今年の梅雨は長かったですね。北部九州でも7月末まで続き、平年よりも11日遅い梅雨明けで、全国的にも沖縄を除けば8日から21日も遅くなっています。
これだけ見れば異常気象だとか、地球温暖化とかニュースになりそうなデータですが、実際はどうなのでしょうか?
私なりに考えていたところ、異常気象でもなんでもなく、人間が勘違いしているだけでないのか、と思えてきました。
何を勘違いしているのかというと、暦、カレンダーの常識についてです。
現代の暦は太陽暦であるグレゴリオ暦です。地球から見た太陽の運行によって年月日を決めていて、実際に太陽の運行は1年=1日365.2422日に対して、グレゴリオ暦では400年間に97回の閏年を設けることで1年=1日365.2425日と、1年で26.821秒しか誤差が出ないとても精度の高い暦となっています。
日本でのグレゴリオ暦の採用は明治5年です。それまでは一般的に旧暦と呼ばれる太陰太陽暦が使われていました。
太陰太陽暦は、その名のとおり太陰暦と太陽暦を組み合わせたようなものです。
太陰暦は、月の満ち欠けの周期を基にして作られた暦であり、一月29日と30日の場合が1年に各6回あり、1年12カ月で354.3671日となっていて、太陽暦と比較すると約11日短くなっています。
このため、太陰暦は太陽暦と比較すると3年で1カ月ずつづれて行き、18年で暦と季節が正反対になってしまいます。季節は太陽の運行によって変化しますから、月の満ち欠けの暦である太陰暦では季節感がずれて行くということになります。
これでは生活上何かと不都合なので、太陰暦をより使いやすく修正したものが太陰太陽暦です。太陰太陽暦は、太陰暦に3年に1度閏月を挿入することで太陽暦との季節感のずれを修正しているのです。
今年2020年は、グレゴリオ暦でも閏年(2月29日の閏日が存在)ですが、太陰太陽暦でも3年に一度の閏月が4月の後にあり、閏4月(新暦5月23日~6月20日)が存在しています。4月が2ヵ月あるような暦です。
太陰太陽暦は、日本では飛鳥時代から使用され、細かな修正はあったものの明治5年まで使われていました。1500年近く利用されてきたものです。二十四節気が代表的ですが、季節感を上手く表し、それにあった文化が生まれ、江戸時代までに引き継がれてきました。とても良く出来た暦なのです。
もちろん、現代のグレゴリオ暦もとても便利です。1年の誤差も太陰太陽暦よりも少ないし、何といっても3年に一度閏月が入ると面倒な修正が必要になります。
しかしながら、太陰太陽暦の廃止によって不都合が生じたものもあります。
それが、正確な季節感です。
太陽によって季節が変わるから太陽暦の季節感が正しいと前述しましたが、実際には太陽だけではなく、太陽-月の関係で季節が決まるのではないでしょうか?
「明」という文字は「日」と「月」が合わさったものです。「日」だけ、「月」だけだと霊的には暗いのです。季節感も同じではないでしょうか?
太陽暦の季節感は概ね正しいと思われます、しかし、それは1年間だけを見た話しであり、毎年の季節が全く同じ月日に始まるとは限らないのだと思います。
正確な季節は、太陽の運行だけで決まるのではなく、太陽の運行と月の運行の関係で決まるのではないかと考えています。従って、季節感をより正確に表したものが、太陰太陽暦と言えるのではないでしょうか。
今年は閏4月があるおかげで、旧暦4月は新暦4月23日から5月22日、旧暦閏4月は新暦5月23日から6月20日となっています。
旧暦で使用する二十四節気では6月が最も暑い夏の時期である小暑、大暑です。今年の旧暦6月は新暦7月21日から8月18日です。冒頭で述べました今年の梅雨明けが遅く異常気象であるというのは、旧暦で見ればそれほどおかしなことではないように感じます。
旧暦で閏月の入る時期は、一カ月分の季節の変動を考慮しているとも言えると感じるのです。農業や漁業など自然を相手にする場合は今でも旧暦を使う事があります。
私達は、先人が考えた旧暦、太陰太陽暦とそれに伴う二十四節気についても、太陽暦とは別に知っておく必要があるのではないでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございます。