続き。


前医から電車に乗り、電車には2時間近く揺られました。移動が好きな私にとっては小旅行のような感覚。がんかもしれないと言われたにも関わらず、私がこんなに楽天的なのには実は理由がありました。


まず一つは、悪性ではない可能性の方が高いかなと思っていたこと。良性の可能性もあるしなぁ。なんてことを思っていました。


そして二つ目。悪性だったとしても、甲状腺がんは経過観察がきくがんだと知っていたからです。

私の集めた知識によると、甲状腺がんは非常に増殖速度のゆっっくりながん(ただし未分化がんを除く)。


その増殖速度ゆえに「active surveillance(アクティブ サーベイランス) 積極的な経過観察」という言葉が存在します。


active surveillance ガンがわかっても、定期的に経過観察を続け、サイズが明らかに大きくなった場合などに治療を検討するという方針です。(非常に簡潔にまとめてしまっておりますので、詳細はお調べくださいませ。)


正直、がんになったとしてもこのactive surveillanceに則って話が進むと思っていた。手術なんて、全く頭にも浮かんでいなかったわけです。


駅からは、15分程度。歩いてもよかったのですが、タクシーで向かいました。


甲状腺の専門病院。


検査は穿刺吸引細胞診含め、「全て」の結果がその日に揃います。さすが遠方からも患者さんを集める専門病院。大きな総合病院でもその日に穿刺吸引細胞診の結果が出るなんてことは、そうそうありません。野口病院のことを噂には何度も聞いたことはありますが、まさか自分がかかるとは思いませんでした。


私の場合は前医での穿刺吸引細胞診の結果がclassⅢと「微妙なライン」であり、その白黒をはっきりさせにここまではるばるやってきたため、主な目的は穿刺吸引細胞診の再検査です。


穿刺吸引細胞診は、とった細胞の「良し悪し」が少なからずあります。

1回目の穿刺吸引細胞診では「細胞がうまく取れず」

2回目の穿刺吸引細胞診では「良性」(!?)

ただ、前医でclassⅢとされた細胞とは明らかに顔つきが違うと。いい部分だけを見ている可能性があるということで、3回目。

3回目の穿刺吸引細胞診で、ようやく、「甲状腺乳頭ガン疑い」という診断に落ち着きました。


ここまで、まだ冷静でした。


「正直、経過観察でもいいくらいだよ、定期的にエコーをして、様子を見ていこう」

そう言われておしまいかと思っていたら先生が


「これは手術した方がいいよ。」


そう言うのです。


「甲状腺の被膜から、ガンが飛び出してしまっている。」


「でも先生、active surveillanceという考え方がありますよね。それには当てはまらないんですか」


「甲状腺の被膜のところからがガンが出て、外の筋肉にくっついちゃってるように見えるんだよ。とった方がいいよ。手術しよう。」


そのまま、今後の流れについて話しました。まだ入院手術の日程は、家族と相談したかったので、後日こちらから連絡という形で。

割と冷静に話は聞けたと思いますが、細かい話まではよく覚えていません。話が終わった後に、あれも聞いてればよかった、これも聞けばよかったと、思いました。


帰り道は、駅まで歩きました。駅まで坂だから、急ぐと転んで危ないから、ゆっくりね、と先生が言ってくだいました。


不思議なことに、歩いていると涙が出ました。

がんかもしれないとは、思いながら病院に行ったのですが、いざ面と向かって、がんです、手術が必要ですと言われると、ものすごく不安になるのです。


楽しそうな道ゆく若い子や、家族を見て、あっあの人たちとは一つ別の世界にいるんだなぁというような感覚。今まで健康の心配なんて何一つしてなかった自分を思い出して、羨ましいなと思う気持ち。


いろんな気持ちが入り混じった帰り道でした。