前回の続きになります。
単細胞生物ハ、バクテリアと思っていた私には、ある日突然、古細菌(アーキア)の存在を知ることとなり、これまでの常識がひっくり返りました。
それは、調べれば調べる程、地球の大自然の形成に古細菌が関わっていることが分かってきたからです。
長い年月をかけて、主として古細菌によって大自然のベースが造られ、その次に多細胞生物への進化が始まったように感じたからです。
最も代表的な古細菌には、メタン菌がいます。正式にはメタン生成菌と呼ばれます。
その名のとおりメタンガスを作る(合成する)菌です。
メタンガスは、天然ガスの基本成分であり、都市ガスに利用されるなど現代では大変重要な燃料となっています。地球上の存在する大半のメタンガスは、メタン菌によって作られたものだと言われています。
日本の周辺の海底にはメタンハイドレートとして、大量のメタンを含む団塊が存在していることが分かっていて、将来のエネルギー源として期待もされていますね。
メタン菌が古細菌とされたのは1990年代以降で、それ以前は「メタンガスの発生には微生物の関与があるようだ」程度しか分かっていなかったようです。
メタン菌は、沼地や海底堆積物など地殻内に広く存在し、有機物である炭素化合物を分解し、メタンガスを発生させます。
また、動物の消化器官にも存在していて、特に牛のげっぷには大量のメタンガスが含まれていると言われていますね。
自然循環が行われるためには、メタン菌のように枯葉や動物の死骸等の有機堆積物を分解する微生物(細菌や古細菌)が大変重要な役割を担っているのです。
「生命はなぜ生まれたのか」(高井研著)によれば、古細菌であるメタン菌は35億年前に生まれたと書かれています。35億年前の地層に
軽いメタンが見つかているからだそうです。
多細胞生物である真核生物が誕生した年代は、現時点では確定されていないようですが、約20億年くらい前ではないかと推定されている説があります。メタン菌の誕生はさらに15億年くらい遡りますから、古細菌であるメタン菌は生命の起源に近いと言っても過言ではないようです。
他の古細菌を調べてみました。
好熱菌という種類が見つかっています。
その名のとおり摂氏60℃以上の高温の中で存在出来る古細菌です。
TVのドキュメンタリー番組の映像で海底火山周辺の高温の海水が湧き出ているシーンを見たことがあると思います。その場面には、大量の白いエビやカニの仲間が群れていることが多いです。これらのエビやカニの仲間はそこに存在する微生物をエサにするために群がっているのですが、その微生物こそ好熱菌です。
好熱菌の中でも80℃~120℃の高温の中で存在しているのが超好熱菌です。
超好熱菌は、一説では38億年前~40億年前に誕生したと言われており、超好熱菌こそ生命の起源ではないか、という説が支持されているようです。
地球の太古の昔、生命の起源かもしれない超好熱菌の様子が現代でも見られるのが、インド洋海嶺の深海熱水です。
次のブログ内のyoutbe映像の9分過ぎから出てきます。
今でも超好熱菌は、地球自然の維持のために活動しているのです。メタン菌もそうですね。
大自然の大元では、これらの古細菌が常に活動し、大自然の維持に活躍しています。もしかしたら、古細菌の周辺では、新たな真核生物が誕生している可能性すらあるのかもしれません。
このように、古細菌は、大自然の成り立ち及び維持に大変重要な役割を背負っています。
現在見つかっている古細菌は、膨大な種類が存在するバクテリアに比較すれば、わずか550種類ですが、それは人間が知らないだけで、今後、どんどん見つかっていくことでしょう。
すでに見つかった古細菌の中には、好塩菌という塩分濃度が高い場所に存在するものもいます。
中でも15%以上の塩分濃度に存在する好塩菌を高度好塩菌と呼び、天日塩田等で見つかっています。
本来、塩は微生物を寄せ付けないものと思われていましたが、好塩菌だけは塩の中で生きることが出来るのです。
私は、高度好塩菌が善い塩づくりに関与していると考えています。だから非加熱の天日塩は熟成するのではないでしょうか。
平釜方式等のような長い時間煮詰めて造る塩の場合、、さすがの高度好塩菌も熱で死んでしまうので、出来た塩が熟成しないのではないでしょうか。
この辺の仕組みは今後解明されて行くのかもしれませんね。
いずれにしましても、古細菌は、大自然の中で大変重要な役割を行っているのです。
最後までお読みいただきありがとうございました。