昨年の朝日杯FSとホープフルSには珍しく牝馬の参戦があり、

朝日杯FS タガノエルピーダ3着

ホープフルS レガレイラ1着

と、上位に来ました。


タガノエルピーダはオーナーブリーダーなので理由は推察しかねますが…どちらにしても「朝日杯の方が出走しやすい。賞金上乗せ出来る可能性がある」という事だったのではないでしょうか?

事実新馬勝ちの身でありながら5番人気に推されており、ファンの見立てにアンカツさんが感服していた程です。

そのタガノエルピーダがチューリップ賞で4着に敗れており、牝馬と牡馬のレベルの差が浮き彫りになった形。大外だったとは言え、G13着馬がトライアル4着は言い訳出来ない敗戦でしょう。


桜花賞までの結果を辿ると、今年の牝馬クラシック路線は「レベルが高い」というより「例年通りのレベルにはある」という状態です。


対して牡馬のレベルはと言うと…昨年に引き続き低い可能性が高い。根拠としてはリンクのブログの冒頭に書き連ねております。


その年のレベルというのは、ファンとは比較にならないくらい当事者の方々の方が詳細に把握しているはずです。

とりわけ毎年有力馬の大半を保有しているノーザンFは、その年の勢力図をかなり正確に把握していると見て間違いないでしょう。


【レガレイラの立ち位置】

ではレガレイラが2歳時ノーザンF勢の牝馬でどういうポジションの馬だったのかと推察すると…おそらく「トップ5の内の1頭」くらいでしょう。牡馬相手のG1に挑戦したからと言って、ず抜けた1頭だった訳ではないと見ています。


桜花賞までの結果、使い方から推察するに…

チェルヴィニア

アスコリピチェーノ

ステレンボッシュ

に次ぐ「4、5番手グループの馬」という評価に落ち着くのが妥当です。


そのレガレイラが2歳時に賞金を上乗せ出来なかった。しかし阪神JFには相当に固い結果が望める上位の馬を出す。

賞金上乗せ出来るのは2頭…どうするか?


朝日杯FSは、新種牡馬palace maliceの評価を上げる為に、ジャンタルマンタルの独壇場にする必要(社台グループという、より大きな括りでの思惑)がある。東スポ杯勝馬のシュトラウスも出す。まずこの2頭で固いだろう。


ならば、牡馬の中距離路線のレベルの確認も兼ねてホープフルSへ出走させてみよう…というのが出走への実情だと思います。

ちょうどホープフルSの上位人気馬は非ノーザンF勢が占める事になりそうでしたし。


結果的にレガレイラはホープフルSを勝利しますが、もし賞金を加算出来ていなかったら?

その場合は年明けノーザンFが絶対の自信を誇る東京1600のクイーンCで賞金上乗せの算段でだったはずです。おそらくですが、同じ4、5番手評価のサフィラとワンツーで。


結果的にサフィラは調整ミスないし輸送失敗で飛びましたが、クイーンCは例年に比べ不自然なまでに低調なメンバー構成でした。

桜花賞のクイーンズウォークと、NZTのルージュスエルテの結果から、この推察は完全に裏付けが取れたと確信してます。


【年明けの動向】

レガレイラがホープフルSを勝った事により、牡馬のレベルの低さが確定的になったと言えます。当然レガレイラは既に上位をノーザンF勢が占める事が見えている牝馬クラシック路線ではなく、牡馬クラシック路線を選ぶ事になります。

それもあってか、ノーザンFは素質馬を徹底的に分散させて、本戦よりトライアル総取りに打って出た感じです。結果として、いたる所に未知の最強候補が乱立する皐月賞となりました。


考えた末に、私は低レベルな中でも非ノーザンF馬で、包囲網を敷かれている状態のシンエンペラーがこの世代では中心と位置付けました。

弥生賞もノーザンFは大器と目された無敗の2勝馬を2頭送り込んでいるので、ここで勢力図の最終確認という目論見だったと思います。

結果はコスモキュランダの奇襲もあって総崩れにされましたが。トライアルで一番メンバーが揃っていたのは事実です。


【過去の例から】

牡馬のレベルが低い世代である可能性が高い裏付けとして、前回ノーザンFの牝馬グランアレグリアが朝日杯FSに参戦した年を引き合いに出します。


この年は

阪神JF

1着ダノンファンタジー

2着クロノジェネシス

3着ビーチサンバ


桜花賞

1着グランアレグリア

3着クロノジェネシス


オークス

1着ラヴズオンリーユー

3着クロノジェネシス


秋華賞

1着クロノジェネシス

と、ノーザンFが牝馬クラシックを完全制覇した年です。


対して牡馬は

朝日杯FS

1着アドマイヤマーズ

3着グランアレグリア


皐月賞

1着サートゥルナーリア

2着ヴェロックス


NHKマイル

1着アドマイヤマーズ

2着ケイデンコール

3着カテドラル


ダービー

1着ロジャーバローズ(飛野牧場)

2着ダノンキングリー(三嶋牧場)

3着ヴェロックス


菊花賞

1着ワールドプレミア

2着サトノルークス

3着ヴェロックス


ダービー以外はノーザンFが独占しているという案外な結果で落胆しそうなのですが…古馬相手のG1では

アドマイヤマーズが3歳時に香港マイル

ダノンキングリーが安田記念

ワールドプレミアが天皇賞(春)

を勝った程度。

ダービー馬ロジャーバローズは以降未出走で引退と未知の部分はありますが、2000~2400の王道路線での勝利は無く、総じてレベルは高くなかった世代と言えます。


2歳時にグランアレグリアが朝日杯FSに出走したのもダノンファンタジー、クロノジェネシスら確実性の高い牝馬が揃っている事に対して、牡馬のレベルが低いという見立てが、かなり早い段階で付いていたのではないか?という推察が立つ訳です。


【余談】

牝馬のレベルが安定していて、牡馬はムラがある…という前提で話している事への見解です。

元々牝馬の方が一緒懸命走ると言われます。キンツェム、ブラックキャビア、ゼニヤッタと、歴史上~最近の馬まで、長期の連勝記録を持っているのはほぼ牝馬です。これは牡馬との生存本能の差とも言われています。


プラスして、育成技術の進歩で牝馬もハードに仕上げられるようになったという背景もあってか、牝馬の方が上限値付近の馬を毎年のように排出するようになりました。

ブエナビスタ、ジェンティルドンナあたりから始まり、アーモンドアイ以降はそれこそ毎年のように最強クラスの牝馬が出て来ます。


個人的には牡牝の斤量差の見直しの時期に来てるのでは?と、数年前から感じているのですが、これは永遠に成されなさそうです。

以上、余談でした。


【最後に】

今年の牡馬クラシックは例年に比べ、主力の信頼度は低く、常に波乱の要素が潜んでいる年という見立てです。人気や評判に踊らされずに、自分の予想を貫く価値のある年だと、自分で自分に言い聞かせています。


結局ノーザンFの怪しい人気馬たちが物量作戦の末に上位を占める可能性もありますが。