ホスピス医 小澤 竹俊著の「苦しみの中でも幸せは見つかる」
からも学んでいきたいと思います
◆『苦しみ』は苦しんでいる本人しかわからないものです
「自分のことを他の人にわかってもらえない」と悩む
ことも苦しみの一つでしょう。
『苦しみ』の基本形は…
「他人から思われたい(見られたい)自分」と、
実際に「他人が思う(見る)自分」とのギャップにあります
◆苦しみは、希望の線と現実の線のギャップですから…
苦しみを和らげるためには、
そのギャップの幅を狭くなるように
すればよいことがわかります。
苦しいんでいる自分のことが、
周囲にわかってもらえない理由とは
どんなに苦しいと誰かに訴えても、
ある人には自分の苦しみがまったく見えないことがあります
不思議なことに、「辛い」「苦しい」と言っても、
他の人には「辛い」「苦しい」とは見えないのです
Q どうして、そんなことが起きるのでしょうか
<関係存在>が鍵となります
同じものを見ていても、
見る人によって見え方が変わってくるのです
世の中には現実に目の前にあるのに、
意識をしていないために、
見えないものがたくさんあります
例えば、教育に熱心な先生AさんとBさんがいたとします。
・Aさんは生徒の進学率だけに関心があり、進学を希望しない生徒や成績が良くない生徒には関心がありません
・Bさんは生徒の生活面や特に生徒間のいじめの問題に関心があり、「意識」を持っています。
Q 「あなたのクラスの生徒の中で、いじめに苦しんでいる人は
どれくらいいますか?」と問いかけたら…
おそらくAさんは「あまり多くない」と答え、
Bさんは「決して少なくない」と答えるでしょう
・実際にはAさんへも生徒からは、
何かしらの「いじめ」を訴える
サインが出ているはずですが…
◆生徒の中にいじめで苦しんでいる人がいるという
「意識」がAさんは向いていないため…
→生徒からのサインをキャッチできないのです
「苦しい」というサインをキャッチできずに繰り返していると、
生徒たちは「Aさんは私の苦しみをわかってくれない先生」
と思うようになります
→
①A先生に苦しみを訴えなくなります
②A先生の目には…
「クラスの中にいじめで苦しんでいる生徒」の
姿は映ることが少なくなるのです
生徒の苦しみを理解しようとする姿勢のBさんは、
苦しみを言葉にしない生徒も含めて、ずっと多くの生徒から
「いじめで苦しんでいる」という
メッセージを受け止めることができます
「苦しみ」を持っている人は、
誰にでも苦しみを訴えるわけではないです
◆その苦しみをわかろうとする人の前では、
「苦しい」と言いますが…
苦しみをわかろうとしない人の前では、
「苦しい」とは言わなくなります
つまり、
「苦しみ」を誰かにわかってもらうためには、
苦しみをわかろうとする人を見つけなければなりません
自分の「苦しみ」を誰かにわかってもらう方策は
同じものでも、見る人の『意識』によって、
その見え方が違うことを認識していることです
Q では、どうしたら、
自分の「苦しみ」や「わかって欲しい自分」を
相手に伝えることができるのでしょうか
自分の思いをすべての人に伝えることは簡単にはできない
どれほど心を込めて、
相手に自分の思いを伝えようとしても、
残念ながら、伝わらないことがありますよね
ここでは、自分の苦しみを
すべての人にわかってもらうことではなく…
ワタシは…
すべての人に自分のことをわかってもらうこと自体、
現実的に難しいと思っています
◆自分にとって大切な人、
この人だけには伝えたいと思う人に、
自分の思いをわかってもらうことを
考えていきたいと思います
◆誰に自分の苦しみをわかってもらいたいですか
両親?、夫?、妻?先生?、友だち?、先輩?、同僚?、上司?
なかには自分の苦しみなんか、
誰にもわかってもらえるはずがない
という人もいるでしょう
今は無理であったとしても、
まず、この人だったら
「自分の苦しみをわかってもらえそうだ」
という人を探してみましょう
苦しみを相手にわかってもらうために
例えば、友人のAさんにわかったもらいたい場合、
Q どうしたら、Aさんは自分の苦しい思いを
聴いてくれるでしょうか
①まず、Aさんに自分の苦しみをわかってもらいたいならば…
自分のことをAさんに『意識』してもらう必要があります
★苦しみや理解してほしい自分を
誰にでも伝わるわけではないです
相手が『意識』を持ってくれて、
はじめて見えて来るものなのです
そのためには、Aさんに
『苦しんでいる自分』のことを意識してもらわないと、
Aさんには自分の苦しみは見えてきません
Q Aさんに自分の苦しみを『意識』してもらうには、
どうしたらいいのでしょうか
自分の苦しみを相手に伝える前に…
やるべき大切なことがあります
◆それは、自分の苦しみことを聴いてもらいたい相手
である『Aさんの話を聴くことから始める』のです
それには効果的な聴き方のテクニックがあります。
①相手のカギとなる部分を繰り返す『反復』
②相手にとって大切な話を待つ『間』
③相手の思いを明確化する『問いかけ』
↓
人は自分の『苦しみ』を聴いてくれた相手を、
自分の苦しみの理解者として認めていきます
↓
Aさんが自分を理解者として、『意識』したとき、
はじめて自分の話を聴き、
自分の苦しみをわかろうとしてくれます
↓
自分からAさんの苦しみを聴ける関係を作ることで…
Aさんと自分のお互いの「苦しみ」を理解し合える関係
が得られます
誰かの話を聴くための絶対に必要な条件は
「心を他者に開くこと」です
◆本当に苦しみの絶頂にあるときは…
誰かと言葉を交わすのも嫌になり、
「わかってもらわなくていい」という精神状態になり、
「心を閉じてしまう瞬間」があります
「心を閉じてしまう」状態になってしまうと、
そこから抜け出すのは容易ではありません
その状態から抜け出すには、何かきっかけが必要になります。
そのきっかけは…
・閉じた状態がもう嫌になった
・「もうそろそろ、心を開いてもいいか…」
そんな感情から「心を開こう」と
思えるようになるかもしれません。
きっかけは人それぞれだと思いますが、
「心を開こう(誰かに自分の感じたことを伝えよう)」
と思うことを誰かの押しつけではなく、
自分自身で選択できるといいですね
ぜひ、もし余裕があるならば(できるなら、余裕がなくても!)
「わかってもらいたい相手の話
を聴くことから始めること」をおススメしますが……
但し・・・
◆この人にはどうしても「心を開けない、開きたくない」
のであれば、自分の心を偽って…
無理に相手の話を聴こうとはしないでくださいね
◆自分の「嫌っと」というサインは大切にしましょう
今はまだ、相手の話を聴けない自分であることを
嫌という感情が教えてくれていると思います
いつか「心が開く」「心が柔軟になる」時期が
訪れるのを待ってみましょう
『今は保留』でいいと思います