Lover's Concerto -2ページ目

Lover's Concerto

花より男子の二次創作ブログです。
同名のサイトもあります

類の気持ちはわかるけど毎回

ヤキモチ妬いてこれでは身体が保たない

宥めるのは構わないけどいくつあっても足らない


翌朝、類は私の前で小さくなっていた。。


別に怒ってはいないんだけどな?

昨日彼がわたしに対してしたことに
ちょっとは罪悪感はあるみたい。

どうやら我に返ったらしい。

確かに昨夜の類はおかしかった。

「じゃあ、1週間キス禁止」

そう言うとすごい落ち込んだ顔する。

自分から求めてきたことなのに
なんでそんな落ち込んだ顔を
するんだろう?

「キスも抱きしめるのもダメ」

手も繋ぐのダメ。

自分で言い出したんだから
忘れないでね?

そう付け加えると拗ねたような
顔をしてホント子供みたい。。

「つくしの意地悪」

この膨れっ面は30近い男が
する顔なのか?と不思議に
思ってしまう。

吹き出しそうにななるけど
吹いたら彼はますます拗ねる。

そうしたら面倒だから
表面上は許すことにする。

短い付き合いだけど類は
意外に子供っぽいところがある。

朝から笑わせてもらった~。

気の済んだ私はとりあえず出勤を
促すことにする。

「子供みたいに拗ねてないで
会社行くよ?」

そう言うと類は仕方なく会社に
出勤する支度を始める。

「わかってると思うけど……えっちは
しばらく禁止だからね?」

そう付け加えると類は落胆を
隠せない表情になった。

この世のおわりのような
沈んだ顔をしている。

その顔がなんとも可愛くて
絆された私はちゅっと1回だけ
軽く唇にキスして離した。

「キスは私がしたい時にするから」

その後は言わずもがな
上機嫌になった。

ふふッ、チョロイわ

どうして私の付き合う男はこうも揃って
簡単に操られてくれるんだろう?

F4は案外子供っぽいって覚えとこ。







「牧野、こっち」

噂のF4からお呼び出し。

こないだのバーティに
桜子と西門さんは出席してない。

全員集合は久しぶりかも。

わたしは何故か類と司の間に
挟まれて座っていた。

朝からの拗ねっ子モードは続行中。

その様子を他の3人は面白そうに
眺めてるし、女性陣も目がテンだ。

「これは類なのか?司じゃなくて?」

「どういう意味だよ!」

代わりに司が怒る。

「……似たり寄ったり?司は馬鹿だから
怒ってもすぐに忘れるけど……
類は後々まで引き摺るから超面倒臭い」

ため息混じりの言い訳に全員吹き出す。

「天下のF4にそこまで言えんのは
牧野くらいだな、司に馬鹿って暴言
吐けるのは姉ちゃんとお前くらいだ」

「で、なんで類は拗ねてんの?」

「つくしが意地悪だから!」

「……まだ言ってる」

「だって!酷いんだよ!」

唇を尖らせ3人に言い募る。
類の言い訳を聞いて男共は赤くなる。

「アホか!そんなん牧野じゃなくても
誰でも怒るわ!」

「類って……人畜無害に見えて
意外と手が早いよね?」

溜め息が止まらないわたしだった。

久しぶりに集まったからか
色んな話で盛り上がる。

私と類が見合いしたこととか
類のお母さんが私の上司たとか
今の類が私の部下だとか

そんな事情を話して聞かせる。

「お前、本当に類でいいのか?」

「良いも何も……ねぇ?」

こればかりは仕方ない。

好きになっちゃったしなぁ。

チラッと彼を見遣るとまだ
ちょっとだけ不貞腐れてる。

「……逃げれないよ」
 
「逃がさないからね!」

類と声がハモる。

ついでに「あげない」と宣言される。

「俺の」と宣う。

人前で抱き寄せられる。

「このバカップルめ、人前でイチャつくな」

話振ったのあんたたちでしょ!

「結婚式、何時なの?」

「類の研修終わってから」

「まだ当分先だな」

「先に子供デキたりして」

「ちょっと、言い方!」

相変わらず下品な坊ちゃんたちだわ!

「類くんは独占欲強そう」

そりゃもう!

司にまで妬くからね。

「でも、仲良くやってるみたいで
わたしは安心した」

優紀にそう言われて私は頷いた。
みんなに祝福されて嬉しかった。





酔いを覚ますために帰りは
2人で家まで歩くことにした。

家まで歩くのは私は好き。

沈黙が訪れても居心地は悪くないから。

夜道を手を繋いで帰る。

「楽しかった!みんなと話せてよかった」

「そりゃよかった」

まだ若干不満そうだけど朝よりは
機嫌が直っているようだった。

「だからさ、そんな顔しないの
そんな剥くれるなんて本当に子供みたいよ?
わたしは類が傍にいてくれたら良いの?
それともいつまでも可愛いって言われたい?」

「ヤダよ、つくしには別の表現して欲しい
男に向かって可愛いって言うなよっ」

「アハハ、やっぱりそっちで拗ねてた」

唇を尖らせ不満を訴えてくる類。

「嘘よ、類は私にとって大事な王子様
世界一カッコイイよ。独占欲強めの
甘えん坊だけどね」

「つくしの意地悪っ」

類の膨れっ面は健在。
しばらく引っ込みそうににいな。


達が平和なのは思えばこの時までだった。

予想もしてない嵐がわたし達に
襲いかかってきたから。




久しぶりの再会と対面に心の
準備をある程度はてたとは言え
少しだけ何を言われるか怖くて
つい身構えてしまう。

久しぶりに顔を合わせた彼らは
二人とも変わってない。

滋さんは少しだけ髪が伸びて
あの頃よりもグッと大人っぽく
女性らしく変貌している。

「ねえ類くん!婚約したって誰と?」

「類、お前、婚約したとか親父
言ってたけど相手って、誰だよ?」

二人ともほぼ同時に同じような
質問をぶつけてきた。

「あぁ、誰だと思う?」

すぐに答えるつもりはないらしい。

類は分からないように繋いでる
手に力を込めてくる。

そして二人の前でも自然に肩を
引き寄せ腰に手を当てられた。

「ねえ、つくし、3年も周りに黙って
どこに行ってたの?」

「……海外出張」

「「えっ?」」

「マジでか?俺らてっきり失恋の
ショックで失踪したのかと思ってた」

心底驚いたような表情をする美作さん。

当たらずといえども遠からずってとこ、

「……そう思われても仕方ないかなぁ?」

思わず笑ってしまう。

実際そんな感じだったしタイミング
良すぎだったし…ね。

わたし、笑ってる。

あのときのこと思い出しても
もう胸が痛まない。
 
「何笑ってんだよ!俺ら一応心配は
ちゃんとしてたんだぞ」

「……一応心配ってなによ?」
 
「嘘つき、面白がってるくせに」

その言い草がおかしくて
つい言い返してしまう

「ウチの親のせいで色々あったんだよ」

「なんで牧野の色々が類の親と
関係あるんだよ?」

「だって見合いの黒幕はうちの母親だし
父親公認たし、つくしの親も知ってる」

類は深い溜め息を吐いた。

「とっくに結納は済ませたし
もう家で暮らしてる
公の場に彼女も一緒に出るのが
初めてなだけ」

「類の母ちゃんって……牧野と
面識あったか?」

「あるのよ、それがさ……類のお母様は
昔も今もわたしの上司」

マジか?という表情でわたしと
類を交互に見る美作さん。

「帰国してすぐしつこくお見合い
勧められるから断るつもりで
会いに行ったら相手が類だったの」

「すごい偶然だな」

うんと頷くわたし。

「俺も、母さんには参ったよ
離れて暮らしてるのに全部筒抜けでさ
でもあの日行かなかったら後悔してた」

わたしたちは見詰め合って笑うと
手を繋ぎ直した。

「あのさ、司のことはもういいの?」

黙ってた滋さんが急にあいつの
名前を口にした。

「もういいも何も司のことは
もう終わったことだから」

滋さんは今でもアイツのこと
すきなのかな?

今にも泣き出しそうな表情を見て
胸が締め付けられる。

それでも彼女の為にも訣別した
想いをちゃんと伝えなければ
いけないと思った。

「司ことは今でも好きだよ
正直一方的に約束破られて
恨んでる時期もあった。
それはわたしが何もしないで
ただ待ってただけの受身の
恋だったからだと今は思うんだ

初めはね、元婚約者の親友と
付き合うなんてって抵抗あったよ?

それでもそんな後ろ向きなわたしに
類は諦めないって言ってくれたの。

今はね、幸せにしてもらうのを
待つんじゃなくて一緒に居て
幸せだと思える人にめぐり合えた
って思ってる……その唯一の人は
今はその人こそが類だと思ってる」

わたしが言ったあと類が口を開く。

「それもあるけど……俺たちを
見合いさせた理由はもうひとつある」

なんなの?と滋さんは類を見る。

「見合いの話進めたのはつくしが
母さんの部下で俺がその息子だから。
所謂親の権力って奴ね
うちの親はそれを行使して
俺とつくしを結びつけた
それと最終的な理由は司が奥さんと
離婚したからだよ。
あいつの身勝手でつくしを
振り回すのは許せないからって
いうのが理由のひとつ」

あーあ、いっちゃったよ。

こんな話本人が知ったら
どう反応するか。

「……わたしも司がつくしにしたことは
友達として、女として許せない……」

滋さんは優しい表情になって私を見た。

「でも今のつくしはちゃんと類くんの
隣りで笑ってるよね、ちゃんと幸せに
満ちてて良かった!つくしには友達として
何があっても幸せになって欲しいから!」

滋さんはわたしの手を握って
そういったあとぎゅっと私を
抱きしめてくれた。

ありがとう。

やっと緊張が解けて堪えてた
涙が頬に零れ落ちる。

「ちょっとつくしを泣かせないでよ」

わたしを背中に庇うようにして
前に立ち滋さんを軽く睨む類。


だから話に夢中になってて背後からの
人影の接近に誰も気付かなかった。

「よう」

彼らと談笑していると背後から
身に覚えのある別の人の気配がして 
ガバッと振り向いた。

みんな噂の人物の登場にぴたりと
話をやめて全員黙り込む。

そんな状態の中わたしは
司をそっと盗み見た。

3年ぶりの司の顔。

再会したらもっと激しい怒りの
感情が沸くかと思ってた。

でも、何も感じなかった。

無感動。

ただ、懐かしいなって思うくらい。

わたしはしばらく彼を見つめたあと
そっと視線を逸らし類の背後に
逃げるように隠れた。

沈黙を破ったのは司の方が先だった。

「どういうことだよ」

低い声で唸るように類に
向かって訊ねる。

「あぁ話……聞いてたの?」

感情を押し殺す司とその質問に
淡々と答える類。

「きっかけは親だけど俺たち
真面目に付き合ってるから。
例え司を敵に回しても……
お前が相手でも……俺の婚約者を
傷つけたら許さないよ?」

はっきり、きっぱりといってくれた類。

でも……久しぶりに顔を会わせた
2人の雰囲気は最低最悪だと思った。

でもわたしはその現実から目を
逸らさなかった。

「お前と類が婚約者……だと?」

どういうことだ?と司はわたしを睨む。

「……事実だけど、何か問題でも?」

先にあたしを裏切ったのは
そっちじゃん!

いまさら干渉しないで欲しいんだけど?

次々と込み上げてくる怒りの感情。

強い気持ちで睨みつける。

アンタには分かる?

1度でも裏切られた女の気持ち

もう二度と道明寺には
関わりたくないよ!

あんな思いをするのはもう
たくさんだし!

思い出してしまうとあのときの
怒りと悲しみがどんどん
溢れ出して来る。

司のことは嫌いになれないけど……

恋愛感情があるかって聞かれたら
もう一欠片もない。

確実に前に進んでる。

過去の思いを思い出に変えられている。

司と付き合っていた頃は
こんなにハッキリとは自分の
思っていることをいえなかった。

心なしか項垂れているように見える司。

チクリと胸の奥が痛む。

そんな道明寺を諌めたのは
美作さんだった。

「……司、もう諦めろ」

「っ!なんだと?」

唇を噛み締めながら美作さんを
睨みつける司。

「もう3年も経っちまったんだ
そんなになってまで求める気持ちが
お前にあったなら牧野の気持ちが
こんなにハッキリ分かってる以上
諦めるって選択もあると思うけど?」

美作さんの言葉はかなり司には
効いたようだ。

「……分かってるよ、もう手遅れな
ことくらいは。姉ちゃんにも
釘刺された。お前の幸せを願うなら
もう手を出すなって……
お前の手を自分から話した俺に
今さらお前を自分の都合で
振り回すんじゃないわよって……」

司の苦悶の表情に胸が締め付けられる。

政略結婚させられてもずっとお前のこと
忘れられなかった」

司。

辛そうな表情にわたしの心が揺れる。

変わらない情熱的な眼差しに
射竦められる。

わたしは敢えて司から視線を外して言う。

「アンタの気持ちはわかった
それでもやり直すことは出来ないよ。
わたしは類と結婚して生きてくって
もうちゃんと決めたの」

辛そうな司を見てられずに視線を
逸らしてしまう。

「前に進みたいの、お願い」

顔を見たらもっと罵ってしまう
だろうと思ってた。

意外なほどに落ち着いていた。

司が顔を上げる。

「……わかった。おまえこそ
俺の親友不幸にしやがったら
ただじゃ済まねーかんな!」

深く沈んだ様子の司の表情が
少し穏やかに変わった。

大きな手の平がぐしゃっと
わたしの頭をなぜる。

懐かしい温もりと大好きだった。
司の屈託のない笑顔を見て涙腺が緩む。

この手で撫でられるのが大好きだった

「……泣き虫」

司に頭を撫でられたとき
込み上げてきた熱い物は
涙となって頬に零れ落ちて行った。

ありがとう、司。

バイバイ。


パーティはしばらくして終わった。

滋さん達とは落ち着いたら
またみんなでゆっくりと会おうと
約束して別れた。

でもみんなと別れてから類の様子が
突如として変貌した。

どこか強引というか性急というか。

強引なキス。

ああ、そうか目の前で司との
修羅場?を見せたんだった。

類の逆立った気持ちを鎮めるために
執拗なキスに応えた。

「ごめんね、もう他は見ないって
約束するから……わたしには
類だけだよ

類が小さな子供みたいに見えて
胸が締め付けられる。

ご機嫌を取るのはめんどくさいと思いつつ
わたしは類の機嫌を直すのに
懸命に奔走した夜だった。


初めて2人きりで迎えた朝は緊張と

少しのトキメキで胸が高鳴る。


彼の匂い。

側にいるんだって安心する。

温もりに包まれてるだけで。
幸せな気持ちになる。

薄らと目を開けると視界いっぱいに
類の裸の胸板が見えた。

規則正しい呼吸を繰り返し上下する
その胸元に引き寄せられるようにして
頬を擦り付けた。

あったかい。

昨夜、あのまま寝ちゃったんだ……。


身体中にその名残がある。

感じたことのない身体中の軋み

変な場所の筋肉痛。

痛ててとボヤきながらその場所を

懸命にさする。


あ、なにやってんの、私。


そっと上目遣いで彼を仰ぎ見たら
目を覚ますことなく呼吸音が
聞こえてくるのを確認して
視線を逸らして起き上がった。

ベッドから降りようとした瞬間。
背後から伸びてきた手に手首を掴まれた。


「……ねえ、どこ行くの?」

振り返ったらさっきまで眠っていたはずの
類の目がぱっちり開いてこっちを

ジッと見ていた。

「あ、の……お水……」

「……ダメ、ココにいて」

叫びすぎて喉乾いた乾いたとは

なかなかいえない

「…あ…っ、」

ベッドに引き戻されて起き上がった

類に組み敷かれてしまう。

「……しよっか?」

あっという間に彼の顔が首元に埋まる。

「ヒャッ!」

項に吐息がかかり、びくりと震えた。

「あ……るいッダメっ」

「ダメ?どうして?」


なんでダメなの?って顔して

わたしを見つめてくる。

「……もう朝でしょ?!」


ドキドキしながらそう答えると
ニコッと笑って今度は耳に

キスしてきた。

「……まだ足らないよ」

「そんな……ッ」

悲鳴のような声が出てしまう。

「……嘘だよ半分本気だけど」

初回から信頼壊すようなことする訳

ないじゃんと言われガックリと

肩を落とす。

寝起きのくせに異常なくらい

艶を帯びた類の声。

抱き締められれば逆らえなくて

従ってしまいそうになる。

「馬鹿なこと言ってないで支度するよ

遅刻しちゃうでしょッ!」


「ん」

そう言って唇を尖らす。

唇に落ちてきたキスは分かったの合図。

キスが1回で終わる訳もなく次々と

与えられるキスに応えるのが精一杯。


すぐに頭の中がフワフワしてくる。

ズルい、こんなキス。

でも、彼の与えてくれる口付けは
とびきり優しくてどこまでも甘くて。
つい夢中になってしまう。

朝だから、周りが明るくて恥ずかしい!

……なんていう感情はあっという間に
吹き飛ばされてしまった。

そしてハッとする。


「ちょっと類遅刻するよッ」


慌てて頭引っぱたいて類を起こし

お布団から出る。


「ダメ!朝からはもうキスしない!

朝の数時間くらい我慢しなさいッ」


「フンだ、つくしのケチ

キスくらいいいじゃん!」


「良くない、次ワガママ言ったら

キスもそれ以上も二度としないから!」


そう宣言したら類はしょげてしまった。


やれやれ、手のかかる恋人だわ。


「類、こっち見て」


名前を呼んで顔を見る。


顔を見下ろした隙に不意打ちのキスを

背伸びしてお見舞いする。


「こ、これでいいっ?」


類は真っ赤になってその場で固まる。


「うん」


あら?意外と照れ屋なのね。


可愛いからこれで満足しとこッ!


類が大人しくなったところで

朝の支度を促した。







その日はわたしも身体が痛いやら

顔を見るのが恥ずかしいやらで

つい類に素っ気なくなる。


拗ねてるのは丸わかりだったけど

公私の区別をつけるべく放っておいた。

職場でベタベタするとわたしに怒られるから

類もそれはわかってるのか弁えていた。




退社後、待ち合わせの時間に
間に合うようにロビーへと降りていく。

すると先に出た類が人垣に
囲まれていた。

うわぁ~超目立ってるし!

待ち合わせ場所もっと違うところに
すればよかった?

輪の中には近寄れずその場に
立ち尽くしていると中心にいる
類と視線が合った。
わたしはすぐに視線を逸らし
背を向ける。

何だかよくわからない感情を
持て余しながらロビーから立ち去った。

何だろう?この気持ち。

前は類が女性に囲まれてても
何とも思わなかったのに。

今はとてつもなく嫌だと思う。

社ビルを出て数メートルのところで
後ろ手に手を引かれた。

「……待ってよ、置いてくなんてヒドい」

息を切らして追いついてきたのは類。

「」…うん、ごめん、なんか……
忙しそう、だったから」

俯いて顔も見ずにそれだけ言う。

「……俺が待ってたのはつくしだよ?
なんで逃げるの?」

「ごめん」

今、抱えてる感情の正体が
何となくわかって気まずい。

わたしは……たぶん、類を囲んでた
あの女子社員達に嫉妬して
……いたんだと思う。

初めて抱く感情に戸惑いもあって
なかなか顔を上げられない。

掴まれていた腕をぐいと
引き寄せられる。

バランスを崩して類の腕の中に
ドサッと倒れ込む。

「ヤキモチ?」

言い当てられてドキリとする。

「…………」

「ねえ?」

「…たぶん」

何だか認めるのが妙に悔しくて
言葉が投げやりになる。

「可愛いなぁ」

そう笑いながら言われて頬に
カッと熱が昇る。

「か、可愛くなんて…ないもん」

「機嫌直して?」

そっと手を繋がれその温かさに
気持ちが鎮まって行く。

手を繋いだままゆっくりと
目的地まで歩いていく。

やがてたどり着いたのはホテルの
中にあるドレスショップだった。









緊張しながら店内に入る。

類はショップの店長さんと
話しているみたいでわたしは
入り口で立ち尽くしてしまった。

すごい…

煌びやかな色彩と輝きを放つ
色とりどりのドレス。

しばらくすると話を終えた類が
立ち尽くすあたしのことを迎えに来た。

「何してるの?ほらこっちにおいで」

手を引かれフロアの真ん中に
連れてこられる。

するとハンガーラックにかかった
ドレスが数着あたしの前に現れた。

「この中から好きなの選んで?
それから靴とアクセサリーを決めよう」

「うん、これ……全部類が
選んでくれたの?」

そっと下から見上げるように
すると類の顔に朱が走る。

「…それ、わざと?そんな目で見ないで」

「ごめん」

なにか悪いことしたかなと
落ち込んでしまう。

「……そうじゃなくて」

類が慌ててわたしを振り向かせて
耳元で囁く。

「」んな顔されたら脱がして
キスしたくなるでしょ」

そう言われてあたしもつられて
顔が熱ってきた。

「好きなの選んで着ておいで」

類は顔を赤くしたままそう言って
わたしを試着室へと向かわせた。

一目見て気に入ったオレンジ色のドレス。

まるで誂えたようにピッタリで
驚いてしまう。

「つくし?入っていい?」

突然聞こえた声にわたしは
ビクリと身体を震わせてカーテンの
方を振り向いた。

布一枚隔てた向こうに類の気配がする。

「……うん」

シャラリと音がして類が
試着室に入ってきた。

類は上から下までわたしを
凝視するように見つめる。

何か言ってよ……!

無言のままの類にわたしは不安になる。

「すごく似合ってるよ」

目を細めてわたしにそう言った類。

「ありがと…」

恥ずかしくなって視線を逸らした。

しばらくの沈黙の後、類は
そのまま近づいてきてわたしを
抱きしめた。

「アンタのそんな姿見たら…」

類の雰囲気がちょっと変わる。

どう変わったのかはうまく
口で説明できないけれど心臓が
異常なくらいに跳ねるのが分かる。

「自分で脱がしたくなる」

いきなり至近距離で囁かれて
焦ってしまう。

「部屋取ってそこで試着
させればよかった」

さらに爆弾落とされて身体中が
熱く火照っていくのが分かる。

「も、もう!冗談ばっかり!」

類から離れようとして身じろぐと
手首を取られて背中が壁に
押し当てられる。

「……冗談じゃないよ?」

そのまま口を塞ぐように
キスされて黙るしか無かった。

啄ばむだけのキスがだんだん
深くなって呼吸が苦しくなる。
呼吸を求めて開けた唇の隙間から
舌が入り込んできた。

今まのとは違う深さに頭の中に
霞みがかかってきて思考が
白くぼやけてくる。

ようやくキスから解放された時には
全身から力が抜けてまっすぐに
立っていられなかった。

「あ~ヤバい、パーティー
サボってつくしと一緒にいたい」

僅かに頬を紅潮させて
そんなことをボヤく類。

遠まわしにキスの続きをねだられて
しまって照れ臭くなった。

「だ、ダメだよ…お、終わってからなら…その…いいかもしれないけど」

「それって誘ってる?」

「え?あ…の…そういうわけじゃ…」

会話をしながらドキリとする。

なんか私変なこと言った気が…

「決まり、今夜は帰さないからね」

あまりに真剣だからわたしは
息を呑むだけで何も言えなかった。









ドレスを選び終わりお店の人に
着せてもらってヘアメイクまで
してもらう。

店を出ると白いリムジンが
わたし達を迎えに来ていた。

後部座席のドアを類に開けてもらい
ドレスの裾を踏まないように
そっと乗り込む。

類は反対側に回って乗り込んだ。

車の中で緊張するわたしの
手を類はずっと握っていてくれた。
「大丈夫だよ』とでもいうように
優しく包み込まれてだんだん
落ち着いてきた。

そして頭の中でパーティーの
マナーを思い出すことに記憶を
フル動員させる。

3年前、司と付き合っているときに
習得したもの。

一生、役に立つことなんてないと
思っていたんだけど。

「……つくし?緊張してる?」

「ちょっとだけ」

キュと繋いでる手を握り返す。

「俺が一緒にいる、俺達は花沢と
山王商事の代表なんだから」

そうだ…わたしは1人じゃない。

「……ありがとう」

やっと心から安心して
笑うことができた。

予定時刻通りにリムジンは
パーティー会場のホテルの
エントランスへと滑りこんだ。








車を降りると類がわたしの手を取り
自分の腕へと絡ませる。

その光景に周りがざわつくのを感じた。

「大丈夫、堂々としてて?」

動揺するわたしに類は優しく囁いた。

「うん」

周りの喧騒をものともせず
類は会場に向かって歩き出す。

どうやらこのパーティーの主催者に
挨拶をしに行くみたいだった。

類はあたしに歩調を合わせて
ゆっくり歩いてくれた。

「今日ここに大河原とあきらが来る」

「え?ホント?」

「あいつらつくしが帰国したこと
知らないだろうからちょっと
騒がれるかもしれないのは
取り敢えず覚悟してて?」

うんと頷く。

そういえば二人と会うのも
久しぶりな気がする。

わたしは辞令を受けた後誰にも
告げずに海外転勤になったから。

「やあ、類くん」

「あ、榊原さん、ご無沙汰しております」

類とこそこそ話していたら優しそうな
紳士に話しかけられ足を止めた。

「こちら主催者の榊原さんだよ」

こっそり耳打ちしてくれる類。

「はじめまして、山王商事の
牧野つくしと申します」

ぺこりと頭を下げる。

「おや、こちらが噂の……
婚約者さんかな?」

返ってきた言葉はとても穏やかだった。

「はい、そうです」

類はちょっと澄ました
表情で返事をする。

いつもの気だるそうな表情とは
別人みたいににこやかで。

こんな表情もできるんだと
つい見とれてしまう。

類の腕から手を外すとその手を
取られて指を絡めて恋人繋ぎにされる。

「ははっ、仲良しですね」

手を繋いだところを見られて
からかうような口調でそう
言われて照れてしまう。

「それでは、これで失礼いたします」

類は手を繋いだままお辞儀をし
主催者に背を向けた。

婚約者……。

そう訊かれて類が否定せず肯定して
くれたことがうれしくなる。

だけど人前で手を繋いでるところを
見られて恥ずかしくなったのも事実で
手を離そうとしたらギュッと握られた。

「類、あの…手……」

「ダメだよ、どんなに恥ずかしくても
離さないからね?」

考えを読まれてしまい焦る。

「久しぶり、類くん、え…つくし?!」

そのとき背後から声がかかり
類が振り返った

聞き覚えのある声にわたしも
顔を上げた。

目の前にいたのは正装した
滋さんと美作さんだった。

どうしよう、ものすごい
ドキドキしてきた。

チラッと斜め上の類の顔を見上げると
また大丈夫だからと笑みを浮かべ
繋いでいた手をさらに力を込められた。