これまで人類誕生から人種の別れ・変遷について何度か書いてきましたが、やっと整理出来たように考えています。
ベースになるのは、Y染色体ハプログループになります。
染色体とは、ヒトの細胞の中にある遺伝子情報の発現と伝達を行う生体物質で、O型、X型、Y型、Z型等があります。
このうちY染色体は、男性(雄)のみに存在する染色体のことです。
また、ハプログループについてですが、DNA配列構造をハプロタイプと呼び、似通ったハイプロタイプをグループ化したものがハプログループということになります。
Y染色体は、父から息子へと男性だけに受け継がれる情報で、世界中の人類の中からサンプリングを採り、ハプログループに分類したものがY染色体ハプログループということになります。
Y染色体ハプログループを世界的に研究していくと、現在の人種の共通祖先が分かるというのです。
その結果、人類の起源はアフリカにたどり着いたので、そこをアルファベットのAとして、Aから人類が分岐して行ったと推論し、B以下のアルファベットが順にふられています。
(ウィキペディアから引用)
この表を見ると、世界の人種は次のように分かれていったことが分かります。
A:アフリカ
B:アフリカ(ネグリロ人種)
C:日本人一部、ヨーロッパ一部(クロマニョン人)、オーストラリア先住民
D:チベット、日本(特にアイヌと沖縄に多い)
E:アフリカに多い(コンゴイド人種)
F:中国南西部、ベトナム、シンガポール
G:コーカサス地方
H:インド(ドラヴィダ人)
I:バルカン半島、ヨーロッパ一部(クロマニョン人)
J:中東、特にアラビア半島に多い
K:パプアニューギニア
L:インド、パキスタン
T:インド、中東、東アフリカ
MS:パプアニューギニア
N:ウラル系民族、北ユーラシア
O:台湾、中国、日本、朝鮮半島
Q:南北アメリカ大陸の先住民
R:ヨーロッパ全域、米国、カナダ
日本人は、Cに初出し、DとOにも存在します。
CとDは縄文系倭人で、Oが弥生時代に大陸から渡って来た弥生人と推測されています。
意外なのは、最後に登場するRのヨーロッパ、米国・カナダに多くいる白人系です。一番新しい人種ということになります。ヨーロッパ系は、R以外にもC、Iに存在しています。
このハプログループの結果から、次の図のように人類の移動が推測されています。(ウィキペディアから引用)
それぞれハプログループには、さらに細分化されているものもあります。
例えばCは、C1(日本、ヨーロッパ)とC2(モンゴル、シベリア)にさらに分類され、C1はC1a1(日本固有)とC1a2(クロマニョン人)に分かれています。
同様にDは、D1a1(チベット)とD1a2a(日本固有、アイヌ人と沖縄人に多い)に分かれます。
もう一種類の日本人を含むOは、O1(台湾、日本、東南アジア)とO2(中国大陸、日本、朝鮮半島)に分かれます。O1はさらにO1a(台湾先住民)とO2(中国大陸、日本、朝鮮半島)に分かれます。
日本人の祖先をY染色体ハプログループから見ると、日本の古代にはC1a1(日本固有)の縄文系倭人が住んでいて、その起源は約5万年前ということになります。C1a1を持つ日本人は数%とかなり少ないです。
次に、C1a1から分かれたのが、北海道と沖縄諸島を中心にD1a2a(日本固有、アイヌ人と沖縄人に特に多い)の縄文系倭人で、3.5万年程前に誕生したとされています。現在の日本人の30%半ば程度がD1a2aのハプロGに属しています。
C1a1とD1a2aが縄文人系ということになります。
そして、時代が随分下り、Oに属するO1とO2が日本にも登場します。これが弥生人で、その起源は7500年程前に遡るようです。O1a1が数%、O1a2が30%程度、O2が10%程度存在していますからO全体では40%強となり、日本人で一番多くなっています。
日本の歴史は、はるか昔から存在した縄文人がいて、その後大陸系弥生人が農耕文化を伝えたとされていますから、Y染色体ハプログループも一致していることになります。
同じ日本人と言っても、実は大きく縄文人と弥生人に分かれ、その比率は4.5対5.5くらいで弥生人系がやや多くなっているようです。
ただし、現在では、縄文系、弥生系が混血していますので、アイヌ人のような純血の人はかなり少なくなっているのが現状のようです。世界全体でも同様に混血が進んでいるようです。
Y染色体で、人類の起源と人種の別れまで分かることには改めて驚きました。
次回に続きます。
最後までお読みいただきましてありがとうございます。
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