころか下り坂。消し。


きさらぎ賞組の評価はインザモーメントの京都新聞杯の結果待ちではあるが、現状期待を裏切っている状態。

→0.6秒差6着。インピタのジューンテイクが1着。2、3着も内目。2着馬は未勝利勝ちと、レベルは低かったのでは?


シンザン記念組は、次のレースでも同レベルのメンバー構成だったので上位に来れただけの可能性が高く、レベルが高かったという評価を一旦降ろさざるを得ない。やや抜けた1着だったノーブルロジャーが可能性を残す程度。

シンザン記念を起点とするラインは軽視可能。


【アーリントンC】

アレンジャー

インの番手からレースを進めて、直線は進路を確保してラスト300~250あたりまで追い出しを我慢。上がり32.9で2着に粘り込んだ。好走は1200~1400で、1600は長いという結論が既に出ている馬で、完全にハマッたレース。

この馬がこのレースで2着というのは、相当に馬場が軽くて緩いレースだったと言える。それでいてタイムは1.34.1止まり。当日の未勝利戦と0.1秒差。

本番でこれ以上を望むのは難しい。消し。


チャンネルトンネル

中団から32.5の脚でタイム差無し3着。2着は欲しい内容だったが、3着だったあたり底は見せてると言える。

スローなら安定して33秒台の脚が使えて、ジュニアCでは1.32.9で2着。持ちタイムが優秀で、速い上がりも使える。装備は整っており、東京1600の高速決着で突然紛れ込んで来てもおかしくはない。△~✕


ディスペランツァ

中団から32.4の脚で1着。1600に短縮して二連勝。前走も上がり33.1。

2レースとも直線なかなか上がって来ないが、ラスト1Fでまとめて差し切っている。メンバー的にも最後前が止まったというのが実情ではないか?

長い直線は合うかもしれない反面、メンバー強化で前も簡単には止まらなくなる。数字は派手だが差し切れる程甘くなさそう。

一応2歳戦で最高評価の京都2歳S→ホープフルS組だが、この組も皐月賞以降頭打ち。チャンネルトンネルと同程度の評価。△~✕


【ファルコンS】

シュトラウス

最後方から馬群に突っ込んで0.8秒差9着。途中やる気を無くしたのか、そこまでだったのか最後は追わずにゴール。

気性面がピックアップされがちだが、元々東スポ杯2歳S、朝日杯FS組は低レベル。サウジアラビアRCはゴンバデカーブースの強さだけが際立ったレース。好走したレースの内容も良くはなく、地力そのものに疑問符が付く。消し。


ダノンマッキンリー

ミドルペース判定を最後方から33.6の断然の脚で差し切った(2位とは0.5秒差)。

2着オーキッドロマンスが逃げて直線突き放す強いレースをしていただけに、これを最後方から捉えたのはちょっとモノが違うという勝ち方だった。先行策から後方待機にモデルチェンジして大化けした形。

3勝全て1400なので、1600でどうか?という嫌いはあるが、末脚は断トツ。▲~△


※2着オーキッドロマンスは京王杯2歳S→クロッカスS→ファルコンSと、先行して確かな地力を示しており、信頼出来る物差し。

京王杯2歳Sはコラソンビート、ロジリオン、オーキッドロマンスが4着以下を突き放す強い内容。その3頭が揃って次走以降も上位に来ており、レベルの高い1戦だったと言える。

この京王杯2歳Sを起点とするラインは、距離克服の注文は付くが、地力の裏付けは他の組より強いと思います。


ロジリオン

1番枠が災いしたか、インの中団から直線行き場が無く0.6秒差5着。最後は渋とく伸びて順位を押し上げたのは好感。

左回りしか走っておらず、高速馬場の新潟東京で崩れていない。少なくともダノンマッキンリーと互角にはやれる根拠はある。1600克服出来るかどうか。△~✕


【クイーンS】

直線なかなか抜け出せなかったが、最後前の2頭の脚が上がり、3着ルージュスエルテも止まって2着に浮上。

ここは過去のブログで何度も繰り返している通り、数字が目立つだけの低レベルメンバー。十中八九力不足。消し。


【サウジアラビアRC】

ゴンバデカーブース

最後方から33.5の断然の脚で突き抜けて1着。同馬の強さだけが際立ったレース。とは言え9頭立てで、メンバー構成も今となってはだいぶ怪しい。

イクイノックスのような既定路線の直行ではなく、アクシデント続きでのぶっつけ本番。半信半疑。✕


【4】中間結果

◎アスコリピチェーノ

○ジャンタルマンタル

▲ダノンマッキンリー

△イフェイオン

△マスクオールウィン

△キャプテンシー

△ノーブルロジャー

△チャンネルトンネル

△ディスペランツァ

△ロジリオン


正直印は打ったけど、買いたいと思える馬が殆どいない。アスコリピチェーノに絶対の自信はあるが、相手は何が来てもおかしくないメンバー構成だと思う。レベルは総じて高くない。


アスコリピチェーノの単複買っても使える額がしれてるので仕方ないけど、自信があるのはこれだけ。

ヒモは自分の見立てを信じて当たればラッキー程度で再構築する。


【5】調教、状態面

マスクオールウィンが岩田康誠騎手テン乗り。岩田騎手は近年調教、レースとコンタクトを重ねて、馬を自分色に染めて好走というパターンが多い。距離適性に見切りを付けて、先々の短距離路線を見据えた起用の可能性が高そう。

推し馬だったけど、消せる根拠もあるので、一旦外します。


他はG1なので大きな減点はないと思います。


【6】枠順、展開

枠や展開より地力が問われるコースなので、あまり気にしません。


【7】まとめ

①アスコリピチェーノが断然。

②ジャンタルマンタルは沈む可能性も有り。

③シンザン記念を起点とするラインは軽視可能→きさらぎ賞、毎日杯、NZT

④アーリントンCは当日の未勝利戦とタイム差無しの緩いレース。縦横の繋がりが薄いガラパゴスなメンバー構成でアテにならない。

⑤クイーンCは低調なメンバー構成。

⑥サウジアラビアRC、アルテミスSは互角の評価。東スポ杯2歳S含めた1600~1800の東京2歳重賞組は次走以降苦戦傾向。ボンドガールも③と連動しており相互作用で軽視可。

⑦ファルコンSは距離克服の注文は付くが、今年は一番強い可能性が高い。


【8】結論

◎アスコリピチェーノ

○ジャンタルマンタル

▲ダノンマッキンリー

☆ロジリオン

△ノーブルロジャー

△イフェイオン

△キャプテンシー


無理矢理絞り込んだので

◎-▲☆△ワイドをメインに。

3連単3連複は◎○-▲☆△

程度で。


【9】回顧

ジャンタルマンタル強かった。

皐月賞で高速決着に対応しているので、持ちタイムで飛ぶ可能性に賭けるというのは甘い見立てだったと言わざるを得ないでしょう。

川田騎手の「マイルなら一番」という旨のインタビューには、馬だけでなく自分に対する自負も込められていたようにも感じました。めちゃくちゃ渋かった。

まとめの時点で二強決着濃厚という結論に立ち返っても良かったかもしれませんが、別路線同士の1点は確実性に欠けるので…今年の桜花賞クラスにならないと二強1点勝負は行けないですね。基本上振れ狙いなので。


直線後味悪い結末になりましたが、「不利が、なければ順位が入れ替わった可能性がある」とは全く思わせなかったアスコリピチェーノの走りに感謝。それでも甘い裁決ではあったと思いますが。


3着ロジリオンは最も地力に根拠のある1頭だったので、距離を克服して来てくれたのは嬉しかったし、予想面でも自信になりました。


以下の上位馬は結局1.33.5より速いタイムでの好走歴のあった馬が占めたので

4着ゴンバデカーブース 133.4

5着イフェイオン 1.33.3

6着チャンネルトンネル 1.32.9

7着ディスペランツァ 1.33.4

傾向としてははっきりしていたレースだったと思います。


推し馬マスクオールウィンは距離を確認しただけのレースでしたね。行き脚も付けて完全に短距離仕様へモデルチェンジでしょう。次は岩田騎手と函館SSからサマースプリントだと思います。期待してます。