前回の「風をとおすレッスン」
には、「こうするとコミュニケーションがうまくいきますよ」といった具体的なノウハウが書いてあるわけではありません。
人によって、コミュニケーションのあり方はさまざまだし、コミュニケーションしなくてはいけないという強迫観念が、かえって苦しみを生むこともあります。
田中 真知氏のメッセージから、最後に一つ「天使をとおす」というレッスンを紹介したいと思います。
皆で話をしているさなか、それまでわいわいと会話していたのに、ふいに言葉がとぎれて、一座の者がいっせいに沈黙してしまうことがあります。
フランスの慣用句では、そうした沈黙の時間を「天使がとおった」と表現します。そんなときは、間が持てず、誰とはなしに咳払いしたり、関係ない話をはじめたりして、気まずい空白を埋めたくなるものです![]()
でも、そのとき、あえてその気まずさに耐えてみる。空白を埋めたくなる誘惑をこらえて、天使がとおる沈黙の時間を味わってみる![]()
それがなんのレッスンになるのか
と思われるかもしれません。
私たちは間が持てないことが苦手です。
間を素早く埋めて、話をとぎれなく続けることができるのがコミュニケーション力だと思われているところがありませんか![]()
でも、間が持てないからといって、相手に合わせて、思ってもいないことを口にしたりすれば、かえって苦しくなります。
それより、「間」にとどまってみる![]()
そのときに感じる気まずさ、もやもや、所在のなさ、心もとなさといったものを、なんとかしようとせず、そこにしばらく、ただずんでみる。
人生のほとんどは、そういうものでできている。
最初のうちは慣れないかもしれません。
でも、意外とできるようになるかもしれない![]()
その中でくつろげるようになると、きっと生きるのが少し楽になると思いました![]()