感情というものは外界の影響を受動して生まれてくる心の動き全般であり、人間存在全体を突き動かすものです。
ある種の感情が他人の目からは秘められている、というのはわかりやすい話です。私がある人に好意を持っているけれども、または敵意を持っているけれども、それを外には出さないようにしているので、他人にはわからないことはよくありますよね![]()
「秘められた感情」とはある種の感情を抱いている自分自身にとってさえ秘められていることがあるのです。
例えば鬱の症状を抱えているクライアントがカウンセラーと面談を重ねていくなかで、クライアントが抑圧して見ないようにしていた深い「悲しみ」の存在が浮き彫りになってくるケースが考えられます。
その「悲しみ」は恋人を失った悲しみであるかもしれないし、親を喪った悲しみであるかもしれません。その「悲しみ」を見ないようにして、仕事に没入したりしているうちに、その「悲しみ」のことをほとんど忘れているような状態になっている。
でも、いつのまにか毎日、なぜかわからないけれども気分が鬱々として、何も手がつかなくなってしまう。その状況を打開するためにカウンセラーと面談を重ねていくなかで、自分が見ないようにしていた「悲しみ」、抑圧されて心の奥底に沈みこんでいた「悲しみ」の存在が浮かび上がってくる。
その「悲しみ」に直面することは本当に辛いことだけれども、でもその「悲しみ」に直面し、あらためて感じ直し、その「悲しみ」と共存して生きていくなかで、理由もわからずに陥っていた鬱状態から徐々に解放されていくー
このように感じられなくなっていた「悲しみ」は、そのクライアントの心に影響を与えないどころか、心身の不調へと動かし続けていたわけです。
自分が感じている感情はどのような種類のものか、憎しみや悲しみを感じていると気づいたら、それはなぜか?、自分が本当に大切にしているのは何か?……などと
感情を論理的に分析することは、自らの感情から適切な距離を取って、事態にうまく対処するためにとても役立つと思います![]()
自分でも気づかないネガティブな感情を、どうぞ誰かに傾聴してもらってください![]()