「怒り回路」が形成されやすい5つのパターンがあります。
自分に当てはまる項目がないかどうか、チェックしてみてください。
< 「怒り回路」が形成されやすいパターン >
①しょっちゅう怒る人が身近にいる
家庭や職場など自分が長い時間を過ごす場所に、「怒りやすい人」がいるとその人が持っている脳の「怒り回路」を、自分の脳がコピーしてしまうことがあります。
これは脳が頻繁に接している現象を記憶しやすいからです。また、記憶したものは意識に表出しやすく、意識に上がってきたものに脳は親近感を覚えます。
親近感を覚えると脳がその対象をさらに「模倣」します。こうしたことを繰り返ししながら脳は成長を続けていくのです。これは身近にしょっちゅう怒っている人がいると、脳が親近感を覚えて怒りを模倣してしまうということです。
大人になって気がついてみると、自分が親とそっくりな怒り方をしていたという人は少なくないでしょう。愚痴を言っている人を見れば脳はそのやり方を覚えるし、誰かの悪口を言っている人を見ればそのやり方を真似するようになります![]()
私たちは知らず知らずのうちに、脳に怒りやすい人の「怒り回路」をコピーしてしまっているんですね![]()
②何事も決めたがるクセがある
決めた通りではない出来事に遭遇すると、脳がパニックを起こして「対応できない!」となるからです。
こうした決めつけを行う人は、「自分と他人の価値観は違う」「自分は自分、人は人」という思考回路が確立されていません。
自分と他人を分けて考える回路を持たない人が、怒りやすい脳の枝ぶり構造を作っている人といえます。
③完璧主義、負けず嫌いである
自分がイメージする理想像に近づけないとそれだけで脳がパニックに陥るからです。
完璧主義や負けず嫌いの人は、脳に「比較グセ」がついています。脳はものごとを把握するためにあらゆるものを比較したがります。この手の人たちはいつも自分を「上のレベル」のものとばかり比べたがります。
心理学では「上方比較」と「下方比較」という概念があります。
上方比較は自分より優れたものと比較すること、「あの人、すごい」「仕事ができる」と自分より上の存在に注目します。
下方比較とは自分より劣ったものと比較すること、「あいつはだめなヤツだな」「仕事できないなあ」と自分より劣ったひとに注目します。
上方比較することは自分を磨くために必要なことだと思います。
ただ、上方比較が行き過ぎると「あの人はあんなにすごいのに、じぶんはなんてダメなんだ…」と落ち込みます![]()
このとき素直に負けを認めて精進できればよいですが、人によっては「あんなヤツ、大したことない。ちょっと運がよかっただけだろう」と他人にケチをつけることで、心の安定を得たり、逆に「自分はなんてダメなんだ」と自分を責めてうつになる人もいます。
他人にケチをつけるのも、自分を責めるのも怒りの一形態です。このようにすぐに上と比べる人、あるいは自分が優位で痛い人も怒りやすい回路を持っているといえます。
④受験勉強に没頭していた
学生時代に受験勉強に多くの時間を費やしてきた人も怒りやすい脳内ネットワークを強く構築しているそうです。高校受験や大学受験などをパスするためには、言語による記憶を主とする勉強を積み重ねる必要があります。その結果、知識依存型の情報処理をする記憶系脳番地の「枝」だけが異様に発達した状態になります。
ところが実際に社会に出ると、コミュニケーション能力などが求められるシーンが増えます。それまで鍛えて来た記憶系脳番地よりも伝達系脳番地を使うシーンが増えてくるわけです。
ですが、勉強ばかりしてきた人は長年かけて培った記憶系脳番地の「枝」を使って考えるクセがなかなか抜けません。そのため、何をするにも記憶系脳番地に刻み込まれている「知識」を優先させがちになります。
その分、「常識」や「権威」を優先するようになり、そこから外れたことに対しては「非常識」「そちらが悪い」となりやすくなります。
知識が多ければ多いほど、一般社会の人々の言動に対して「それは間違っている」と感じる機会が多くなります。
「いろいろな考え方があって当然」と変換できればいいのですが、「自分の考え方が世間の常識」と思ってしまうと、だんだんと批判的な口調になるのです。
こうしたことからコミュニケーションにどんどん苦手意識を持つようになり、次第に内向きになって自閉していくか、逆に攻撃的な「嫌なヤツ」になっていく傾向がみられます。
⑤脳構造や生活習慣から自閉傾向がある
近年ではIT化による「自閉化」も進んでいます。「右脳」が非言語や世間の価値観を処理する領域であるのに対し、「左脳」は言語を処理して個人を優先させる領域です。
メールやSNSなど文字でのコミュニケーションに触れる割合がどんどん増えている近年の人々は、極端に「左脳」が強化される状況にあります。個人を優先する傾向が強まっているのです。つまり「自閉化」ですね![]()
同時にパソコンやスマホばかり見つめて、広く周囲を見渡さないことで視野狭窄的になっています。自分だけの世界に閉じこもり、外界からの刺激を受け取らないということです。これも「自閉化」している状態です![]()
他人と滅多に会わない、会話しないという生活をしている人も同様です。受験勉強に多くの時間を費やしてきた人のように、脳の特定の部位ばかりを鍛えている人も、知識意外の情報をうまく取り込めず、「自閉化」する傾向があります。
「怒る」というのは脳内にすでに存在する特定の回路だけを使ってものごとに対処しようとした結果、対処できずにパニックになる
…ということで引き起こされます。
使える脳の回路のバリエーションが少ないと、対応できないことがおおくなり、怒りやすくなるわけです。
「自分の脳には怒りグセが染みついていそうだ」と感じた人は、次回の「怒り回路をリセットする方法」をお試しください![]()