阪急中ホールはもう何度も観劇に来ているが
今回の席は今までで一番見やすい席だったように思う。
前列との段差が高くて 視界を遮るものがほぼなく 演者さんの表情 動き セット 照明
全部よく見えて良い席だった。
怪人二十面相:中川晃教
名探偵明智小五郎:加藤和樹
令嬢リリカ:大原櫻子
中村警部:六角精児
ネコ夫人ほか:高橋由美子
北小路元子爵:今拓哉
北小路元子爵夫人:樹里咲穂
江戸川乱歩原作
白井晃演出
森雪之丞 作 作詞 音楽プロデュース
と聞けば これは観に行きたくなる。
エンターテインメント性のとても高い作品で
乱歩の小暗さはほぼ無し。
(もともと怪人二十面相シリーズは乱歩独特の異世界感が薄めだけど)。
セットチェンジが豪華(セット自体が豪華なわけではない)。
キャパ800人の阪急中ホールは 舞台上もそんなに広いわけではないので
セットはマイナーチェンジな作品が多いが
今回は斜めに配した可動性柱を左右に動かすことで
華族の邸宅 サーカス団のテント 二十面相の屋敷と自在に空間を演出していた。
やれば出来るんですね(お金はかかるのでしょうが)。
テーマ音楽は東京スカパラダイス オーケストラ
テーマ曲もだけど 劇中の仮面舞踏会の音楽の
タンゴとハバネラも1957年(昭和32年)頃の雰囲気満点でステキ。
二十面相役アッキーと令嬢リリイ役の大原櫻子さんの声が相性良くてデュエットがきれい。
アッキーは歌の上手さを十二分に堪能できる曲が多くて耳福。
北小路元子爵夫妻の今拓哉さんと樹里咲穂さん
お二人も息ぴったりで温かみと少々の笑いを醸す演技巧者なパパとママ
主要登場人物の誰もが
「嘘と真実がない交ぜになって」(←劇中のリリイの台詞)いるところが
このストーリーのキモかな。
二十面相はもちろんのこと 令嬢リリイ その両親 そして探偵明智に至るまで
他者を欺いていたり 自分に嘘をついていたり。
以下 余談&ちょっとだけネタバレ
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探偵明智が変装するのが またしても「松吉」!
2018年の 中谷美紀さん 芳雄さん版の「黒蜥蜴」でも
明智が変装したのは黒蜥蜴の部下の松吉だった。
(お客さんにはバレバレだったけど)
今回 二十面相の部下として みすぼらしい格好をした松吉が登場した時点で
あ、あとでこの松吉に明智が変装するのねと思ってしまった。
原作がその名前なのかも知れないけど
できれば違う名前が良かったな。