喧嘩のあとで⑤ | Lover's Concerto

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side Rui


 



……司のヤツ……油断も隙もありゃしない。

司に渡されたホテルのルームキーを
ポケットの中で握り締める。

左手にはつくしの手の温もり。

ついつい手に力が入ってしまったらしく
痛いよという声で我に返る。

「もう、何処にも行かないから
手を離して?」

小さな声でそう懇願され俺は掴んでいた
つくしの腕の力を緩めた。

腕を離して小さな手を握る。
掴んでいた手首には薄っすらと
俺の指の痕。

「……ねえ、何処に……行くの?」

「この間のデートのやり直し。」

「え?」

つくしはきょとんとした顔で俺を見る。

「3週間遅れたけど……やっぱり
記念日祝いたくて……」

俺がそういうとつくしはうんと頷く。

「思い出してくれて……ありがと……
ホントは今夜類が来てくれたの
嬉しかった。ごめんね……?あたし
いつも意地ばっか張ってぜんぜん
可愛くないね。」

シュンとしたように言葉を連ねるつくし。

「……父さんの許可が下りたんだ
つくし俺と結婚しよ?」

え?と大きな瞳を見開くつくし。

「あの日、俺とつくしが約束してたこと
父さん知らなくてこの前一緒に食事
したときつくしとは上手くいってるか
順調なのか訊かれたんだ。で、別れる
一歩手前のケンカしたっていったら
慌ててさ……」

あのときの父さんの慌てようを
思い出して俺は吹き出した。

「毎日定時に帰されてさっさと仲直り
しろってそりゃ自分のことのように
焦ってたよ。俺もつくしに嫌われたと
思って茫然自失でさそんときあきらに
忠告されたの。郁兄がつくしに
本気らしいって。で、確かめにきたら
あんた司と一緒じゃない
思わず血が頭に上って酷いこといった、
ゴメン。でも、何で司と一緒に居たの?」

俺がそうつくしに訊くと彼女は
真っ赤に頬を染めた。

「……あたしも類とはもう終わりだって
思ってて…だけどそうしたくない
気持ちも心の何処かにあって専務の
パートナー役としてパーティーに
出てたの。そこで司にバッタリ出会わして……
それからあいつのパートナー役で
何度かパーティーに出てバイト代
貰ってた。お金じゃなくて食事を
ご馳走になってただけだからね?」

最後は慌てたように付け加える。

「でもね、どんなに素敵にエスコートして
もらってても類のこと忘れられなかった。
あたしが隣にいたいのは類だけだなって
あたし自身違和感感じてたの」

頬を真っ赤に染めて一生懸命
思いを伝えてくれた。

「やっぱり類が好きなの貴方の
代わりには誰にもなれない。」

つくしの唇から零れた素直な
思いをきいて俺は心から嬉しくなる。

最上級の愛の言葉をささやかれて
俺は心が躍る想いだった。

「…俺も、つくし以外考えられないよ
愛してる。」

ゴメンなと頭を撫でると恥ずかしそうに
微笑むつくしをもう離さないと
心に決めてそっと抱きしめた。

その晩、親友に貰ったルームキーを使って
大切な記念日をやり直した。